第6話 はじめてのしんか
はじめてのしんか
この世界では成長することも含めて『進化』と呼びます。
ここテストに出るから覚えておいてね。
消去法でいこう。
初めに『グラウスリヒテス』貴様はダメだ。
病気を撒き散らす存在なんて、周囲はたまったもんじゃぁない。
だからお願い 熱があって咳が出る時は、おうちでゆっくり休んで。それが無理ならマスク付けて。
満員電車とかで、近くの人が咳するとまじでやべぇから。
俺、移されたから(経験談)
…話を戻すが、まぁそんな訳でグラウスちゃんはダメだ。
『神霊』も…まぁないな…
神聖魔法一通り扱える。って…俺使えるんですよねぇ…
という訳で『神霊』も除外。
次に『ヴァイス-シュピリトゥス』
能力の点、この子は特筆する点が少ない。
唯一の経験の受け継ぎだが、これも今の俺には関係ない。
よって除外…ごめんねヴァイスちゃん。
残るは『ロート-ドンナース』と『ストラーフ』
どっちもかっこいい
赤色の雷を纏う精霊
竜を型どる精霊
かっこよさでは同点だね。
では次能力の部分
ロート-ドンナースは
獰猛な性格で目に入る生き物に片っ端から戦いを挑んでく。
だがFランクなので、大抵の敵には負ける。
これではダメなのだ。
それに対し
ストラーフは、
Fランクの癖に地味に強い
というところだ。
これは決まったな。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
『ストラーフに進化しますか?』
『はい』
『進化すると1日昏睡します。』
『それでもいいですか?』
あっだめだ。
こんなサソリの出る、臭い場所なんかで寝てられない。
『いいえ』
『了解しました。進化を中断します。』
少しばかり周囲を探索する。
ここがいいかな?
洞窟の通路の途中。
ちょくちょく見かける横道。
中を慎重に覗く。
中は暗くて見えない…まぁ当たり前だが…
『光球』
もう1つの光源を追加する。
『よし、行け。』
光球を進ませる。
傍から見ると、俺が光球ちゃんをパシリにしてるみたいだ。
光球ちゃん、いつもごめんね。
…後でジュースでも奢ってあげるか。
光球2号が照らす先は行き止まり。
そこを住処にしている生き物もいない。
偽装してる恐れがあるので、鑑定をかける。
『鑑定』
『玄武岩』
『磁鉄鉱』
『玄武岩』
『玄武岩』
『緑柱石』
『玄武岩』
…うん大丈夫そうだな。
玄武岩が妙に多いな。
…うん。
周囲の石ころを集めて、横穴の奥に影ができるようにする。
外から見ても、これなら見えないだろう。
並べた石の隙間から入り込む。
なんか懐かしい…かまくらみたいだ。
昔はよく作ったなぁ…
先程入ってきた隙間を手元の石ころで閉じる。
2つの光球に労いの言葉をかけ、魔法を解除する。
うわ…真っ暗だ…
『スラトーラに進化しますか?』
『はい』
『進化すると1日昏睡します。』
『それでもいいですか?』
『はい』
『進化を開始します。』
気が遠くなってくる。
そう言えばこの世界で、まともに寝たのっていつだっけ…
…まぁ『不眠不休』があるから大丈夫なんだけどね。
ーーーーーーーーーーーーーー
わい
『ヴァイスちゃん…なんか伏線の匂いがプンプンする。』
う゛ぁ
『ふくせん?なんですかそれ?しませんよ…そんな匂い』クンクン