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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第三章:遥かなる場所からの侵入者
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Ep 10:故郷を守る英傑たち④

「予想外……まさかこれほど一方的な展開になるとは」


「ああ、<諸国連盟>にこんなレベルの人物が潜んでいたとは思わなかった」


「あの大量の根を召喚する魔法、第15位の<根源樹海>でしょう?相手は少なくともlv750以上よ。でも残念ね……あの光柱が何なのか分からないと、これ以上の推測はできないわ」


椅子に座るユリオンとシーラーは、目の前の光景に感嘆しつつ、シーラーの隣に座る彼の恋人、緋月は画面から得られる情報を元に推測を続けていた。


彼らが話しているのは、三次元映像に投影された、<諸国連盟>が魔物軍を殲滅する映像だった。


その映像は特殊部隊<天数序列>が遠望魔法を使って遠距離から撮影したものであり、画質は若干低かったが、それでも大まかな情報を把握することはできた。


映像の別の側面――


背中に半透明の翼を持つ少年が、敏捷な身のこなしで木の枝の間を素早く飛び回っていた。


その少年の翼は蝶に似ており、それは半妖精族の特徴だった。


彼のあどけなさの残る顔には、毅然とした真剣な表情が浮かんでいた。移動中であっても、少年の碧い目は地面に這いつくばる魔物たちを見逃すことはなかった。


「……」


彼は黙って背中に掛けた、自分の身長ほどもある長弓を握った。続いて、細い腕で軽々と矢を弦に掛けた。


シュッ――!


鋭い風切り音が響き、矢が狙った一つ目巨人は危機に気付く前に頭を貫かれた。


「グォォ?」


巨体の巨人魔物は矢に射抜かれたが、それはただの刺痛と感じたようで、自分が攻撃されたことに気付いていなかった。


「グガァ!?」


しかしすぐに変化が起こった。その一つ目巨人は突然苦痛の表情を浮かべ、膝を突いて叫び声を上げた。そして身長5メートルの巨体が内側に『収縮』し始めた。脚から腹、胸、さらには腕にまで、その四肢と胴体はまるで何かに吸い取られるかのように急速に縮んでいった。


その一方で、矢が刺さった頭は膨れ上がり始め、矢は光を放ち、その光は膨張が進むにつれて一層強くなった。


ボン――!!!


膨れ上がった頭部は轟音と共に爆発し、猛烈な火光が周囲の魔物を巻き込み、地表に直径10メートル、深さ3メートルの円形のクレーターを作り出した。


その一つ目巨人を狙撃した半妖精の少年は、矢を放った後、次の地点へと移動し、放った矢が何を引き起こすかを熟知していたようだった。


彼は一矢を放つごとに場所を変え、追撃を続け、その爆発が魔物軍の後方を埋め尽くすほどで、人型魔物やゴーレムたちが次々と爆破の中で崩壊していった。


同様の襲撃が、森の至る所で次々と起こっていた。何もない場所から巨大な魔法陣が突然展開され、そこから大量の兵士が出現した。彼らは各種の武装を身に着けた亜人の兵士たちだった。


大軍の中央にいた遠距離攻撃に長けた魔物たちは、何の対策も取れないまま、その部隊に陣形を崩されていった。狼獣人、鬼人、ドワーフ、半竜人、ヴァンパイア、樹海の高等種族たちが総出で、無防備な魔物たちに強襲をかけた。


対峙する呪怨骸骨巫妖は、魔法を放つ間もなく亜人たちにあっさりと首を刈られた。距離を取ることができた者も、相手の魔法で先に一掃された。


「第10位 聖魔法<除穢の光>!」


「第8位 水魔法<竜顎>!」


「第9位 地魔法<多重岩縛>!」


聖なる光が照らした亡霊魔物を焼き尽くし、続く水柱が竜の頭を形作り、その口を大きく開けて骸骨たちを次々と粉砕していった。そして、泥と岩で構成された9本の異形の巨腕が、拳打、斬撃、掌打、捕縛などの動きを駆使して、味方を避けつつ魔物たちを正確に撃破していった。


これらの魔法を使っていたのは、亜人部隊の中でも最も目立つ数名のメンバーであり、彼らは状況に応じて単独で行動し、ゲリラ形式で戦局を支援していた。


「明らかに優勢なのに、こいつら全然引く気がないね。これらの魔物……まさか、頭がないの?」


「待て待て、骸骨に頭があるわけないだろう?アンデッド系の魔物は疲れもしないし、感情もない。対処するには殲滅戦しかないって常識だろう……?」


「話は後だ!敵はまだ残っている、集中しなさい」


軽く会話を交わしているのは別動隊の狐耳の少女とエルフの青年だった。戦闘が続く中、その様子を見かねたヴァンパイアの少女が、すぐに声を上げて気を緩めた二人を叱りつけた。


ボン――!!!


