第4話 スパルタの果てに
お待たせしました。
超極限トレーニングの効果とは如何に!?
エリス視点
「これ壊れてんじゃないか?」
どうも平行世界の管理人ことエリスです。
今日も私は、暇そうにしてた人たちと一緒に、異世界へ転生した人間『北上 優斗』の観察をすることにした。
この世界の名前は『シュヴェルト』
かっこいいんだが、覚えにくい。
なんとかしてくれ。
実を言うと、私たち管理者の世界と違って、平行世界は物理法則を少し操作し、進行速度が早くなるようにしてある。
管理者たちのいる世界で1日過ごすと、北上の世界では1年間経過した事になってしまうのだ。
現在は魔王の動向を予測すると共に、北上優斗のこれからの成り行きを見届けるため、北上のいる世界の進行速度は1/360程になっている。
つまり、エリス達のいる世界と、北上の存在している世界は、現在同じ速度で進行していることになる。
「おかしいですね…進行速度を遅くしすぎたのでしょうか…」
彼の名前はジョン。今朝地球の管理局のオフィスにて一人だけ、突っ伏してたので引っ張ってきた。
なんでも二日酔いで休憩してたらしい。
そして、いつもの如く、当たり前のように私の左後ろに直立して、動かない彼…私の補佐役兼秘書である。名をトーマスと言う。
現在は私を含めたこの3人で北上の動向について観察していた。
だが、面白くないことに、彼はずっと寝たまま…
いや、いくら軽減したといい、彼には『不眠不休』のスキルがついていたはずだ。寝る必要はないと思うのだが…
魔王の進行は後10年は余裕があるといい、この調子では心配になってきてしまう。
するとトーマスが、印刷されたばかりの1枚のコピー用紙を持ってきた。
「これが現在の彼のステータスです。」
なになに? …っ!?おかしい…なぜmpの最大値が既に4桁も行っているのだ!
「寝てることと、魔力の最大値は何か関係があるのだろうか?」
気になったことをトーマスに質問する。すると彼からは意外な答えが帰ってきた。
「先日から交代で見張らせたところ、彼は魔力不足により、ずっと昏睡している…という状態のようです。
毎日、とある決まった時間に起きては、唯一の地上への出口
…洞窟に向かって魔法を放っては気絶している状態です。」
私はその話を聞いて、彼が怠けていた。と思っていた自分が急に恥ずかしくなった。
魔力の欠乏は、かなりの怠惰感、
そして苦痛を伴うものである。
彼…北上優斗は、一日中昏睡するほどの魔力を使用し、
魔力総量の底上げ、そして魔法レベルを上げているようであった。
それにはどれだけの苦痛が伴うのであろうか、
普通の血の通う生物なら、とっくに死んでいたはずだ。
ただの精霊がそのようなことをしたら、とっくに壊れているであろう…
彼は魔王のため、必死に努力している…
私は何をやっているのだろう…彼がこんなに苦しんでいるというのに、私は何も出来ていない…
彼が今も魔力欠乏に苦しんでいる…と思うと、
胸が締められるように苦しくなるのを感じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
北神 優斗 視点
うぇ…気持ちわりぃ…
何度目だろうか、100回ほど気絶したところで、雨が降ってきた。
雨に濡れるのは嫌なので、木陰になっている場所で雨宿りすることにした。
…あれ?もうやんじゃった?もしかして、これってスコールってやつかな?
雨が完全に止んだことを確認した俺は、また洞窟の元へ戻った。
周辺の苔は既に燃え尽きており、洞窟は表面が少しばかりガラス化している。
……どうしてこうなった?
朦朧とした意識の中で、淡々と魔法の練習を続けていたので状況が把握出来ていなかったが、実は想像していたよりも魔法のレベルが上がったのかもしれない。
心の中でステータスと唱える。
氏名-------
年齢 0歳
種族 インスパイア
性別---
ーステータスー
LV 1(5)
HP 10/10
MP 246/2063
STR 20
VIT 40
DEX 3
AGI 6
INT 1000
ースキルー
『鑑定』『状態異常完全抵抗』『超回復』『全ステータス10倍』『超隠蔽』『貫通』『炎魔法(23)』『水魔法適性』『土魔法適性』『風魔法適性』『光魔法(42)』『闇魔法適性』『並行思考』『タキサイキア』『不眠不休』『必要食事量超軽減』『生殖機能低下』『回復魔法(new)』『神聖魔法(new)』『爆裂魔法(new)』
ー称号ー
『憤怒』『神殺し』『アビス』『復讐姫』『人格なき学識』『禁忌』『法王』『管理者の加護』『聖人』
『回復魔法』
神への信仰心がなければ使用できないという話である。
魔力を変換して、体の治療を行う魔法。
消費が激しい。
50レベルを超えると部位欠損も治せるらしい…魔力が足りてればの話なのだが……
『神聖魔法』
この魔法が扱えるものは、神官のうちのひと握りもしくは聖女のみである。
扱えると言っても、ほとんどの人は神聖魔法のうち、初歩的なものしか扱えない。
称号『聖人』取得
『爆裂魔法』
炎魔法の上位互換
爆発の衝撃波や熱、破片などで攻撃出来る。
攻撃魔法が半数を占める。
『聖人』
素晴らしい行い、そして神への信仰心のあるものに送られる称号。
この称号の取得条件には例外があるらしい。
INt値2倍
……ここまで来て察しのいい方は分かっただろう。
MPの最大値が2063もあるのに、ライト如きでマイナスの値まで消費しているのだ。
もしかしてライトって、燃費の悪い魔法だったりするのか?
えっと…鑑定…
使用可能 光属性魔法
『光球』『光の矢』『光槍』『光弾』『フラバ-レーリャ』『リヒト-エスペーロ』『グレイ』『ルミエール』『ディーオ』『ピナカ』…
使用不可 光属性魔法(魔力不足)
『ライト』『シヴァ』『プロテッツィオーネ』…
おい。
一番最初に書いてあるやん。
『ライト』
それは神の怒り、
その光は衝撃波と共に、
目に映るもの全てが灰燼と化す。
それは呪いの光、
その地に死の病を植え付けるであろう。
……これ、あかり灯すやつじゃないよね?
『光球!』
自分の手のひらには野球ボール程の光の球
明かりにも扱えるし、非常時には敵に当てて攻撃にも使える優れものだ。
(ただし威力はクソ弱いがな。)
この上位互換に『光弾』そしてその上に『グレイ』が存在するらしい。
今回は洞窟を照らすという目的だけなので、上位互換の魔法は使わない。
生まれた時の卵の殻を、壁を伝うツタで背中に括る
(ダジャレじゃないよ?)
北上優斗の新しい冒険が今始まる。
……先程から視線を感じるのだが……まぁ、気の所為だろ。
たくさんのブックマーク、評価、コメントありがとうございます!