間章:生まれ変わった人
都内の大きな病院にて、一人の少女が救急室のベッドに横たわっていた。
長い間病気に苦しめられ、彼女の体は痩せ細り、肌の艶も失っていた。
かつての黒く美しい髪も、長期間の化学療法によりすべて抜け落ちていた。
ここにどれくらいの時間いたのか、数か月なのか数年なのか、彼女にはもうわからなかった。体感時間はとっくに混乱していた。
物心がついたときから、彼女は体が弱く、しょっちゅう入院しており、その人生の大半を病院で過ごしていた。
今回も、家で突然倒れた後、急性白血病と診断された。
「心拍数が低下、生命兆候が弱まっている」
「血圧が下がり、多臓器不全を起こしている」
「もうダメだ…このままでは長く持たない」
「早く家族に連絡して、危篤通知を出してください」
意識がぼんやりしている中でも、これらの声が少女の耳に入ってきた。
彼女は、自分の時間がもう残り少ないことを分かった。
かつては、他の少女たちのように大人になり、愛する人と恋に落ちることを夢見ていた。しかし、それはすでに贅沢な望みとなっていた。
それでも、彼女は<意識転送>技術を使い、仮想ネットワークの中で仲間たちと冒険し、笑い合い、貴重な思い出を手に入れた。
(ユ、リオン…寒い、どこにいるの?)
彼女は心の中で、思いを寄せる人の名前を呼んだが、返事はなかった。
「心拍が停止した、電気ショックが必要だ」
「両親はまだ到着していないのか?」
「彼女のおじいちゃんとおばあちゃんが外で待っている」
「早くお年寄りを中に入れて」
今にも命が尽きそうな状況だったが、少女の両親は姿を見せなかった。
彼女には、両親が来ることはないとわかっていた。入院中も一度も訪れなかったからだ。
医療費は出してくれたものの、ずっと傍にいて世話をしてくれたのは、年老いた祖父母だった。
「リンオン!頑張れ、おじいちゃんが来たぞ」
「おばあちゃんもいるよ、リンオン、頑張って!まだ行かないで」
医師の許可を得た二人の老人が急いで救急室に入り、愛する孫のそばに駆け寄った。
(おじいちゃん…おばあちゃん…私——)
どうにか返事をしたかったが、体はまったく動かなかった。
「リンオン!お願いだから行かないで、私たちを置いていかないでくれ!」
「うわああ…リンオン、リンオン、お願いだ、まだ話したいことがいっぱいあるし、一緒に行きたい場所もたくさんあるの…どうか頑張って!」
二人の老人は涙を流しながら、全力で孫を呼び止めようとした。
ピー——
心電図の波形は完全に消え、少女の命もその瞬間に尽きた。
時限が来た、結果はもはや逆転できない運命だった。
こうして、彼女の意識は闇の中で徐々に遠のいていった。
しかし、このとき彼女はまだ気づいていなかった。新たな旅がひそかに始まっていることを。
本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後に――お願いがございます。
もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。
また、感想もお待ちしております。
今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!