10 一緒に
ふたりで僕たちの野営地まで戻って来たよ。
あの人はさっき槍使いの娘から渡された荷物を持って、呆然としているよ。
なんだろな。
こういう気持ち、初めてだな。
言っちゃおうかな。
「その中身、見せてください」
荷物、渡してくれたよ。
うつむいて震えてるんで、表情は見えないけどさ。
で、中身はっと、
なにこれ、
そうだ、孤児院の職員用の書架で見たよ。
なんてったっけ、
これって、そう、
「「網タイツ!」」
初めてあの人と一緒に笑えたよ。
あとがき
リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。
彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。
お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。
ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。
リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。
iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。
整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。
楽しんでいただけたら幸いです。