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俺の手相が魔方陣!?  作者: 朝日中夕夜
2/3

異世界召喚(する方)

 前回のあらすじ!

 エルフでシコってたら何故か右手からエルフが出てきちゃった!


「ち、違う!俺は変態じゃない!」

 

「下半身丸出しの男が何を言ってるんですかっ!」


「男には下半身丸出しでも許される場合が3つある!風呂とトイレと自分の部屋だ、そしてここは俺の部屋。むしろ俺の部屋に無断で侵入したお前の方こそ変態なんじゃないのか!?」


「何をおっしゃいますかぁ!それにあなたの部屋?そんな筈はありません、ここはエルフの森の.....」


 と、そこでようやく彼女も少し冷静さを取り戻したようだ。


「ここは.....どこですか.....?」


 とりあえず落ち着こう、深呼吸深呼吸。

 突然右手が光り出したと思えばエルフとおぼしき女の子が右手から出てきた訳で、本来なら俺の方ももっと慌てふためいてしかるべきなのだが、そこはいま、賢者モードだから。普段より冷静さを保てているのだ。そして冷静になったついでにとりあえずおちんちんとエロ本を仕舞うことにした。


「あとちょいと右手も洗ってくるからちょっと待ってて、あとそこの引き出しの中とか絶対に覗いちゃダメだよ?」


「えっ、ちょっと!」


 これは一体何が起こっているのだろうか。とりあえず手を洗いながら考える。


「夢......にしては感覚がリアル過ぎるな。起きてることはファンタジーだけど」


 何かのテレビ番組のドッキリとか?

 はたまた最新鋭のVR技術の実験台にさせられてるとか?

 よもやエルフのふりしたただの泥棒?


「.....やっぱ本人に聞くしかないか」


 自分で考えても仕方がないと自室へと戻った。


 部屋へ戻るとエルフが俺のエロ同人を読んでるー!なんていうのがおきまりのパターンっぽいのだが、エルフは引き出しには手も触れず、というか部屋を出る前から一歩も動いていなかった。


「お聞きしたいことがあります」


 どうやら大分冷静さを取り戻したようだ。こちらとしても聞きたいことは山ほどあるのだが、ここは順番を譲ろう。レディファーストだ。


「ここは.....天国なのですか?」


「はいぃ?」


「違うのですか?私、状況的にてっきりそうなのかと、あなたが下半身丸出しだったのも実は天使さまだとしたら納得出来たのですが」


 天使は上半身も裸だよ。すっぽんぽんだよ。


「ええっと、ここは天国じゃないし、まして俺は天使では無い。人間だ、ヒューマンだ。おーけー?」


「ヒューマン.....?実際に見るのは初めてですがこれがヒューマンなのですか!ふむふむ、耳が短い以外はあまりエルフと変わりありませんね.....あ、あと生殖器も短い。」


「な、なんだとぅ!いいか!ペニスってのはなあ長さじゃなくて太さが大事なんだよお!!」


 ちなみに特に佑のペニスが太いという訳では無い。


「では、死んだわけではない.....?」


「あー、本題に戻ろう。俺も色々聞きたいんだが、まず君はエルフ、ということでいいのか?」


 そう尋ねると彼女は何を当たり前のことを確認しているのかと言った表情で答えた。


「え?はい、いかにも私はエルフです。エルフのメルメリゼと申します。」


 ついに本人の口から自分はエルフであるとの太鼓判が押されてしまった。

 まだそれが嘘である可能性も無いわけではないのだが、このメルメリゼと名乗った少女、エルフといえばの長い耳は勿論のこと、頭髪は薄桃色に輝いており、つぶらな瞳は宝石と見紛うような白銀、そしてもう全身からあふれでる聖なるオーラがこの娘が人間離れした存在なのだと証明していた。


 ついでにおっぱいもでかかった。


「あまり熱心に見られては恥ずかしいです.....あの、貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」


 そういえばこちらもまだ名乗っていなかった。


「えーと、俺の名前は倉宮 佑 17歳っす」


「クラミヤタスク様」


「あー、倉宮は名字で、えー、ファーストネームだからー.....名前で、佑とだけ呼んでもらえればいいよ」


「ではタスク様、この度は助けていただき本当にありがとうございました!!」


 ん.....?助ける?


「ちょっと待っておくれ、俺は君を助けた覚えは無いんだが」


「何をおっしゃいますか、ゴブリンの集団に囲まれてもはやこれまでと死を覚悟したところでございましたが気づいたらタスク様の元におりました。貴方様が救ってくださったのでしょう?」


 ゴブリンも実在するんだ!というところに反応しかけてしまったがいまはそこは置いておく


「ちょっ、と待ってくれ、俺は本当に何もしてない!君の意思で現れたんじゃないのか!?」


「そんな、私は何も。もう、諦めておりましたので.....」


 メルメリゼがやった訳じゃないなら一体どういうことなんだ.....?


「よく思い出すんだ、あの時俺はオナ、自家発電をして、そしたら突然右手が光りだして.....君が出てきた」


「右手が?よろしければその右手を見せてもらえませんか?」


 さっき念入りに洗っておいたから匂いとかしないよな.....おずおずと俺が右手を差し出すと


「こ、これは!?そんなことは、聞いたことが無い!でもこれは間違いありません.....魔方陣です!!」


「魔方陣?」

 ファンタジー作品で精霊だったり悪魔だったりを召喚するアレ?