遠くから耳をつんざくような轟音が響き渡った。目を凝らすと、地平線の向こうに巨大な火球が上がり、その中にいくつもの巨大な物体が爆風で空中に飛ばされているのが見えた。火光の中でそれらの輪郭がぼんやりと浮かび上がった。


激しい爆発が塵や木片を巻き上げ、放射状に広がり、広い範囲を覆っていく。


部隊の中で魔物を掃討していた三人も、その音源に視線を向けて足を止めた。


「うぅ……耳が痛い……あれは魔物軍の主力がいる場所じゃない?確か、軍の後方に……」


「今の爆発……シルル、もしかしてお姉さんの仕業か?」


音に敏感な狐耳の少女は、顔をしかめて耳を押さえた。親切心から治癒魔法を施すエルフの青年は、もう一人の仲間に目を向け、その推測を口にした。


「うん……多分そうだと思う。後方の地竜5頭を片付けるって言ってたし、こんなに早く動くなんて……」


ヴァンパイアの少女、『シルル』は困ったように頷いた。彼女は白い指で眉間を押さえ、家族の行動に頭を痛めている様子だった。


「やりすぎだ……本当に巻き込まれそうで心配になるよ。あの人は『適度』ってものを知らないんだ」


「恥ずかしいところを見せてしまい。姉は友軍としては……頼りになるんだが。ごめん」


エルフの青年の愚痴に対し、シルルはなんとか姉を弁護しようとしたが、彼女自身も納得していないようだった。


現在、三つに分かれた魔物大軍があった。


その前衛の300余りの獣型や昆虫魔物は、<根源樹海>から召喚された巨大な根茎によって完全に殲滅された。


中衛の魔法部隊、約1,000のアンデッド術士の陣地は亜人方の主戦場となり、多大な戦力を投入し、<群体転移>で奇襲を仕掛け、圧倒的な優位に立っていた。精鋭部隊のゲリラ戦と相まって、一方的な戦況を形成した。


大後方――人型魔物、ゴーレム、5頭の地竜がいる場所は、今や焦土と化していた。そこに派遣された亜人の戦力は10人にも満たなかったが、百倍以上の敵軍を容易に全滅させた。さらに驚くべきことに、彼らはその火海から無傷で退いた。魔物軍の主力は、彼らにとって全く問題にならなかったようだ。


亜人軍の勝利は目前であり、残党を掃討するだけで、この人魔の戦いは幕を下ろすだろう。


「やっと終わりが見えてきた……<役鬼符>」


近くの魔物がほとんどいないことを確認した狐耳の少女は、退屈そうにため息をつき、広い袖口から奇妙な図案の描かれた数枚の紙符を取り出した。彼女は魔法で風を操り、紙符を散らして骸骨魔物の体に貼り付けた。紙符が命中した亡者たちは、不自然に動きを止め、その符咒が妖しい紫色の光を放った後、再び動き出した。


ただし、彼らの攻撃の対象は亜人から友軍の魔物に変わっていた。紙符が広がるにつれ、魔物たちの自滅の光景が増えていった。


「ちっ、逃げ出す奴が出てきたな。魔物に指揮官がいるのか?」


「逃がさない!lv4逸聞級アイテム――<封庭の鎖>発動」


エルフの青年の指摘を受け、シルルは手に巻いた銀の鎖を外し、空中に向かって投げた。


空中に飛んだ鎖は、予兆なく炸裂し、巨大な円形魔法陣が現れ、すぐに地面に落ちていった。その規模は戦場全体を覆うほど大きく、魔法陣の縁には鎖のような模様が刻まれていた。逃げようとする魔物がその縁に触れた瞬間、次々と倒れ、その体には鎖の模様が浮かび上がった。


その鎖の模様は魔物を動けなくし、地面に体を蠕動させるだけだった。後から到着した亜人部隊は、拘束された魔物を簡単に一つずつ葬り去った。


【シルル、私だ。敵の総大将が逃げた、今小隊員と追跡に入る】


【姉、姉さん!?何言ってるの!?長老たちから許可が出てないよ!?】


突然の伝訊に、シルルは驚愕し、幻聴かと疑った。


【そんなことは重要じゃない……敵は<魔境の森>に向かって逃げた、これはチャンスだ、敵の拠点が見つかるかもしれない】


【はぁ……?待って!無茶だよ、姉さん――】


シルルの言葉が終わる前に、彼女の姉は通信を切った。


やむを得ず、シルルは<伝訊魔法>で長老たちに状況を報告しながら、攻撃のペースを上げ、早くこの戦場から解放されるように努めた。

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