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Ep 3:こんな世界で君と再会する②

夕方、ある寝室にて。


その時、武装を解き、セーラー服に着替えたエレノアは静かにベッドの横の椅子に座っていた。


彼女は静かにベッドで眠っている銀髪の少女を見守っていた。水色の瞳には優しさと安心感が交錯していた。


少女の顔立ちはエレノアと非常に似ており、姉妹と言っても違和感はなかった。


(リゼリア様……)


彼女は心の中で銀髪の少女の名前を念じた。外見の年齢は自分とほとんど変わらないが、彼女はエレノアを創り、育ててくれた。


一度はもう会えないと思っていた人が、今、自分の目の前で安らかに眠っている。この現実がエレノアにとって喜びでありながら、少しの非現実感もあった。目を離すのが怖かった。リゼリアが消えてしまうのではないかと恐れていた。


(本当に良かった…リゼリア様、ご無事で本当に良かった……)


長い間の思いがついに解放され、エレノアの目には涙が浮かんだ。


ベッドで眠るリゼリアの胸は呼吸とともに微かに上下していた。彼女の表情は非常に穏やかで、傍にいる少女騎士の存在を感じ取っているかのようだった。


「う…ん…エ、レ?」


「はい。ここにおります、リゼリア様。何かご用でしょうか?」


「うん…どれくらい寝てた?」


意識がまだ完全に覚醒していないリゼリアは、眠そうな目をこすった。


「だいたい2時間くらいです。まだお疲れでしたら、もう少しお休みください」


「そんなに…ずっと傍にいてくれたの?」


「はい、それが私の役目でございます」


当然のように答えるエレノアを見て、リゼリアはほっとした。


「う…ごめんね、ずっと付き合わせて。君にも自分の用事があるだろうに。本当に——」


「そんなことをおっしゃらないでください、リゼリア様。お傍にいるのが私の願いであり、ユリオン様からの頼みでもあります。全く苦ではございません」


「ユリオンが…そうか。でも、彼も心配性すぎるわ。私、子供じゃないんだから、本当に……」


口では文句を言いながらも、リゼリアの口元には笑みが浮かんだ。彼女の頬は微かに赤らんで、まるで恋する少女のようだった。


「そうだ、エレ、お願いしたいことがあるの」


「どうぞ、おっしゃってください、リゼリア様」


「う…そんなに堅くならないで……」


リゼリアは苦笑し、適切な言葉を選びながら口を開いた。


「エレ、私のことを‘リゼ’って呼んでくれない?私は偉大な人物じゃないし、‘様’なんて呼ばれる必要はないわ。それに、みんなもそう呼んでいるし、君がそう呼んでくれたら嬉しいわ」


「えっ…でも!私は…私はただのNPCですから、創造者の名前を直呼びするなんて恐れ多いです」


「でも、君も私の子供なのだから、私のわがままを聞いてくれない?」


リゼリアはエレノアの手を取り、輝く目で彼女を見つめる。


「うん…そう言えば!ユリオン様が同意してくだされば!そうすればそうします、結局あの方は今の私の主人ですから、無視するわけにはいきません」


「ふふ、そうなのね。うん、大丈夫、じゃあ早速彼に聞きに行きましょう」


「えっ、今すぐですか?」


「そうよ、私も十分休んだし、ちょうど彼と話したいと思っていたところよ」


エレノアの慌てた様子を見て、リゼリアは優しい表情で彼女の水色の髪を撫でた。


「リ、リゼリア様…?」


「君は彼をとても大事にしているのね、ちょっと嫉妬しちゃうわ」


「うっ…私、私もリゼリア様をとても大事に思っています…うん~」


リゼリアに撫でられて、エレノアは目を細めて気持ちよさそうにし、反論の声も次第に小さくなった。


「ありがとう、エレ。私がいない間、彼を支えてくれて…本当に頑張ったわね」


「リゼリア様……う——!」


エレノアはずっと彼女の託した責務を重んじ、全身全霊でユリオンに尽くしてきた。彼女は報酬を求めることなく、尽くすことを当然と考えていた。


それでも、彼女は感動せずにはいられなかった。自分の存在と価値が認められたことに、創造者からの認めに。


「うう…リゼリア様…う——リゼリア様……」


彼女はリゼリアの胸に飛び込み、子供のように泣き続けた。


リゼリアは何も言わず、ただ静かに彼女の背中を撫でていた。


しばらくして、エレノアの気持ちは落ち着いた。自分の行動に恥ずかしさを感じたのか、エレノアは無意識に視線をそらし、リゼリアを直視できなかった。


その時、突然の通信が彼女の気まずさを和らげた。


【エレ、リゼは目を目覚めたか?】


【あ、ユリオン様…はい、彼女はもう目を覚ましました。何かご用でしょうか?】


【ちょうど良い、彼女を連れて食堂に来てくれないか?】


【はい、わかりました】


通信を切り、エレノアは深呼吸を整え、先ほどの通話内容をリゼリアに伝えた。


「確かに、もう夕方になっているわね。では、早速出発しましょう。そういえば、紅音とシェスティを見かけたかしら?さっきは彼女たちもいたわ」


「彼女たちは来るのが少し遅れたので、今はこの間の情報を整理しています」


エレノアが言うその二人も、自分と同じくリゼリアによって創造され、この世界に一緒にやってきたNPCたちだった。


「やっぱり、もうしばらくここにいるの?」


「うん、もう半月くらいになりますね」


「また後でゆっくり話してね」


「わかりました」

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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