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プロローグ

 嫌われものの魅了魔法をハッピーエンドにしてやるぜという意気込みで始めた作品です。基本はギャグテイストで進めますので、気楽に読んでください。完結までは時間がかかります。

「——Lesson1。男女を見分ける魔法」

「……いくつか言いたいことがあるんですけど、いいですか?」

「もちろん。弟子の質問に答えるのは師匠の義務であり、最大の喜びよ」


「……まずそんな魔法を教えていただかなくても男か女かくらいはわかります」

「——本当にそうかしら? では、目の前の私はあなたにはどちらに見えているの?」

「……? もちろん女性ですけど?」

 そもそも魔法なんかに頼らなくても嫌いな男かどうかは見分けられる。それぐらいの人生経験は積んでいる。


「ざ~んねん。わ・た・しは――両性でぇ~す!!」

 そう言って、見せてきたのは巨大な棒だっ―――。

「~~~~!!!?」

「スカートの中で叫ばれると変な感じね。出てもいいわよ?」

「なっ、なんてものを見せるんですか!?」

 今、分かった。初対面からこの人に感じていた苦手意識の原因。半分は男。だから、こんなに苦手だったんだ!


「どう? これでも男女の区別がつくなんて言える?」

「……極めて例外的な存在だとは思いますけどね」

「ちなみに、私に魔法を使った場合は、よほどでない限り女と出るようにはなっているから。その点は大丈夫。正常だわ」

 褒められた気がしない。


「~~~もうっ! わかりました。わかりました。じゃあ、次! そもそも、私のことを弟子なんて言ってますけど、そんなこと教えてほしいなんて頼んでないですよね?」

「そうね。そこは頼まれていないわ。だけど、見込みのある子を弟子として技を継承する。それも先達の務めだと自負しているわ。だから、あなたは私に身も心も委ねなさい」

 言い方がいちいち艶っぽい方向に聞こえるんだよな。


「断ることは」

「拒否権はありません」

「……受けるかどうかは私が決めます」

「いいえ、あなたは受ける。それが運命。そして、あなたは最強のモテ女になる。それが宿命」

「私の人生設計を勝手にめちゃくちゃにしないでもらえます!?」

「めちゃくちゃ? 異性にモテて、子孫繁栄。それこそが生物の心理のひとつでしょう?」

「正論ですけど、時代的にその発言はどうかなと思いますよ? 今の世の中は男女平等で、生涯独身を貫く人だって珍しくないんですから」

「そんなの関係ないわ。それに男女平等? そんなものはどこにも存在しない。平等だと言うならすべてを運にでも委ねることね。何をしたいのかも考えず、何をするのかをすべて運に委ねる。朝起きるのか、食事をするのか、それとも何もせずに死ぬのか。平等なんて口にしている時点で平等ではないの」


「……何を言っても無駄そうですね」

「諦めるのも大事だけど、自分を通すことも大事よ。ただし、今回に限ってはあなたに拒否権はない」

「……仮に、万が一にも私が弟子となることは認めましょう。認めないと話が進まなさそうだっていうのもあるので、弟子(仮)ぐらいで進めてもらいますが、そもそも私を弟子に選んだ理由は何ですか?」

「確かに、あなたは自分がモテることに疑問を持っているわね。服装はだらしなく、年がら年中同じジャージを着て、髪の毛もボサボサ、肌艶も最悪。猫背で姿勢も悪く、分厚い眼鏡でそもそも視線がわかりにくいのに、自信がないのか常に伏し目がち。それでいて他人を見下す思想を持っている。ええ、認めましょう。あなたはモテない!!」


「——誰もそこまで言わなくてもいいと思いますけどね!!」

 他人に評価されるのは苦手なのに、そんなことを言われるなんてなんで私がこんな目に。


「あなたの深層心理にある欲求はただひとつ。それは他人を支配したいという願望。そう、あなたは他人との共存を望んでいない。——だからこそ、私は他人との共存。その究極の技である恋をあなたに伝授する」

