ep.1謎の建物
私は並行世界なんて存在すると思っていませんでした。
けいちょ「今日も暇だぜ。」
仲間達と駄菓子屋の店先でアイスクリームを座って食べているけいちょ達。
けいちょ「アイスクリームがたった50ペソで買えるなんて、この店位じゃないか。」
港町で産まれたけいちょ。今日も地元の親しい仲間達と一緒に遊んでいました。
田舎で育ちましたが、友人達に囲まれて毎日楽しく暮らしていました。
ガタンガタン!!・・・・・・
アイスクリームを食べながら大きな音のする方向に目を向けます。かなり前からなのですが、何か大きな建物が私の地元に建設されるようです。
その建物が建設される工事現場は仮囲いで広範囲に渡って仕切ってある状況でした。更にフェンスがあって中で何が建設されているのか見る事も出来ませんし、周りの大人達に聞いても誰一人教えてくれることはありませんでした。
けいちょ「一体・・・何が建つんだろうな。・・・あっそうだ・・・・・ちょっとあの工事現場の外周を自転車で走ってみようぜ。」
コバシ「いいねー、面白そうじゃん。」
イケモト「面白そうだな。」
いつも集まっている5人グループで本日も集まっており、全員でその工事現場の周りを自転車で走ってみる事にしました。
急な私の思い付きなのですが、全員が乗っかってくれました。
元々、小高い丘があった場所が崩されており、すべてに仮囲いが出来ています。かなりの広範囲です。
けいちょ「アミューズメント施設とかならいいけどなぁ。」
コバシ「こんな田舎にそんな良い物は建たないだろ。」
けいちょ「だよなぁ・・・・あぁ・・・・早くこの田舎町から出たいなぁ・・・・。」
遠くの方から声が聞こえてきます。工事現場の入り口付近から手を振りながら、私を呼んでいました。
おじちゃん「コラー!!何してる!!お前・・・けいちょだろ!!??何しているんだ!!」
自分の家の隣に住んでいるおじちゃんでした。建設関係の仕事をしていると言っていたので、今回のこの建物の工事に関わっている様子でした。
いつもと違って、なんだかおじちゃんは少し怒っています。
けいちょ「おじちゃん!・・・ここって何が建つの??マジで教えてよ!」
おじちゃん「・・・・危ないから帰りなさい。ここは子どもが来る所じゃない。」
何が建つかの話・・・・・また濁されます。もうこうなったら、建った後の楽しみにしておこうかな・・・。
けいちょ「・・・いや中には当然入らないよ。外周を友達と一緒に自転車で走るだけだよ。」
おじちゃん「そうか・・・・ほどほどにな。言っておくけど・・・・絶対に中に入るんじゃないぞけいちょ・・・。その時はおじちゃんは怒るぞ。・・・・さぁ、行った行った。」
いつもの優しい笑顔のおじちゃんの姿はそこにはなく、仕事の時の厳しいおじちゃんでした。
コバシ「行こうぜけいちょ。こっちから時計回りで走れそうだな。」
コバシがそう言うと先頭を切って自転車を走らせました。それに続くけいちょ達・・・・。
それから大体10分が過ぎました・・・・・。
相変わらず私達の右手には仮囲いとフェンスが続きます。
けいちょ「なぁみんな・・・・・これ広すぎると思わないか??確かに田舎で土地は余ってるとはいえ・・・・・この街の半分くらいの広さじゃない?・・・・。」
コバシ「広い・・・広すぎる・・・・なんだか足が疲れてきたよ・・・・。」
イケモト「ちょっと休憩しよっか。」
友人のイケモトの一言で全員自転車を停めて、フェンスの方を見ました。
リク「・・・なぁけいちょ。さっきのあのおじちゃんやけに怒ってたよな。」
けいちょ「ああ・・・なんかな・・・・。」
リク「絶対何か宝物とかが隠されてるんだってば、この囲いの中に。」
イケモト「そうなの?!・・・それを守る為の建物なのかな・・・・。」
けいちょ「よぉし・・・・・」
私はフェンスに足をかけました。みんなの為にフェンスをよじ登って中を確かめようと、そう思いました。
イケモト「おいけいちょ、それはやめとけよ。おじちゃんに怒られるぞ。」
コバシ「よし、けいちょを持ち上げてやろうぜ。リク、手伝ってよ。」
コバシとリクはけいちょを持ち上げて、フェンスの内側にけいちょを落としました。
ドサッ!!
けいちょ「・・・・・どこかから入れないかな・・・・」
フェンス内の仮囲いを確認すると、一箇所だけ仮囲いの間に隙間が出来ている場所がありました。
けいちょ「・・・・ここからなら中見えるかも!でも人間が中には入れるサイズじゃないわ!」
コバシ「そうなのか!気をつけてな!」
イケモト「・・やめておいたほうがいいぞけいちょ!なんか・・・ヤバい気がする!」
先程発見した隙間を恐る恐る覗き込んでみました。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
んんんんん?????
・・・・・・・
中には真っ白の長い平屋の建物が建っていました。
けいちょ「ちょっと待て・・・この建物・・・・・窓が一つもないぞ・・・・・・。」
隙間が小さすぎて目で見える範囲が少なく、かなり限られていましたが、少しでも情報が欲しかったのでその小さな隙間をあらゆる角度から覗きました。
すると・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
白装束を着た10名ほどの集団がこの広い敷地内を歩いているのを見つけました。
けいちょ「白装束・・・・なんか怖いな・・・・・。でもなんであんな服装で歩いてるんだ?・・・・・あの集団がこの建物の住民なのかな。」
ピタッ・・・
けいちょ「・・・・・・・え・・・ちょ・・・」
遠くを歩いていた白装束の集団が急に歩くのをやめたのです。
次の瞬間・・・・・
その集団全員が一斉にこちらの方向を向いたのです。
隙間を覗き込んでいる私の方を全員が同じタイミングでこちらを向いたのです。
けいちょ「・・・・な・・・・バレた??・・・・かなりの距離だぞ・・・・。気のせいだろ・・・・。バレてないバレてない・・・・。」
その集団が歩いていた場所というのが、敷地内のかなり奥の位置でしたので私の位置など絶対にバレるわけがないのです。千里眼なのでしょうか。
けいちょ「・・・・・気持ち悪いな・・・・いやでも・・・・これはバレてる・・・・なんか・・・・なんだか・・・・あの連中と目が合ってる感じがする!!・・・・。」
コバシ「けいちょ!なんか見えた?!」
コバシの声でハッと我に返り、慌ててフェンスを登りました。
けいちょ「・・・・ひ・・・人が居た!!・・・・」
全員「マジで?!」
けいちょ「マジだ・・・。しかもバレてるかも・・・・・急にこっちの方向を向いたんだよ!今日はもう帰ろう!!」
イケモト「ほら言わんこっちゃない・・・・・逃げよう」
私達は急いで自転車に乗りました。
自転車に跨った時、かなり驚いたような表情でリクが声をかけてきました。
リク「おいけいちょ・・・・・なんで暑くもないのに・・・そんな大量の汗をかいてるんだ??」
けいちょ「え?・・・・」
何故でしょう・・・・・・冷たい汗が止まりませんでした。体質的に汗を沢山かくタイプではないのですが、私はその時地面にしたたり落ちるほどの大汗をかいていました。
コバシ「おい!リク!けいちょ!急げよ!!何してるんだよ!!」
私が仮囲いの隙間から見た、あの白装束の不気味な集団は一体何だったのでしょうか・・・・・・。
囲いの中の状況を話すのは後でみんなにするとして、今日は急いで帰路につきました・・・。
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