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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第四章:滅びへと導く外来者――滅亡の序曲
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Ep 3:叙勲と祝賀宴③

「次はフィリアだ。前へ――」


「はい!」


凛とした声と共に、制服に身を包んだ白い翼を持つ長髪の少女が、群衆の中から前に出てユリオンに向かい、膝をついて礼をした。


「臣下フィリア、至高の創造主に謁見いたします」


「うん……ちょうどいい時に来たな」


(やはり彼女の考えは全然読めないな……表情も全く変わらない。はあ、胃が痛い……)


ユリオンはフィリアのようなタイプの人と接するのが得意ではなかった。極端に言えば、彼女と話すだけでも精神的なプレッシャーを感じるほどだ。冷淡な氷のような美人……そんなイメージで創り出したフィリアは、まさにユリオンが設定した通り、淡々とした表情を保っていた。先ほど褒美を受けた者たちとは異なり、彼女の顔には喜びの色が一切見えず、まるで報酬に全く興味がないかのようだった。


彼女にこのような設定を与えたのは、単に面白そうだと思ったからで、NPCの性格設定がゲーム中に反映されることはないだろうと考えていた。しかし、この異世界に転生して以来、当初の設定がNPCの人格に直接影響を与えていることが分かった。


どう接すればいいか分からなかったが、フィリアを創造した主人として、ユリオンは彼女との関係を良好に保つため、全力を尽くすことを決意した。


「フィリア、君は今回の作戦で、俺の期待を遥かに上回る成果を挙げた――よくやった」


「恐れ多いことです。今回の戦果は、すべてマスターのおかげです」


「それでも、君の功績は称賛に値する。相手を傷つけることなく、自分の力を存分に発揮して、20人以上の精鋭騎士の戦意を喪失させ、無事に捕らえた……これは普通の人にはできないことだ」


当初の計画とは異なり、フィリアは侵入してきた調査隊を全滅させず、逆にユリオンに相談して、生け捕りにしてもいいかと尋ねた。


彼女のこの行動は、ユリオンの予想を大きく超えていた。彼の観察によると、NPCたちは君臨者(プレイヤー)に無条件で従い、命令に疑問を抱くことさえなかったからだ。


ユリオンは、これはフィリアの「成長」の証だと考えていた。彼女は自分の判断で、他の選択肢を考えるようになったのだ。もちろん、これはフィリアがユリオンの決定を軽視しているわけではない。そうでなければ、すぐに許可を得ようとはしなかっただろう。


ユリオンは少し考えた後、王座から立ち上がった。


「聞け――<方舟(アーク)要塞(フォートレス)>に仕える者たちよ、君たちは忠実にすべての指示を遂行してきた。その忠義は確かに貴い」


「だが、ただ俺たちの指示に従うだけでは、それではまだ足りない……」


この言葉を聞いたNPCたちは、顔を見合わせ、多くの者が不安な表情を浮かべた。自分たちが何か間違いを犯したのではないかと心配しているようだった。


彼らの不安を察したユリオンは、さらに言葉を続けた。


「我々のもとに生まれた子供たちよ、覚えておいてほしい――我々は君たちを、思考力のない、ただ命令に従うだけの人形にしようとは思っていない。君たちが持っている力、知識、信念をどう活かしてギルドにもっと利益をもたらすか、それを自ら考えることが重要だ」


「我々は万能の神ではなく、すべてを完璧にこなせるわけではない。それゆえに、我々も間違うことがある」


創造された存在であるNPCたちは、例外なく創造主(プレイヤー)を全知全能の存在と見なし、自分の命さえも捧げる覚悟で君臨者(プレイヤー)に従っていた。彼らにとって、プレイヤーの命令はどんなものであれ達成すべきものであり、それが彼らの価値観だった。


しかし、これが問題を生むこともあった。たとえば、命令に盲従し、正しいかどうかにかかわらず従ってしまうことや、主人の言葉を過度に解釈して不要なトラブルを引き起こすことなどだ。


NPCたちには思考を放棄する傾向があり、それは決して良いことではない。これに対してユリオンは頭を悩ませていた。


ユリオンはNPCたちに意識改革を行う機会を探しており、そして今回、フィリアの行動を通じてその可能性を見出した。


「我々が完璧でないからこそ、君たちの助けが必要なのだ」


主人が自分たちを必要としていることを知り、先ほどまで暗い表情をしていたNPCたちは、目に輝きを取り戻した。


「よえに――考えなさい、我が子供たちよ。君たちの持つすべてを駆使して、どう選ぶべきかを考え、それによって君たちは成長し、我々の真の力となるのだ!」


「「「おおおおおお!!!」」」


雷鳴のような歓声が謁見の間に響き渡り、感動したNPCたちはありったけの言葉で賛美を捧げた。


儀式を進行させるため、ユリオンは右手を水平に上げ、皆に静粛を促した。


「フィリア、君は最初に俺に相談に来て、俺の命令を撤回してほしいと申し出た。先ほども言ったように、君の行動には非常に満足している。だからこそ、相応の褒賞を与えよう。前に出て――俺の前に来い」


「かしこまりました!」


羨望の眼差しを浴びながら、フィリアは冷静に歩を進め、赤い絨毯が敷かれた階段を登り、玉座の前に到着した。


ユリオンから約1メートルの距離で、フィリアは先ほどと同じ姿勢で跪き、騎士礼を捧げた。


ユリオンは満足げにうなずき、美しい装飾が施された儀式用の剣を抜き、フィリアの前に立った。


「<遠航の信標>ギルド長の名において――フィリア、君に『近侍』の地位を授ける。この瞬間から、君の直属部隊<天数序列>は俺の禁衛軍となり、君を禁衛隊長に任命する」


「また、部隊の増員も許可し、人数は君に一任する。そして、君には森の中に一つの領地を授ける。それを君の個人所有とする。」


彼は儀式用の剣を水平に構え、その剣身でフィリアの両肩に触れた。


「これからも俺のそばにいて、尽くしてくれ」


そう締めくくり、ユリオンは静かな声で皆に宣告した。


このユリオンの行動は、欧州の王族の儀式を模倣したもので、内心では少し恥ずかしさを感じつつも、新たな禁衛軍を設立するにあたって形式を重んじる必要があると考えていた。


「御心のままに!」


フィリアは顔を上げ、ユリオンを見つめながら、揺るぎない声で答えた。彼女の目には涙が浮かび、その頬を透明な滴が伝った。彼女は喜びを抑えきれなかったのだ。


ユリオンはさりげなく風魔法を使い、フィリアの涙を拭い取った。


主人の心遣いを受けたフィリアは、その厳かな顔に微かな微笑みを浮かべた。


(美しい……彼女にもこんな笑顔があったんだ……)


一瞬、ユリオンはフィリアの笑顔に見とれてしまったが、状況を考えすぐに意識を取り戻した。


フィリアへの叙勲を終えたユリオンは、続いてライインロックをはじめとする他の功績者たちの表彰に移った。


やがて、この表彰式は無事に幕を閉じた。

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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