07 泣く
ほんの少しだけ、僕の旅は変わった。
料理はあの人がやってくれるようになった。
どんな料理を食べても表情を変えない僕に最初は怒っていたけど、何を食べても味がしないんだって教えると可哀想な人を見る目で僕を見るようになった。
本当に失礼だな、あの人。
いろいろな珍しい魔導具を持っていて、旅も仕事も結構楽になった。
その便利魔導具に広範囲周辺探索が出来るのがあって魔物とか追っ手とかの位置が分かるんで、上手い具合にいろいろ避けられるのですごく便利。
僕のテントの強力な隠蔽結界を破ったのも便利魔導具だったそうなので、なんか少しだけ気持ちがもやもやする。
身の危険を感じたんで前の職場から秘宝の魔導具をいっぱい持ってきたとか言ってたけど、そういうことするから追われるんじゃないのって言ったら、また泣かれた。
はいはいごめんね、便利だよねこの魔導具って言ったら、やっぱり泣かれた。
何だか僕の方が泣きたくなってきたよ。
テントはひとつしかないので、しょうがないから一緒に寝ている。
寒いときは暖房魔導具代わりになってありがたいけど、暑いときはべたべたしないで欲しいな。
何だか、ネコ暖房って言葉を思い出した。
仕事の報告とかで街に行くと、乱暴者や危ない連中からしょっちゅう絡まれるようになった。
あの人はやたらと強くて、そういう連中を全部返り討ちにしてくれる。
ボディーガード気取りだけど、そもそも君がいなければああいう連中から目を付けられることも無かったんだからね。
っていうか、あんなに強いなんてなんの調査員なんだよ。