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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第三章:遥かなる場所からの侵入者
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Ep 33:魔境入口への進軍②

混成部隊の探索が始まってから、約二時間が経った。


彼らはある程度隠れた場所にキャンプを設営していた。樹海の規模を考えると、この調査は約一週間続く可能性があった。日が落ちると魔物が活発になるため、夕方までにキャンプを設置する必要があった。


太陽の光が届かない森林の内部では、調査隊は特製の魔アイテムを使って時間を判断していた。このアイテムは地球の懐中時計に似ており、古代の賢者が残した技術に基づいて作られたものであった。


「ご苦労だった、皆。各チームのパフォーマンスはすごく良かった。これからもこの調子で頑張ってください」


この挨拶で始まり、ノーデンは無理やり参加してきた五人の部下を労った。


彼らはそれぞれ小隊の責任者であり、自隊以外の五つの小隊を率いていた。


「時間の関係で、今日は探索はここまで。次に、今日の探索の成果を報告してください。何か注目すべき発見はあったか?」


集まった目的を知った瞬間、淡い金色の短髪の女騎士、イヴィリアがすぐに手を挙げて発言した。


「探索中に遭遇した魔物の数は予想よりもはるかに少なかったです……正確に言うと、記録されている数と比べて明らかに減少しています」


「そうか、やはり君もそう思うのか」


<アルファス辺境大森林>の外縁には、lv100からlv200の間の弱い魔物が多数生息しており、外周全体を覆っているというのが、聖国の記録に基づく情報であった。この情報はもちろん、他の情報とともに<枢玉騎士団>のメンバーにも事前に提供されていた。


「魔物が少ない方がいいじゃねぇか。手間も省けて、雑魚を片付ける時間もいらないし」


「カボネル、お前はただ面倒くさがっているだけだろう……」


「うるせぇな、俺は雑魚に時間を無駄したくないんだ。エフィス、お前だってそうだろう?」


「まあ、それはそうだけど、外の連中の前で、少しはいいところを見せたくないのか?」


「何を見せるんだ?どうせ役立たずのくっそ男どもだ。真剣になる価値なんてない」


「カボネル……彼らも一応味方なんだから、そういうことは心の中で留めておけ」


二人の同僚の態度があまりに散漫だったため、別の女騎士が声を上げて制止した。


「カボネル、エフィス、今は会議中だ。雑談はやめて」


女騎士の指摘を受けて、エフィスという名の若い騎士は素直に口を閉ざした。しかし、金髪を背に撫でつけたカボネルは不服そうに舌打ちをした。


「シルフィン、細かいことを気にするなよ。だからお前は未だに独り身なんだ」


「何ですって!?」


悪い記憶に触れられたのか、シルフィンという名の女騎士は一瞬で険悪な雰囲気を醸し出した。


「はあ……皆、落ち着け」


「任務中に個人的な感情を持ち込むな。無駄な争いを起こさないように。カボネル、お前には後でゆっくり話を聞かせてもらうぞ」


エネルギッシュな部下たちに、ノーデンは眉をひそめた。部下たちが今にも大喧嘩を始めそうな状況を見て、団長として彼は介入するしかなかった。


「イヴィリア、続けてくれ」


「はい。手元の情報は20年前の記録に基づいているため、自然の要因で魔物の生態系が変わった可能性も考えられます」


「うむ。人為的な干渉の可能性はどれくらいだと思う?」


「……手元の情報では判断できませんが、可能性は低いと思います。魔物の規模を考えると、その数を大幅に減らすためには、どれだけの人員が必要か想像もつきません」


予想通りの回答を得たノーデンは、軽く頷いた。


続いて発言したのは、文官のような雰囲気を持つ若い騎士、サイドロンだった。


「本日の探索では、私の隊は人工物や人間の活動の痕跡を一切発見しませんでした」


「ふむ。他に何か発見はあったか、セイドロン?」


「森の中には用途の広い薬草がたくさんあり、さらに天然の鉱洞も見つけました。それらの場所には採掘の痕跡は一切ありませんでした」


「つまり、もし誰かが魔物の数を抑えていたなら……その資源が採掘されていないのはおかしいってことだよね」


「私も団長と同意見です。本当に強大な勢力が潜伏しているなら、この森の資源を無視するはずがありません。それは全くもって不合理です」


セイドロンはメガネを押し上げ、さらに付け加えた。


「もちろん、我々はまだ森の端に留まっているだけですから、得られる情報も限られています。森の奥深くには実際に何らかの勢力が存在しているかもしれません。ただ、警戒しているために外側の資源を採掘していないのかもしれません」