「そうですよ!これです!人体に魔方陣を描くだなんて聞いたことがないですけど間違いなくこれが原因です!貴方はここから私を召喚したんです!」


 これ、というのは俺の右の掌。より性格には俺の『手相』であった。

 .....確かに昔から変わった手相してるな、とは思っていた。運命線長すぎだなー、感情線曲がりくねってるけど大丈夫かなー、結婚線的には9歳で結婚するなーとか思ってたけどコレ魔方陣だったのかよ!!


「いや、でももし仮にこれが魔方陣だったとしてもなんで突然君が出てきてしまったんだ?俺は特に君を召喚しようだなんて考えたりはしなかったぞ」


「.....そうですね、私の知る限りでは魔方陣による召喚には一定のプロセスを踏む必要があります。もしかしたら偶然にもそのプロセスを貴方様が踏んだということなのかも」


「そのプロセスって言うのは?」


「はい。まず第1に魔方陣を描く、です。一口に魔方陣の紋様と言っても様々な種類があり、その紋様によって召喚できる種族やそのレベルも変わってきます。魔方陣の紋様は秘匿されるべきものであり、高位の魔術師や王家の人間などのごく一部の人間だけに代々受け継がれるものと聞いていますが.....何故か貴方の右手には既にそれが宿っているようですね」


 .....俺の知る限りでは心当たりは全く無かった。ウチの両親は建築家と音楽家という珍しめな職業をやってはいるが、あくまで一般ピーポーだった筈だ。


「第2に魔方陣に血を捧げる、です。後に説明しますが召喚した相手とは魂の契約を交わすことになります。魂を繋げる際の触媒として血が必要になってくるという訳です。.....右手に血が付着したようなことはありませんでしたか?」


 怪我したような記憶は無いが.....ん、待てよ?.....まさか、血じゃなくて.....精液か!?そんなんで召喚できちゃっていいのか!?


「その顔、どうやら心当たりがおありのようですね」


「あ、ああ、ちょっとね、紙で指を切っちゃってさ」


 い、言えない!実は君は精液を触媒にして召喚されたんだ、だなんて口が避けても言えない!!


「そうでしたか、それでは最後に魔方陣に願いを捧げる、です。召喚というのは召喚した相手に自らの望みを叶えてもらうために行う行為です。お金持ちになりたい、病気を治したい、誰かに復讐したい、そう言った願いを捧げます。そして召喚対象は願いを叶えてあげる代償にこちらの望みも叶えてもらう。寿命を寄越せだったり供物を捧げさせたりとかですね。これが魂の契約です。タスク様、お怪我された時に何か願いごとをされたりなんてしましたか?」


 そういうことか、あのとき俺は.....


「.....もし危機に貧しているエルフがいたら助けたいと、そう願った」


「な、なんて奇特な方なのでしょう!!こんなにエルフのことを思ってくださるヒューマンがいらっしゃるなんて!では、やはりタスク様が私の救世主様です!!」


 い、言えない!エルフがゴブリンに陵辱されるエロ同人で抜いてたなんて!その罪悪感でエルフを助けたいと思ったなんて口が避けても言えないよおおおおおお!!


「い、いやほんとに大した人間じゃないから俺は。たまたま、ほんの気まぐれというか、ね?召喚出来ちゃったのも偶然だし」


「それでも助けていただいたのに変わりはありません!そうです、何かお礼をしなくては!」


 や、やめてえええこっちが罪悪感で死にたくなってくるからあああ


「お礼なんてそんな、本当に大したことはしてないから」


「そんなご謙遜なさらないでくださいませ。でもそうですね、私、着の身着のまま召喚されてしまいましたし、そうで無くても差し上げられるような物はあまり無く.....」


「じゃ、じゃあ無理はしないでいいから」


「そういう訳にはまいりません!」


 これは何がしてもらわないと彼女の気が済まなそうだ。ふーむ、エロ同人ならば、じゃあそのいやらしい身体でお礼してもらおうかな、ゲヒヒ!てな具合になりそうだが俺はそんなことはしない。人の良心につけこんで欲望を満たそうだなんて言うのは俺の正義の心が許さないのだ!.....あと、まだ若干賢者モードだし。


「じゃあエルフの世界のお話とか聞かせてもらえないかな、俺にとっては未知の世界だからさ」


「あら?もしかしてエルフと会うのも私が初めてだったりいたしますか?」


「う、うん。っていうか俺の世界にはエルフは物語の中にしかいなかったし」


「タスク様の世界?もしかしてここはエルフの森から結構離れたところにある地なのでしょうか。ジュナリス領地では無い?いえ、そもそもグラヴァン帝国でも無いのでしょうか?そういえばこのような壁や床の材質は見たことがありませんし家具も知らないもののようですね」


 あれ、もしかしてこの娘、気づいて無かったのか?


「あー.....ごめん。大事なことを伝え忘れてた。いや俺なんかは最近流行りのやつだからすぐピンと来たんだけど、エルフからしたらそりゃ最初は気づかないもんだよねー」


「?」


「ごめん、ここ異世界」


「.....はい?」


「つまり、君が住んでた世界とは違う世界。この世界にはエルフも魔法も存在してないんだ」


「え、.....ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」









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