Ep 5:模擬戦PVP①
<方舟要塞>の城内、公会長のプライベートルーム。
部屋の主であるユリオンは、柔らかいベッドの上からゆっくりと身を起こした。
彼は隣で寝ている人を驚かせないように気をつけながら、伸びをしてぼんやりとした意識を呼び覚ました。
既に人間の域を超えている彼には、元々睡眠や食事の必要はない。これは彼の種族がもたらす特殊な体質のおかげだ。
しかしそれでもなお、彼は普通の人間のように安らかに眠り、そして朝を迎える。その理由を語るには、どうしても隣で寝ている人物のことを避けて通れない。
ユリオンと同じベッドで寝ているのは、滝のように流れるプラチナブロンドの髪、絹のように滑らかな白い肌、そして楚々たる美しさを持つ少女だ。
少女はまるで絵画から飛び出してきたかのようで、その美しさには息を呑むほどだ。
彼女の精緻な横顔は少し幼さが残り、無邪気な笑顔が浮かび、まるで美しい夢を見ているようだった。
驚くべきことに、毛布に覆われた彼女の半身は一糸まとわぬ状態で、無防備にユリオンの目の前にその肌を晒していた。
「ふふっ」
彼女の幸せそうな寝顔を見つめながら、ユリオンの頬には柔らかな微笑みが浮かんだ。
(もう遅い時間だな、ちょっと心苦しいけど……)
「シーエラ、起きて。もう朝だよ」
ユリオンは少女の耳元でささやき、そっと彼女の肩を揺り動かした。滑らかで弾力のある感触が手のひらに伝わってきた。
「んん……ユ、リオン様……?」
何度か呼びかけた後、エルフの少女――シーエラはようやく夢の中から目を覚ました。
宴会が終わったその夜、自分の創造主であるエレノアが一緒に寝ることはなかった。そこで昨夜、ユリオンとシーエラは珍しく二人きりの時間を過ごした。
実は最初、美羽も一緒に入りたがっていたが、シーエラが彼女と何かしらの交渉をしたらしく、最終的に彼女は譲ることにした。
「おはよう、シーエラ。昨日はよく眠れたかい?」
「おはようございます、ユリオン様。本当にとても快適でした——幸せすぎて信じられないほどです」
「はは、そうか。それは良かった。たまにはこうして二人きりもいいものだね、次の機会にもまたしよう」
「はい!このようにユリオン様を独り占めできるのは、私にとって非常に貴重な経験です」
シーエラは陶酔したように笑顔を浮かべ、その白い顔がほんのりと赤く染まった。言葉にできない幸福感が二人の間に漂っていた。
彼女の笑顔に引き寄せられるように、ユリオンは無意識に彼女との距離を縮めた。
シーエラは拒むことなく、そっと目を閉じ、そして心得たように顎を少し上げた。
「チュッ——ん」
蜻蛉が水面に触れるような、瞬く間のキス。
おそらく彼らにとって、これこそが新しい一日の始まりにふさわしいのだろう。
※※※※※※※※※※
衣装を整えた後、ユリオンとシーエラはメイドに給仕されながら朝食を共にした。
最初は主人と一緒に食事をすることに恐縮していたシーエラだったが、ユリオンの懸命な説得により、ようやく同意した。
他人の目を避けてシーエラが窮屈に感じないようにするため、またゆっくりと朝食を楽しむために、ユリオンは他の人々を退け、料理を運ぶときだけメイドが部屋に入るようにした。
主人の心遣いを感じ取ったのか、あるいはその気持ちに動かされたのか、シーエラは普段よりもリラックスしているように見えた。
彼女はユリオンの食事の給仕を申し出ず、できるだけ対等な立場で彼と共に食事を楽しんだ。NPCと平等に接したいと常に思っていたユリオンにとって、シーエラの振る舞いは喜ばしいものだった。
コンコンコン――
短いノックの音が響き、ちょうど二人が食事を終えたところで、ユリオンは相手を部屋に招き入れた。
「どうぞ」
「失礼します、ユリオン様」
「イリス、何かあったのか?」
部屋に入ってきた黒髪の少女は、昨日ユリオンの近侍になったばかりのイリスだった。
彼女は何か緊急の知らせがあるようで、焦った表情をしていた。
「ユリオン様、申し訳ございません。できればすぐに闘技場へお越しください。緋月様が――」
「落ち着け、緋月がどうしたんだ?」
仲間に関することだと知り、ユリオンの表情も一変した。
「緋月様がシーラー様と決闘をしています!」
「何だって――!?」
(あの二人、一体何をしているんだ!!?)
あまりの衝撃的な内容に、ユリオンは目を見開いて呆然とした。
事態が自分の想像以上に複雑であることに気づいたユリオンは、すぐに現場へ向かうことに決めた。
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