Ep 40:<遠航の信標>VS犯罪组织⑥
「ヴィンセントさん、緊急事態です!」
「どうした?そんなに慌てて」
周囲を捜索していたヴィンセントは、一人の慌てた冒険者に呼び止められた。
「多くの拉致された人々を発見しましたが、その中には状態が非常に悪い人も多く、すぐに治療が必要です!」
「何だって!?彼らは今どこにいる?」
「倉庫の端に集められています。現在、ギルドの魔法使いが治癒魔法を使って救援していますが、人数が多すぎて手が回りません。さらに、重傷を負った人もいて、低位の治癒魔法では効果が薄いのです」
「治癒魔法が使える援軍が必要だ……そうだ!ちょうど適任者がいる、あの少女に頼もう。」
ヴィンセントの脳裏に浮かんだのは、腰までの長い髪を持つ美しいエルフだった。
討伐作戦に参加した者たちは皆、そのエルフの少女の能力を体験していた。傷を瞬時に癒す治癒魔法、それは間違いなく高階魔法であった。
そう考えたヴィンセントはすぐにユリオンたちを見つけ出し、事実を伝えた。
「わかりました。あの人たちの助けになるなら、喜んで力を尽くします」
シーエラの同意を得て、ヴィンセントは安堵の笑みを浮かべ、急いでシーエラを連れて目的地に向かった。
状況は予想以上に悪かった——
目に映るだけで約200名の顔色の悪い男女がいた。彼らの体には多くの傷痕があり、瀕死の者も多く、明らかに拘束期間中に虐待を受けていた。
それに対し、治癒魔法を使う者は10名もおらず、全員を救うのは夢のような話だった。
その時、シーエラは群衆の中心にゆっくりと歩み寄った。珍しいエルフ、しかも絶世の美少女の登場に、多くの苦痛で呻く患者たちは女神が降臨したかのような錯覚を抱いた。
「癒しの光よ、我が手を巡れ、傷つきし者よ、すべての痛みを消し去れ——第5位魔法<医者の聖域>」
淡い緑色の光がシーエラを中心に広がり、瞬く間にすべての負傷者を覆った。
「ええ……痛くない?」
「傷が……治ってる?」
「奇跡だ、これは奇跡だ!」
「あのエルフ、いや!あのお方は聖女様か!?」
「聖女様!?まさか、目の前に見るなんて!」
「助かったぞ!聖女様万歳!!」
さっきまで瀕死だった人々は、シーエラの治癒によって瞬時に元気を取り戻した。傷だけでなく、失った体力も回復していた。
「ご協力ありがとうございます!後で、これらの事を冒険者ギルドに報告させていただきますので、どうかお待ちください」
「ほんの些細なことです、どうかお気になさらず」
冒険者たちの感謝の言葉に、シーエラは静かに微笑んだ。
(これで短期の目的は達成したわ。さすがあの方、計画通りに進んでいるわね。次は私の出番ね)
最初に治癒に専念するよう求められた時、シーエラはユリオンの意図を理解していなかった。しかし今では、それが自分の超人的な治癒力を示すための布石であったことを理解していた。自分の主の計画に、彼女は心から感服していた。
もちろん、ユリオンも凪の情報を通じて人質の健康状態を把握しており、すべてが彼の計画の一環だった。
労力を節約するため、ユリオンは凪たちに見張りをすべて排除させた。そのため、人質たちは戦闘に巻き込まれることなく、冒険者ギルドに安全に救出されたのだった。
シーエラが治療を終えた後、小柄な猫耳の少女は救出された人々の間を何かを探すように歩き回っていた。
「うん……見つけた!そこの人~ティナと少し話せる?」
「え?」
ティナが見つけたのは、彼女と同じくらいの年頃に見える少女だった。少女の服はボロボロで、頭には特徴的な犬耳が生えている。
「あのう、君はファンナですか?」
「え?そう、そうです。私はファンナですけど、君は?」
「私はティナよ。ファンナのお兄ちゃんの依頼を受けた冒険者です」
「ティセお兄ちゃん!?彼は無事ですか?」
「うんうん、とても元気よ。すぐに会わせてあげますから」
「よかった……うう、ほんとうによかった……」
兄が自分を探しに人を送ったことを知り、疲れた表情のファンナは喜びの涙を流した。
(これで依頼は完了だ。よかった!これで安心して、ユリオン様から報酬を受け取れる)
ティナは小さな両手を胸の前で握りしめ、勝利のポーズをとった。彼女は次の展開を楽しみにし始め、その表情は新しいおもちゃを手に入れた子供のようだった。
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