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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第三章:遥かなる場所からの侵入者
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Ep 23:このゴブリンはちょっと強い?④

ユリオンは観客席から飛び降り、まっすぐにリングの中央に着地した。


次に、彼は呆然とするNPCスタッフに実験を始めるよう命令した。


そして、ユリオンの対戦相手に選ばれたのは、改良されたゴブリンたちであり、問題のある一体も混ざっていた。彼らは棍棒、斧、槍、長剣などの武器を手にしており、軽鎧も身に着けていたため、一見すると訓練された兵士のように見えた。


試合開始の笛が鳴ると、ゴブリンたちはすぐに散開し、ユリオンを包囲する形で攻撃を仕掛けてきた。


「さて、雑魚は一掃するか――第14位 雷魔法<天雷(てんらい)奏鳴(そうめい)>!」


無数の青白い閃光が周囲に放たれ、鼓膜を破るような轟音が続いた。眩しい雷光、焼けつくような雷撃、耳をつんざく雷音が一体となり、視覚、触覚、聴覚の三方面から、範囲内のすべての生物を蹂躙した。


疑わしいゴブリンを除いて、他のゴブリンたちは例外なく焦げた死体と化し、身体は炭化して濃厚な焦げ臭を漂わせた。どの死体も完全な形を保っておらず、断肢や粉々になったものばかりだった。


この一撃で、リングに立っていられるのは、その正体不明のゴブリンだけだった。


雷光が放たれる直前、そのゴブリンは剣を地面に突き刺し、迅速に魔法障壁を展開した。この障壁は雷光と熱量を遮断し、耳をつんざく雷音も防いだため、無傷でその一撃を耐え抜いた。


(ふ、ふざけるな!第14位の魔法でゴブリンを殺すだと!?Overkillにも程があるだろう……くそっ、ユリオン、お前そこまでするか!!?)


ユリオンが手加減するつもりがないことを悟り、疑わしいゴブリン……ゴブリンに変装したシーラーは、背筋が凍る思いだった。


「へえ……大したもんだ。たかがゴブリンが、第14位の魔法を防ぐとはな。火力を上げて、この奴の限界を測る必要があるな」


「グギィーッ――!?」


ゴブリンが人の言葉を理解するはずがないが、ユリオンの発言を聞いたシーラーは、その事実を隠すのを忘れてしまった。


その焦った反応により、ユリオンは目の前のゴブリンがシーラーの変装であることを確信した。


(スキル<幻破瞳>……ふん、高階幻術を見破るスキルを使っても、ゴブリンの姿しか見えないとは、この奴、なかなか準備がいいな。ならば……)


スキル:天命の人――単独戦闘時、敵の数に応じて自身のダメージが増加。対象が一人増えるごとに10%上昇


スキル:孤軍――単独戦闘時、全属性が10%上昇


スキル:龍鱗甲胄――物理防御、魔法防御、異常状態耐性が大幅に向上


スキル:浴血――生命上限が10%減少する代わりに、クリティカル率が10%、クリティカルダメージと攻撃力が20%上昇。最大9層まで重ねられる


スキル:不破――自身を3秒間『無敵』状態にし、すべてのダメージと異常効果を無効化。クールタイム10秒。クールタイムが終わると再度発動可能


スキル:聖輝付与――聖属性ダメージエンチャント、聖属性ダメージが30%上昇し、聖属性ダメージが貫通


スキル:征魔旗帜――暗属性耐性が上昇し、暗属性ダメージを20%減少


スキル:覚醒――精神攻撃耐性が上昇し、昏倒状態を無効化


スキル:生命の雫――生命値が持続的に回復


準備を整えた友人を見て、ユリオンも惜しみなくスキルを発動させた。しかし、シーラーの妨害により、それ以上の自己強化はできなかった。


(聖属性増加と暗属性減少!?全部俺に対する強化じゃないか……ユリオン、この野郎、俺がゴブリンに変装してるのを見破ったのか……?)


剣を振り下ろしながら、シーラーは自分が既に露見した可能性に気づき、やけくそになってスキルを発動させた。


絶え間なく襲いかかる斬撃に対し、ユリオンは白銀のガントレットを装着した拳で真正面から応戦した。彼が装着しているガントレットは、lv5の伝説級装備だが、ユリオンにとっては低品質な装備であり、このような練習試合でしか使用しないものだった。


(ちっ、やはり手強い……接近戦では大きな優位を得られないか)


複合型のユリオンと違い、シーラーは接近戦に特化している。『魇月剣聖』の称号を持つシーラーは、スキルの加護により、その剣術は達人級の水準に達している。


したがって、近接戦だけでシーラーを圧倒するのはユリオンにとっても容易ではなかった。


(スキル<神速俊足>――わあああ!?)


加速スキルを使用したゴブリン(シーラー)は、ユリオンの下半身を狙って側蹴りを仕掛けようとしたが、バランスを崩してしまい、その隙を見逃さなかったユリオンは、無防備な腰に右フックを叩き込んだ。


(はあ?こいつ、何をやっているんだ……?)


攻撃が成功したユリオンは、シーラーの変な動きに一瞬戸惑った。しかし、シーラーはその機を逃さず、ユリオンとの距離を取った。


(お、おかしい……これはどういうことだ?加速したのに、なぜ制御が難しくなるんだ、システムの『補助システム』が……ああああ!!!)


