01『 』
『リヴァイス 04 召喚脱落者と女神の旅』のおまけの短編です。
お楽しみいただければ幸いです。
ずっと影が薄い人生だ。
孤児院の玄関の前に捨てられていたそうだけど、なかなか気付いてもらえなくて死にかけていたそうだ。
赤ん坊の時からそんな感じだったので自分にはそれが当たり前だったし、影が薄いことを特に不幸だとは思っていなかったけど。
遊びに誘ってくれる友達も無く、ひとり黙々と本を読む毎日。
お気に入りは魔物図鑑。
どこかの冒険者が寄贈してくれたそれを、本が傷まぬように大事にしながら読んだ。
15歳の成人の儀式、固有スキル鑑定の儀で出た『 』という鑑定結果に神官たちは首を傾げていた。
三度試したが結果は変わらず、結局僕は固有スキル無しと判定された。
それまで普通に接してくれていた孤児院の職員の態度が変わった。
どうやらここは奴隷商人と関係がある施設だったらしい。
成人するまで育てて固有スキルのレア度次第で孤児の売り値を決める。
そんな宝くじみたいな真似して商売になるのかと思ったけど、極希少スキル持ちだと信じられないような金額で取り引きされるみたいだ。
まあ、経営が成り立っていたのだからよくあるようなレアスキル持ち程度でもちゃんと値段がついていたのだろうね。
固有スキル無しと判定された僕は、孤児院からもいらない子と判定された。
影が薄いだけならまだしも人と関わるのが苦手、どころでは無く人間関係構築能力が皆無な僕には孤児院の子供たちの世話など務まるわけもなく、程なくして孤児院を追い出された。
影が薄かろうがスキル無しだろうが生きるためには働かなくてはならない。
武術も魔術も才能が無かった僕は冒険者になれないと思い込んでいたけど、魔物調査員という仕事が有ると知った。
魔物の分布や生態を調べて旅をする、それなら戦えない僕でも何とか出来そうだ。
もし新種を発見したらその危険度によってはとんでもない報酬がもらえるとも知った。
もちろん危険があることは分かっていたけど、影が薄い自分なら上手く隠れれば魔物程度ならやり過ごせると思っていた。
実際仕事を始めてみると確かにその通りだったけど、想像力が無いうえに考え無しだった僕が後々困った事に巻き込まれるのは至極当然だったのだろうな。
困るのは周りの連中だけで、僕個人はいつも通りの平常心だったけどさ。