Ep 36:<遠航の信標>VS犯罪组织②
ある無人の裏路地——
黒いタイトな服を着た猫耳の少女が、恭しく片膝をつき、目の前の銀髪の青年に報告をしていた。
「殿、ご命令の件、手配完了しました」
「よくやった、凪。それで、あの暗殺者たちも始末したのか?」
「ご命令の通り。全員を処刑しましたし、人質に我々の姿を見せることもありませんでした」
「さすがだ、頼りになるな」
少し前、犬人族の青年からの依頼を受けたユリオンは、犯罪組織に関する情報を得るため、部下である情報員——凪と連絡を取った。
予想通り、凪と彼女の忍者部隊は、この都市内の全ての地下組織を把握していた。もちろん、最大規模の<ヒュドラ>も含まれていた。彼らは複数の下部組織を使って自分たちの存在を隠していたが、凪の前ではそれも無意味だった。
ユリオンが出した指示は二つあった。
一つ目は、現在拠点にいる<ヒュドラ>のメンバー全員を逃げられないように閉じ込めること。
二つ目は、人質を見張っている<ヒュドラ>傘下の暗殺者たちを抹殺すること。
「ギルドの隊伍が到着した後、彼らの拠点の出入り制限を解除しろ。ギルドが把握していない拠点については...凪、君が隊を率いて掃討してくれないか?」
「お任せください、殿の命令であれば」
「生け捕りにする必要はない。財物も忘れずに持って来てくれ。後で外で活動しているメンバーに分配する資金になるから」
「御心のままに」
「もし他の被害者を発見したら、顔を見られないようにして、見つかりやすい場所に放置しておいてくれ。」
「はっ、拙者は心に刻んでおきます」
注意事項を伝え終わると、凪の姿は裏路地から消えた。ユリオンもまた背を向け、待機している仲間たちのもとへ向かった。
今回の任務は、囚われた人質を救出するだけであり、ユリオンはこの城内の全ての<ヒュドラ>メンバーを一掃するつもりはなかった。
拠点内にいる盗賊たちを殲滅するよう指示したのは、彼自身の嗜好に過ぎなかったし、予算を集めるのが本当の狙いだったのかもしれない。
「ユリオン、良い知らせがあるぞ」
「何があったんだ、ガベート兄さん?」
がっしりとした体格の青髪の男がユリオンの元へ走ってきた。名目上、彼こそがこの隊伍のリーダーであり、ユリオンはそのガベートの子分として装っていた。
「さっき冒険者ギルドから連絡があって、ギルド長が今回の討伐に我々も参加してほしいとのことだ」
「意外だな。俺たちは新参者だというのに」
ユリオンは当初、犬人族の青年の依頼を利用して、この事件に介入する予定だった。しかし、現状を見る限り、その必要はなさそうだ。
「どうであれ、これはチャンスだ。ガベート隊長、早くギルドの人たちと合流しよう」
「そうだな、彼らはもう出発の準備ができている頃だ」
シーエラの提案により、ガベートは隊を率いてギルド会館へと向かった。
ちなみに、貴族に連絡するために派遣された<ヒュドラ>の使者は、途中で凪の部下に捕まり、情報を絞り取られた後、この世を去り、その遺体はその貴族の邸宅の前に放置された。
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