「君はいつも慎重だな。とても良いことだ。その仮説も考慮に入れるべきだな。次の探索では他の小隊にも注意を払ってもらおう。人工物や痕跡を見つけ次第、直ちに本隊に報告してくれ」


セイドロンの報告が終わると、ノーデンは残りの3名の部下の報告も順に聞いていった。


特に注意すべき内容はなかったため、すぐに総括の部分に入った。


「イヴィリア、今日の会議内容を後ほど整理して簡潔な報告書を作成し、<伝訊魔法>を使って本国に報告してくれ」


「承知しました」


「現時点での方針は、半日ごとに本国に報告を入れることだ。これは最優先事項だ、各員怠らぬように」


「「「承知しました」」」


この方法が過度に慎重で手間がかかると感じる者もいたが、森の危険性を考慮すると異議を唱える者はいなかった。


「次に夜間の配置についてだが、王国の人員が夜間の警備を手伝うと言っているため、我々は結界の維持者だけが交代で警備をし、他の者は体力の温存を優先するように」


ノーデンが王国のメンバーが自ら夜間警備を申し出たことを伝えると、カボネルはわずかに眉をひそめた。


「へえ……やるじゃないか。あいつらにも少しは見るべきところがあるな」


「カボネル、少しは黙っててくれない?」


「チッ、命令するな、シルフィン」


「あんたってば……本当に、仲間に対してそんな態度を取るなよ。それじゃ我々の評判が悪くなる」


「仲間だって?おいおい、本気か?あの足手まといを仲間と呼ぶのか?ははは、いい冗談だ」


「くっ……」


(なんでこの男が我々の一員なんだ、絶対に何か間違ってる……)


カボネルとの会話だけで、シルフィンはひどく苛立ちを感じた。


部下たちがまた口論を始めそうになるのを見て、ノーデンは会議を終わりにし、若者たちを解散させた。


(彼らの実力は確かに申し分ないが、やはり……心の成熟度はまだ足りない)


<神託騎士団>の一員として、ノーデンの指揮下にある5名の小隊長は、いずれも伝説的な英雄の水準に達していた。


しかし、イヴィリアを除いて、他の四人は思考や感情の管理にまだ課題があった。言い換えれば、年齢に見合わない力を手に入れた、若くて血気盛んな者たちだった。


彼らをうまく管理することは、ノーデンにとって頭を悩ませる問題だった。単純な説教では彼らには響かないのだ。


「お疲れ様です、ノーデンさん」


「ああ、君もお疲れ様、リア」


他の者が散って行き、残ったのはノーデンとイヴィリアだけだった。他の人がいないため、彼らは互いにプライベートな呼び名で呼び合っていた。


「物資の配分は問題ないか?」


「今のところ順調です。我々も王国側も十分な物資を持ってきており、一月分の必要経費を賄うことができます」


「それなら良かった。確認してくれてありがとう。今日は一日中動き回っていたから、君も早く休むといい」


「どういたしまして。ノーデンさんも早めに休んでくださいね」


彼女は礼儀正しくノーデンに一礼し、自分の小隊のキャンプ地へ向かった。


ノーデンは会議内容を頭の中で整理し終えると、情報を共有するために王国側の責任者であるローレンスに会いに行った。


今回の作戦では、両国ともに<空間収納>魔法を使える人材を部隊に派遣していた。


彼らは<空間収納>魔法を利用して、部隊が必要とする物資を異空間に保管しており、いわば後方支援の役割を果たしていた。物資は主に食料、武器、治療用具などで構成されていた。生活用水は魔法で賄い、拠点の建設は土魔法で対応していた。


幸いにも、森の外縁部の魔物は一般的に弱く、レベル200程度の魔物たちは、駆魔と隠匿の二重結界の影響で部隊に近づくことはなかった。そのため、戦闘を交えることなく、今日の探索を無事に終えることができた。


しかし、誰も気づいていなかったが、魔物が近づかなかったにもかかわらず、暗闇の中では……


無数の昆虫や鳥獣がこの部隊を密かに監視していた。彼らは完璧に環境と一体化し、至る所に存在していた。実際、混成部隊が森に足を踏み入れた瞬間から、この生物たちは気配を隠しながら、皆の一挙手一投足を観察していた。


「……」


「……」


「……」


無数の目が静かに観察し、まるで何かの時機を待っているかのようだった。


夜が更けると、多くの騎士たちがテントに入り、休息に入った。やがて眠りに落ちる者もいた。


その時を狙ったかのように、計画された夜襲が、暗闇の中から密かに始まったのだった。


本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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