紅茶からの便り
英国風の庭園で過ごした
懐かしき思い出が蘇る
君は金髪を風にまかせる
稀有な親しき友だった
古びたテーブルに二杯の紅茶
黄赤紅から盛んに、澄んだ
湯気の精が立ち香っていた
彼女は伏し目がちに口にした
「私たち、どうなるの?」
僕は答えた「それはわからない」
「じゃあ、世界はどこへ行くの?」
「それもまた、わからない」
淡く激しく湧き上がる想いが
絡み合い結びつき、解け去った
夕暮れが二人に家路を告げた
二杯の紅茶は冷めきっていた
彼女が伏し目がちに尋ねる声が
静まった夜の部屋に蘇った
磨かれたテーブルに一杯の紅茶
誰にともなく口にした
いまも、変わらず言えるのは
紅茶はいつか冷めるということ
そして僕自身もまた
一杯の紅茶なのだ