「——っ!?」

 絶句という言葉は今使うべきなんだろう。

 ハッキリ言って、この人はイカれている。正気じゃないのはわかりきっているけど、それ以上に危ない思想を持っている。私も大概だけど、この人のは次元が違う。


「質問としては最後よ。あなたは誰? そして、ここはどこ?」


「ここはあなたの世界で言えば、異世界。名前はキリミア。地球と違い、魔法が発展している世界。私は存在で言えば神に近い存在。ただし、大した権能は持ち合わせていない。平たく言えば人の知らない神フィルペ。あなたをこの世界に召還した理由はあなたに究極の恋愛魔法【魅了魔法】を伝授すること」

「魅了!? そんな物騒な魔法はいらないわよ!」

「……そう。地球では魅了魔法は相手を意のままに操る魔法として禁忌の魔法とされていることは知っている。地球だけでなく、キリミアでも同じ。【魅了魔法】を使ったというだけで信頼を失い、すべてを失ってきた。そして最終的には【魅了魔法】は世界から不要な魔法として棄てられた」

「そこまでわかっているのに、なんでそんな魔法を、それも異世界の私に教えようとするの?」

「——私は人の知らない神。この世界には【魅了魔法】だけじゃなく、いくつも不要とされている魔法が存在する」


 フィルペが語るのは不要とされてきたもの末路。

 数メートル先のものがよく見える魔法はメガネなどの道具の開発で、使う必要がなくなった。

 氷を溶かしにくくする魔法はそもそも氷魔法を使えばそんな心配はいらないとなくなった。

 空を飛ぶ鳥を追いかける魔法は飛行魔法の開発で消えてしまった。


「世の中には進歩によっていらなくなった魔法というものが存在するわ。中には危険だからという理由で存在を抹消された魔法や技術なんて山のようにあるび。私のような存在はそれらを集めて人の記憶から消す仕事をしていた。だけぢ、私は理不尽に消えていくものを集めることに疲れた。だから、日の目を見せてやりたくなった。そう考えているうちに、【魅了魔法】の可能性に気付いてしまったの」

「……それと魔法を教えることに何の意味が?」

「それというのは、【魅了魔法】いやすべての魔法はまだ完成していないし、体系に分かれている枝にすぎなかった。これを一本の大樹にすればすべての魔法が脚光を浴びることになるわ。まさに魔法革命よ」


「そんな新しい魔法、今のキリミアの人間に教えたところで常識が邪魔をしてうまく発動できないに決まっている! だったら、別の世界の人間。それも【魅了魔法】など授けても宝の持ち腐れのような存在に授けることで平和も保たれる。そして、魔法としての力を発揮すればきっと皆が認める! だから、あなたが私の弟子となって【魅了魔法】を世界に認めさせるのよ!!」

「超迷惑!!」

 何その人権どころか私の意思を完全に無視したうえで、超絶失礼な内容は!?

 貰っても宝の持ち腐れ!? それが地球から無理やり連れてこられた人間にいうことか!? 人の心が欠片もわかっていないこんな奴に本当に人の心を動かす魔法が使えてたまるか!


「——ということで始めましょうか? Lesson1を」

「……これが成功したら私は元の世界に還れるの?」

「還りたいと心から思うなら。それは約束するわ」

「わかった。拒否権はないし、生殺与奪権を握られているし、どうせ何もできないなら私はあなたに賭けてみる。私はあなたの弟子となり、真の【魅了魔法】を習得して見せる!」

「認めます。私、フィルペはあなたを弟子として新たな魔法を世に出すことをここに誓いましょう。今日からは私のことは師匠と呼びなさい」

「……了解、師匠。でも、油断はしないことね? 私はあなたの思惑なんて無視して利益を優先する。私の目標はあくまでも帰還よ」

「そう言っていられるのも、今のうちだけ。精一杯恋に盲目になりなさい」

 最近、魔法が生きているという漫画を読んでそういえばそんな話を考えたこともあったなと思い、あの時はどうして断念したのかを考えてたのですが、普通に作品を作るのがうまくいかなかったからだったと思い出しました。私は書き始める前に大まかにどうしたいのかを考えるタイプなのですが、思い付きで行動するので辻褄合わせが苦手になっていって作品にならないことが多いです。今回は前々から魅了魔法が嫌われているから魅了魔法を使える人が主人公でかつハッピーエンドにしたいと思って書き始めています。なので、ハッピーエンドにはしますが、皆さんの望むハッピーエンドとは違うかもしれません。ちなみに主人公はフィルペではないことだけは間違いないです。名前を出さないのはこの話を書いた時点でまだ考え付いてないからです(笑)

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