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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第三章:遥かなる場所からの侵入者
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Ep 29:存在の意味⑤

「私とシーラーの……正確には私たち二人の家族の背景には、ちょっと厄介なことがあるの」


「簡単に言うと、私は裕福な商家の家庭に生まれたの。シーラーはある政治家の息子で、だからこそ私たちは高い水準の教育を受ける機会があったんだ」


まるでドラマのような話だと感じたアシェリだったが、その感想を口には出さなかった。


「私が中学に入って間もない頃、父に連れられていろんな社交の場に出るようになったの……その中には、お見合い中心の茶会も含まれていたわ」


「お見合い……ちょっと早すぎるんじゃない?裕福な家庭ってみんなそうなの……?22世紀にこんなことがあるなんて信じられない……」


この話を聞いて、アシェリはついに口を開いた。中学を卒業したばかりの少女がお見合いをするなんて、常識に反する行為だと思ったからだ。


「やっぱり君もそう思うんだね。仕方ないよ、俺も常識外れだと思うけど、親父の言うことだから従うしかなかったんだ」


自分の考えがアシェリと一致したことに、シーラーは共感してうなずいた。


「他の家庭のことはわからないけど、もしかしたら私の経験は特別なケースかもしれないわね」


「でも、それでも頻繁すぎてうんざりするほどだった。今思うと……そのせいで異性に対して嫌悪感を抱くようになったのかもしれないわ。」


「……」


軽々とこの話をする緋月を見て、アシェリは心が痛んだ。緋月は過去に男性メンバーと接触することが少なかったため、アシェリは彼女が軽度の男性恐怖症かもしれないと推測していた。


ちなみに、ユリオンは緋月にとって恋人以外で数少ない良好な関係を保つ男性友人だった。緋月自身も不思議に思っていたが、もしかしたらユリオンを『会長』という存在として見ていたからかもしれない。もちろん、この考えをユリオン本人に伝えることはなかった。


「私とシーラーが出会ったのも、お見合いの席だったの」


「あの日に運命の人に出会えるなんて、すごくロマンチックだよね~」


「美化しすぎよ、シーラー……初対面がそんなに素晴らしかったとは思えないわ」


緋月は半ば目を閉じながら突っ込んだが、彼女の気分は悪くなさそうで、懐かしい思い出を思い出しているようだった。


「自慢に聞こえるかもしれないけど……私は普段、どんな人に対しても礼儀正しい態度を取ることができるの。血の繋がりのない母親に対しても、私を見捨てた父親に対しても、何かを企む客に対しても……集中すれば、学んだ礼儀をきちんと表現できるわ」


「でもあの日は本当に不運だった。たまたまその日は気分が良くなかったし、急遽決まったお見合いに参加するよう命じられたの」


「命じられた」という言葉を使った緋月は、一瞬だけ険悪な表情を見せたが、すぐにそれを隠した。


「普段ならどんなに気分が悪くても、表面上の礼儀はきちんと保つ自信がある。でも、シーラーと初めて会ったときは、我慢できずに彼に対して怒りをぶつけてしまったの」


「……シラシラが何かしたの?」


「私(お見合い相手)を放っておいて、他の女の子たちと話していたの」


「最低、シラシラ、それはひどいわ」


緋月の説明を聞いて、アシェリは心からシーラーをゴミを見るような目で見た。


「う、うおおお!ごちそうさまでした――!!!」


「アシェリ、やめて……それは彼にとって褒美になるだけよ」


「ええええ――!?」


反省の色がまったくないシーラーは、むしろ嬉しそうにアシェリに感謝した。


それを見た緋月に止められたアシェリは、まるで驚いたかのように両手を胸の前で組んだ。


「とりあえず、あの時シーラーが他の女の子と話しているのを見てしまって、我慢できずに彼を厳しく叱ってしまったのよ……」


「それは、決して緋月ちゃんのせいじゃないわ。わざわざ時間を割いて興味のないお見合い会に参加して、それでシラシラに放置されるなんて、誰でも怒ると思うよ」


「理解してくれて嬉しいわ。でも、初対面の人に説教するのはやり過ぎたので、その後彼に謝ったの」


「それでシラシラは何て言ったの?まさか――!これを機に緋月ちゃんと付き合うよう脅したんじゃないでしょうね?」


アシェリは話題を緋月から引き継ぎ、突然隣のシーラーに向き直った。


「なんでそんなことを考えるんだよ!?俺がそんなに酷い人間に見えるのか……?」


「「見えないの?」」


シーラーに問われたアシェリと緋月は、何故か同時に同じ答えを返した。


シーラーは大きなショックを受けたかのように、力なくテーブルに倒れ込んだ。


「両親の仕事の関係で、その後も何度か社交の場でシーラーに会ったの。彼は毎回積極的に話しかけてきて、本当に煩わしいったらなかったわ……」


そう口にしながらも、緋月の表情には嫌悪感はなく、むしろ微かな笑みが浮かんでいた。


「それじゃ、シラシラが積極的に追いかけたってこと?確かに彼ならやりそうなことですね」


「あはは、まあ、そういうことかな。ちょっと恥ずかしいけど」


シーラーは照れくさそうに頭を掻きながら、アシェリの推測を肯定した。


「緋月が言った通り、俺の家は政治家の家系で……簡単に言えば、時代遅れで堅苦しい、まるで前世紀の産物のような家なんだ」


「俺は家の三男で、上には二人の兄がいる。幼い頃から将来は政治に進むことを求められてきた」


「だからこそ、自由な時間がほとんどなくて、高校を卒業してからようやく少しは楽になったんだけど、それまでは本当に大変だった……」


過去を振り返りながら、茶髪の青年は苦笑いしつつ肩をすくめた。


「だから英才教育を受けたね……いやいやいや、どんな教育を受けたらそんなに……軽薄になれるのかしら?それとも、学識を磨くことばかりに集中して、人間性の育成を忘れたの?」


「う、アシェリ……なんて辛辣な評価だ。まるでHPがゼロになる感じだよ」


「ふふっ」


シーラーは悲劇の主人公を模倣し、悲しげに顔を覆って嘆息した。その誇張された演技に、アシェリは思わず吹き出した。

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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