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ep.3白い大きな箱


 時刻は午前1時半・・・・・。


 私は寝静まった家の裏口から外に出ました。自転車に乗り込み、仲間達と待ち合わせている丘へと続く橋に向かいました。


 辺りは真っ暗、少々の外灯と月明りを頼りに集合場所に向かいました。


けいちょ「イケモト。」


 私が到着する前にイケモトが先に到着していました。


イケモト「少しだけ寝ようと思ったけど、結局全然眠れなかったよ。緊張してるのかな。」


 暫く待つとコバシとリクがやってきました。


コバシ「自転車は・・・無灯火でいこう。」


リク「うん、絶対それがいいね。」


 この自転車のライトで周りに気づかれてしまう可能性があるので、切ることにしました。少し危ないですが気を付けて進んでいこうと思います。



 そのまま私達は例の建物へ向かいました。正面は大きな門が出来ておりましたが、厳重にロックされており中へ入る事はできませんでした。仕方が無いので、先日と同じような流れで、外周から中に入れそうな場所を探す事にしました。


 全員口数少なく、傍から見るとここに来たことを少し後悔しているようにも見えました。


 私がまず、外周の大外フェンスを登りました。フェンスの上から3人を引き上げてフェンスの中に入りました。

 

 仮囲いを確認した所、一部出入り用で作られた小扉のようなものがついており、南京錠が小柄であった為、コバシが予め持ってきたバールで壊して敷地内部に入りました。


 目の前に先日見た、白く大きな建物が現れました。



コバシ「これが・・・けいちょがこの前見たって言う白い建物・・・・。」



けいちょ「今暗くて遠いからここからでは見えないけどさ、窓が一つも無いんだよ。ただの白い箱に見えるよな。」



 窓が無い白い四角い大きな箱・・・・。



リク「ん??・・・待って、あそこに出入り口が無い??」


 目が良いリクが指さす方に、たった一箇所だけ扉が見えました。


全員「いこう!!」


 私達は迷わずその扉を目指しました。


けいちょ「何があっても後悔しないようにしようぜ。」


イケモト「勿論、そのつもりで来た。」


コバシ「噂を確認しよう。俺達が確認するんだ、中で何をやっているかを。」


リク「親に怒られるわ。間違いなく。」


 そのリクが見つけた扉は・・・なんと鍵がかかっていませんでした・・・・。


けいちょ「マジで?・・・外は厳重なのに、ここは無施錠・・・どういうことだ・・・・・。もしかして招き入れてんのか俺達を・・・・。」


 無施錠であったことに不思議に思いながら中を覗くと、長い廊下のようになっているようでした。私達は恐る恐る中に入りましたが、中も外壁と同じで真っ白でした。


全員(真っ白だな・・・・)


