第54話 次は中層か……気をつけて進もうな……えっ、上層?
ロイヒテン
水中へ流れ出るウミホタルの発光物質のように、淡いミルク色の光が空中を漂う。
珍しい魔法もあったもんだ。
鑑定してみたのだが、この魔法の効果はただ光属性を纏わせた魔力を空気中に垂れ流しにするもの
興味本位で試して見たのだが、なかなかこれが面白い
例えるならスライムで遊んでいるかのような……あの頃の童心が蘇る。
「それ、珍しい魔法ですね。私も触っていいですか?」
『もちろん。どうぞどうぞ』
高密度の魔法の塊を、エデンより一回り小さいトカゲ人間……えっと、誰だっけ?
あっ、そうだ。カミラだカミラ……
そうそう、それで、その魔力塊をカミラに渡した。
「あはは、これ面白いですね。感触はほとんど無いですけど、ずっと触ってられます。」
「私も私も」
「キュッキュッ!!」
『ほい、どうぞ』
肩の上のヴァイスとアビュにも、カミラのより一回り小さな魔法の塊を渡す。
ほわぁ~ん
「あっ、これおもしろい!!」
あまり強い光ではないが、触れるとちゃんとした感触があり、潰したり伸ばしたりできる。
空気と同等の質量なのか、浮きもせず落ちもせず、その場で浮遊し続けた。
「かなり簡素な術式の魔法ですね……まるで、魔力そのものに属性を付与したような……」
『え? 魔法見ただけで術式って、分かるものなの?』
「はい、展開や特性などの傾向からざっくりとした編成だけですが、読み取ることが出来ます……それにしても、よくこんな少数の単語で魔法が成り立ちますね。普通なら維持するのにかなりの魔力を~~~~~~~」
ふ、ふーん……
やっぱり魔法というのは、地道な術式単語の記憶や、文法の学習が必要なんだろうな。
俺のように、ずらっと並んだメニューの中から魔法を選ぶのとは勝手が違う。
例えるならエデン達は英語の練習をしているようなもの
俺はゲームのコマンドで、メニューから発動したい魔法を選ぶ様なもの……
やっぱり魔法の術式を覚えると、細かい調整とか出来て面白いんだろうなぁ……
手元の淡い光を放つモヤを眺めてみる。
うん、さっぱりわからん。
解除……っと
魔法として存在できる力が無くなり、モヤとして存在していたその輪郭は、ぼやけていった。
『なんだこれ?』
魔法に気を取られて分からなかったが、自分たちの周囲を小さな炎の塊が周回していた。
「燚草の種ですね。次の層は、これが照らしてくれるので、手元が見やすいですよ。」
そう言うと、エデンは周囲を浮遊する小さな炎の塊を摘んだ。
『な、なぁ……熱くないの?』
「心配する必要はありませんよ。恐らくですが、ユウト様の魔法につられて飛んできたのでしょうね。」
『お……あ、ありがと』
手渡されたその炎の塊……燃えているのにも関わらず、全く熱くなかった。
『不思議な植物だな』
「これは、できるだけ魔力の強い場所に生えようとする特性がありまして、本来ならこの階層では生存できないんですよ。」
『っていうことは、もう次の層が近いって事だな。』
「はい……そうですね……」
エデンの返答は、曇りがかっていた。
『え、エデン? どうしたの?』
「いえ……大丈夫です」
エデンは、そう言うと俯いてしまった。
何かあったのだろうか?
少し心配になってしまう。
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「着きました……ここが、次の層へ繋がる洞窟です。」
あれから何も喋らずに次の層までにたどり着いてしまった。
まぁ、軽いコミュ症の俺にとってはこの沈黙がちょうど良いぐらいなんだがな。
『2人とも、ありがとうな』
「……いえ」
いざ別れるとなると、急に寂しさが込み上げてきた。
この階層の案内を頼む……とエデンに頼んでから約1日ほど……
いや、集落に来る前の時間も合わせると2日ぐらいか。
……2日だ。
たった2日一緒にいただけなのに、別れがこんなに悲しいのは初めてかもしれない。
あぁ……なんであの時、頑固にもメンバーを増やそうとしなかったのか。
今考えれば、エデンの反応も少しは理解出来る。
寂しいよな……うん。
彼らを無理やり旅に同行させることも出来るが、それはあまりにも失礼だ。
そもそも、彼らの装備はこの下層を越えられる程度のものであり、これより上の層を越えることを意識しているものでは無いのだ。
『……あー……また挨拶しに戻って来るからね。』
「はい……上層に行ってもお気を付けて下さいね。」
……え?
上層?
『あれ?次って中層じゃなかったの?』
「いえ、ここが中層で、次が上層ですよ?」
その時、雷に打たれた様な感覚が、北上を襲った!!
(雷に打たれたことなんて無いんだけどね。)
身体中の細胞が共鳴する。
その時、北上の体に残る違和感が、その時だけ消えた。
魂と体の歪みだろうか?
転生するのに無理矢理合成された精霊の体と人の魂
もちろんそれは完璧ではなく、僅かな軋みがあった。
ただ、その軋みはあまりにも小さく数時間も経過すれば気にならないほどのものだった。
時に彼の心象へ小さな湾曲を与え、時に彼の行動に小さな鎖を引っ掛けていたその歪み
それらの意思と北上の意思は、あらぬ方向に向いて、お互いに足を引っ張りあっていた。
たった一瞬
彼の高int値をもってしても感知出来なかったほどごく短時間の違い
だが、その一瞬だけその何かと北上の意思が重なった。
『嘘ォ!?』
『称号【共鳴】を獲得しました』
日にちが空いてしまい申し訳ないです。
m(_ _)m
あー……最近私の小説面白いでしょうか?
恐らくですが、微妙になってきたと思います。
……行き詰まってしまいました。
次の話を投稿するのに数日経過したのもこれからどう繋げていけば良いのか困惑していたからです。
私『アッッ!!なろう書くのオモロッッ!!』
皆『この小説面白い!!』
↑こういうのを目指していたのですが、どうにも
私『あー次の回書くのどうすればいいんだよぉ……』
皆『この小説面白くねぇなぁ……』
↑こうなってきてしまっているのが現状です。
やはり、いきなり人外転生という難しいジャンルに手を出したことや、大まかな台本のようなものを組み立てなかったせいで、展開がグダグダになったり、ステータスがインフレし過ぎたり……と
私としては、皆さんに面白い小説をお届けしたいですし、自分の方も小説を書くのが楽しくないとダメだと思いました。
要約(面白くなくちゃダメですよね……)
愚考なのですが、この小説を書くのを一時的に休憩しようと思います。
この休暇中は、適当に考えていた妄想を小説に起こそうかな……と考えております。
また、やる気が起きたらこの小説の続きを書いていこうと思います。
皆様、ここまでお付き合いしていただきありがとうございました。
そして、誠に申し訳ありません




