↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

短編・その他(ハイファン、童話、推理、詩、純文学、その他)

ゴリラのお医者さん

作者: 二角ゆう
掲載日:2026/09/24

数ある中からゴリラを選んでいただきありがとうございます。

 俺は病院の待合室で名前を呼ばれた。鼻水を啜りながら、重たい足を引きずる。

 ぼんやりする頭を抱え、診察室に入った。


 目の前にいたのは白衣を着たゴリラだった。


「ゴリラのお医者さん!?」


「皆そう言うんだけど、とりあえずそこに座ってね」


 そう自然と言うのは目の前のゴリラ。


「今日はどうされましたか?」


「鼻水がとにかく出て、微熱があるし身体がだるいです」


 ゴリラは太い指を器用に動かして聴診器の準備をする。

 そして聴診器を俺の胸に当てた。


「いつもの風邪と違ったりしますか?」


「まぁ、いつもの風邪っぽい気もしますけど」

「じゃあ、風邪ですね」


「ちゃんと診断しました?」


「皆そう言うんだけど、おそらく風邪ですよ」


 ゴリラは俺に目もくれずにカルテにペンを近づける。


「本当ですか?」


 ゴリラはペンを置いた。


「ゴリラだから診察ができないと思っていませんか? 人間だったらちゃんと診察できる? そういう人、よくいるんですよ。ゴリラから見れば人間なんて、かなり違って見えますけどね」


 そう言われても、納得できない。


「いや、風邪かもしれないですけど、違う病気かもしれませんよ?」


「そうかもしれません。でも今見るかぎり、風邪以外に怪しいと思われる病気の特徴はありません。大体、『ゴリラのお医者さん?』って聞く人のほとんどが風邪です。頭も正常に働いている証拠です」


 俺はたぶん、ただ悔しいだけ。でもこのまま引き下がれない。


「じゃあ重症の人はなんて言うんですか?」


 もはやただの興味本位だった。


「『とにかく薬出してください』ってうずくまっているかな」


「⋯⋯じゃあ、薬出してください」


「分かりました」


 ゴリラはカルテに書き込むと、部屋の奥へ行ってしまった。


 少しすると戻ってきた。

 ゴリラの手には、分厚い紙の袋。


「はい、ゴリラ特製の薬。良くなったらやめていいよ。こっちのお茶は飲めたら飲んでくださいね」


 ゴリラ特製だって。なんか効きそう。


「すみません、ありがとうございます!」


「五日経っても治らなかったら、また来てくださいね」


「はい!」


 俺は大事そうに受け取った。


『こういう人は、また次も来るんだよね』


 ゴリラがなにか呟いたが、声が小さくて聞き取れない。


「先生、なにか言いましたか?」


「お大事にしてください」


「はい!」



    *    *    *



 俺は軽い足取りで帰路についた。


「もし、薬が効いたら、またあの病院にいこうっと」

お読みいただきありがとうございました!

ゴリラのお医者さんも日頃いろいろと言われているんでしょうね⋯⋯。皮肉っぽすぎますかね?汗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
星新一の『服を着たゾウ』を思い出してしまいました。 ゴリラが医者をしていったい何が悪いのか!? 並の人間より立派に仕事してますよ、って。
 二角ゆうさん、こんにちは。 「ゴリラのお医者さん」拝読致しました・  出てきたのがゴリラのお医者さんだったら、確かにびっくりですね。  でも、妙に気になって、また行きたくなる。分かる気もします。…
 なんというかよくある医者の胡散臭さがよく出てますね。多分こういう医者は人が死んだら死因は心不全と診断することでしょう。心臓が止まればそりゃあ死ぬっての。  まあともあれ、患者に大事ないと一目て判るか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。