 床も壁も何もかも全てが白一色でした。


けいちょ「とにかく・・・どこかの部屋に入ってみようか・・・。」


 私は適当に近くにあった扉を開けました。


 すると、開けた先も廊下になっていました。



けいちょ「なんだこりゃ・・・・。相当変な造りだぞ・・・。廊下に扉があって・・・開けたら廊下・・・。別に扉要らないんじゃ・・・・。」


コバシ「凄い作りだな・・・長い廊下の扉からまた長い廊下・・・・。」


 私達は更にその先の廊下を歩いていきます。


 すると・・・・・


 先程来た廊下から足音が聞こえてきました。


 カツ・・・カツ・・・カツ・・・・・


けいちょ「なんだ?・・・なんの音?」


 私は思わず人数を確認しました。私、コバシ、イケモト、リク・・・・4人・・・・全員居ます・・・。


 私達以外の誰かが、後ろの廊下を歩いています。


けいちょ「誰か来たっ!」


 私の声で一斉に走り出します。


コバシ「会って事情話さない方がいいよな?!」


けいちょ「だな!!ここは一旦逃げよう!」


 イケモトは廊下にあった掃除用具入れのような箱の中に隠れました。


 リクは右手にあった扉に入り、そこから更に走り出しました。


 私とコバシはひたすらこの廊下を走ります。


けいちょ「コバシ!俺達も適当に扉開けて入ろう!!先頭のお前に任せるから!!一緒にどこか入ろう!!」


コバシ「よし!!分かった!!」


 私の前を走るコバシに行き先を委ねます。


 後ろを振り向くことなく、前だけを向いて長い長い廊下を走り続けました。


 コバシが急カーブし、右手の扉を開けました。


 すると、今度は廊下ではなく・・・浴室でした・・・。


 広いフロア内は銭湯のようになっておりました。水気は無く、他にもう行き場が無いので、私達はそのままお湯がはっていない深い湯船の中に隠れる事にしました。




 うわあぁああああ!!!!!


 浴室に入って間もなく、廊下からイケモトの叫び声が聞こえました。


けいちょ「・・・・イケモト!!」


コバシ「駄目だけいちょ!」


コバシは廊下に戻ろうとする私の服を思い切り掴んで湯船に戻します。


コバシ「静かにしろ・・・・」


けいちょ「・・・・・・・」


 どうやらイケモトはこの建物の住民に捕まってしまったようでした・・・。


 その後、廊下から何かを引きずりながら歩く足音が聞こえてきました。


けいちょ「・・・・・・・・」


カツ・・・ザー・・・ザー・・・カツ・・・


 はじめて後悔しました・・・・。ここに来たことを・・・・。どんな事があっても後悔しないと誓ったのに・・・・・。


 恐らくこの音・・・・・捕まえたイケモトを引きずっています・・・・。


 別方向に行ったリクは大丈夫でしょうか・・・・。私達と同じように扉を開けて逃げましたが、その後は大丈夫だったでしょうか・・・・。


 しかし人の事を心配している余裕は私達にはありません。


 運よくその影は、私達の浴室の前を通り過ぎていきました。


けいちょ「よかったぁ・・・・」


 その場にへたり込むけいちょとコバシの2人・・・・。


コバシ「一度外に戻ろうか・・・。」


けいちょ「確かに・・・イケモトの事がある・・・そうしよう・・・。」


 ガチャ!!


けいちょ・コバシ「・・・!!!!」


 緊張が走ります・・・・。廊下に出る浴室の扉が大きく開きました。



けいちょ(・・・・・きたぁ・・・きやがった・・・・・)


 私達は湯船内を匍匐前進で進みました。もう逃げる事が出来ません。


コバシ「・・・・・??」


けいちょ「・・・・・・」


 コバシが自分が匍匐前進をしている床に対して指を刺します・・・・・。


 私はコバシが指を刺す床を触りました。


 なんと・・・・床が動きました・・・・。


けいちょ(・・・なんだ・・・・・)


 コバシが思い切って床をスライドさせました・・・・。


 すると床の下に階段が見えました・・・・・。



コバシ「・・・・・・・」



無言で顔を見合わせる私達・・・・・・。


 ガラガラガラ!!・・・・・


 脱衣所から浴室に入る為の引き戸が開く音がしました。


 話してもいないのに思わず口を塞ぐ私・・・・。


 私は恐る恐る、湯船から少し顔を出して相手の確認のしてみる事にしました・・・・。


 白装束の人間が周囲を見ています。・・・・その白装束の人間の手にはイケモトの首が・・・・・・。


 首を持っています・・・私の友人の顔が見えたのです・・・・。



けいちょ「うわあああああああ!!!!!」



 生首のイケモトと目が合ってしまい、あまりにも驚き、腰を抜かしていました。



コバシ「けいちょ!!!こっちだ!!!」


けいちょ「・・・・お・・・おう!!!」



 階段を転がるように降りていく私とコバシ。



けいちょ「あいつ!!イケモトを!!殺しやがった!!殺人鬼だ!!なんて・・・ことを・・・・」


コバシ「もういい!!とにかく逃げよう!!!」


 私達は階段を下り続けました。

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