鋭敏なシーラーはすぐに気付いた。今の彼らはゲーム内にいないのだ。したがって、『補助システム』に頼ることなく、強化された身体を操る必要がある。異世界に来てから本格的な実戦を行っていなかったシーラーは、この問題に気付くのが遅れたのだった。


ユリオンは事前にこの点を確認し、エレノアとの定期的な体術訓練を通じて、『補助システム』に頼らない戦闘方法に適応していたのだ。


これは、単なる事前準備の差でしかなかった。


(くそっ、体の動きが変だ……今まで気づかなかったが、「補助システム」を失うとこんなに操作が難しいのか。おかしいな――ユリオンも同じ状況のはずなのに、なぜ彼は平気なんだ!?)


「そのゴブリンはどういうことだ!?たかがlv500の魔物が、どうしてユリオン様の攻撃を防げるんだ?」


「これはスキルか……このゴブリンがどうしてスキルを使えるんだ?しかも高階スキルばかりだ!」


「早くそのゴブリンのレベルを確認しろ!なに……『???』だと?アイテムの鑑定が妨害されているのか?」


「本当にゴブリンか?ユリオン様と互角に戦えるとは……まさか、君臨者(プレイヤー)様か!?」


壇上の二人の交戦が激しさを増す中、観戦しているスタッフたちも異変に気づいた。その時、ちょうどユリオンが振り出した拳とゴブリン(シーラー)の剣がぶつかり、強烈な衝撃波が瞬時にリング全体を覆い、観客にまで及んだ。


「第18位防壁魔法<天狐領域>――汝ら、立ち尽くすな、早く防御を固めよ!」


「「「承知しました!」」」


無関係な人々に被害が及ばないよう、美羽は急いで高階の結界を張り、リング全体を覆った。同時に、観戦している部下たちに指示を出し、魔法の支援をさせた。


「ギィヤヤヤヤ!!」


(くそっ、確かに<痛覚遮断>を発動しているのに、手が痺れる……衝撃が強すぎる、彼の拳を避ける方法を考えなければ)


シーラーは力強く跳び、ユリオンとの距離を取るために後方に飛び退いた。そして自身の職業スキルを発動した。


(スキル<マルチプル・ソリッド・イリュージョン>)


スキル発動の次の瞬間、ゴブリン(シーラー)の周りに、彼と同じ外見のゴブリンが10体現れた。もちろん、見た目だけでなく、彼らの鎧や武器も本体と同じだった。


その10体のゴブリンはユリオンに向かって突進し、本体だけがその場に残った。


(第6位氷魔法<寒氷(アイス)裂桩(スパイク)>)


迫り来るゴブリンたちに対し、ユリオンは15本の氷柱を放って反撃したが、その氷柱は難なく飛び交うゴブリンを『貫通』し、まるで魔法のように全く損傷を与えなかった。


(第7位の氷魔法<連結氷壁><魔氷傀儡>)


巨大な氷の壁が地面から現れ、その壁からは複数の氷でできた人型のクリーチャーが湧き出た。氷の傀儡たちは鋭い腕でゴブリンに攻撃を仕掛けたが、彼らの攻撃もまた効果がなく、逆にゴブリンに剣で斬られた。


氷の傀儡を全滅させたゴブリンたちは壁を突き破り、さらに突撃を続けた。


(やはり実体のある幻影か……職業スキルまで使うとは、シーラーのやつ……演技をやめるつもりか?)


<マルチプル・ソリッド・イリュージョン>はシーラーの職業スキルで、使用者の外見に似た10体の幻影を作り出すことができる。幻影であるため、ほとんどの物理・魔法攻撃は彼らにダメージを与えられないが、彼らはダメージを与える能力を持ち、一方的に相手を攻撃することができるため、『実体』のある幻影と呼ばれる。


「たかがゴブリンのくせに、随分と生意気だな。この程度の手品で俺に傷をつけられると思うのか?」


ユリオンは挑発を続け、腰に掛けていた愛剣――Lv6創生級武装<虹星の欠片>を抜いた。


漆黒の刀身が星光を放ち、その剣が描いた空間には黒の亀裂が刻まれ、亀裂は急速に広がり、近くにいた三体のゴブリンを飲み込んだ。


超高い空間干渉能力を持つ<虹星の欠片>、その斬撃の対象は幻影のゴブリンではなく、彼らが存在する『空間』である。簡単に言うと、幻影のゴブリンたちをそのまま異次元に投げ込んだのだ。


自分の存在が脅かされていると察知した残りの7体の幻影のゴブリンたちはすぐに動きを止めたが、ユリオンは彼らに休息の時間を与えなかった。


(スキル<神速俊足><思考加速><反射神経特化>)


三重のスキルの加護を受けたユリオンは目にも留まらぬ速さで、電光石火の四連斬を繰り出した。


瞬く間に残りの7体の幻影のゴブリンは全て次元の彼方に葬られた。


実体のある幻影を殲滅したユリオンは再びゴブリン(シーラー)に視線を向けた。


「やはり時間稼ぎか、本命は……原初魔法か」


氷の壁の向こう側で、ゴブリンの姿をしたシーラーの周りには複数の精緻な幾何学模様が浮かんでいた。醜いゴブリンの外見と相まって、観客には非常に不快な印象を与えた。

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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