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ギルドと共に異世界へ転移し、美少女ハーレムを手に入れた  作者: 曲終の時
第三章:遥かなる場所からの侵入者
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Ep 39:魔境入口への進軍⑧

「あはは~リゼに先を越されちゃったな。」続いて軽い口調で話題を引き継いだのはシーラーだった。


「リゼの言う通りだよ。ユリオン、お前がハーレムを作ろうとするメガネ野郎を罰するって決めたなら、俺がいないなんてありえないでしょ!?あらかじめ言っておくけど、お前が反対しても無駄だよ。これは俺の『決定』なんだから……俺、シーラー・エロスがどうしてもあの原住民の野郎にお灸を据えるんだ」


「俺をお前と同じにしないでくれ……はぁ、好きにしろ」


シーラーの動機は明らかに不純だったが、自分の罪悪感を支えようとしている彼の気持ちを理解して、ユリオンは心の中で彼に感謝した。


「ユリオン会長、私のことも忘れないでくださいね。副会長として責任を分担し、計画を立てるのも私の職務です。会長一人に全責任を負わせるなんて全く理不尽です」


「私もですよ、会長。必要なら、私も自ら戦う。この世界の実力者がどれほどのものか見てみたいんだ」


千桜と緋月も次々と自分の考えを表明し、みんなの支えを受けているユリオンも、冷静を装っていたが心を動かされた。


(こんな仲間がいてくれて、本当に良かった……)


ただ一人、顔に少しのためらいを浮かべてユリオンに話しかけた者がいた。


「えっと……僕はどうでもいいんですけど、その連中の中には、結構いい女騎士もいるんです。だから、会長……僕に一人くらい――」


「ランス……空気を読めよ」


「こ、これは『くっころ騎士』を手に入れる絶好の機会なんですよ!会長にはわかりませんか?」


「何が分からないって……お前は本当に口が軽いな、自分が危ないことに気付いてないのか?」


ユリオンに指摘されて、Xランス王Xはようやく気づいた。リゼリア以外の女性メンバー全員が彼に冷たい視線を送っていたのだ。


反応しなかったリゼリアは、困惑しながらユリオンに『くっころ騎士』って何と尋ねた。


「リ、リゼ!?君は、それを知る必要はない――!ランス、これ以上無駄口を叩くなら、本気で怒るぞ!」


「なんだか子供扱いされてる気がする……」


ユリオンが説明しようとしないのを見て、訳が分からないリゼリアは不満げに頬を膨らませた。


「ランスちゃん、死にたいの?」


「ランス……この状況では、俺でもお前を弁護できないよ」


「ランス、健全な魂は健全な身体に宿るのよ。君は『矯正』が必要だと思う」


「クズが」


アシェリ、シーラー、緋月はそれぞれ辛辣な言葉でXランス王Xを非難し、千桜はゴミを見るような目で彼を責めた。


「ちょっと待って……皆さんの意見は分かっているけど、少し具体的に説明したいと思う。静かにしてくれないか?」


ユリオンはこの事に時間を無駄にしたくなかったため、声を上げて皆を制止した。


「最近、俺の部下たちの実験により、<蘇生魔法>の実行可能性が十分に確認された」


「簡単に言えば……死体の『一部』が保存されていれば、蘇生魔法で亡者を復活させることができる。魔法の位によって<蘇生魔法>の効果が異なることは後で説明する。とりあえず、侵入者を全て殲滅し、その後指揮官の6〜7名だけを蘇生し、残りの者たちの死体を保存し、『人質』として相手との交渉材料にする計画だ」


「これが俺の考えた計画だ……今回の衝突は、間違いなく我々と王国、聖国勢力の戦争となる。規模は小さいだけど、性質は変わらない」


「両国が今後どのように対応するかは現段階では分からないけど、一種の大きな賭けと言える。なぜこんな賭けに出るのか、その理由は――」


ユリオンは先に受け取った<建国請願書>、そしてアレキサンダー勢力に関する部分を、一言一句会議の出席者に告げた。


「だから積極的に動こうとしたんだな、こんな事情があったとは…」


「会長の心配もわかるし、だからこそ私がもっと手伝わないとね」


ユリオンの全ての考えを理解し、シーラーと緋月の心の中の疑問が完全に解消された。


それが以前、リゼリアがユリオンを支持しようとした理由でもあった。彼女はユリオンが非常に正確な情報を急いで集めたがっていることをよく知っており、それは最愛のギルドを守るためであった。


「ユリ……それじゃ、亡くなった人たち全員を……?」


「それは無理だ」


「どうして?魔法が使えるのに?」


「これは『戦争』だ。犠牲者が出るのは当たり前のこと。もし全員を蘇生させ、彼らを無事に戻せば、それは彼らに何の代償も払わせなかったことになる。無形のうちに彼らの出兵コストを下げてしまうことになるのだ……」


彼は一瞬間を置き、続けた。


「さらに、彼らの母国の人々に我々が話しやすい『お人好し』だと誤解され、軽視される可能性がある。彼らは、どうせ損失がないのなら、もっと試してみてもいいのではないかと思うかもしれない。次回はもっと多くの人を派遣すれば、我々を倒せるかもしれないと考えることもあり得る」


「そんなこと……」


「だからこそ、彼らに『代償』を払わせる必要があるのだ。財力だけでなく、人力も欠かせない」


(『人命』と『コスト』を結びつけるなんて、やはり俺は……正常ではないな)


他人の命を重んじるアシェリは、ユリオンの目には非常に輝かしく見えた。それは彼が欠けている部分だった。


「ユリオン……」


自分の隣に座っていたリゼリアは、ユリオンがテーブルの下に置いた手をそっと握った。


彼女は多くを語らず、ただ静かにユリオンを見つめ、その手に力を込めた。まるで、どんな風になっても、私はあなたのそばにいると宣言しているかのように。

挿絵(By みてみん)

(リゼ……ありがとう)


銀髪の少女の行動に、ユリオンは心から感謝した。彼はその小さな手をそっと握り返し、彼女の手から流れ込む温もりを感じた。


会議は終了し、最終的に6対1の票数で、二国部隊の殲滅作戦が可決された。


会議室を出るまで、アシェリは一言も発しなかった。


本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


これからも引き続き頑張って執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


最後に――お願いがございます。


もし『面白い!』、『楽しかった!』と感じていただけましたら、ぜひ『評価』(下にスクロールしていただくと評価ボタン(☆☆☆☆☆)があります)をよろしくお願い致します。


また、感想もお待ちしております。


今後も本作を続けていくための大きな励みになりますので、評価や感想をいただいた方には、心から感謝申し上げます!

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