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「旧作」闊歩する禁忌  作者: ふぇるさん
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第46話 虚栄の光





「あなたの魂って不思議ね。」



へっ?



「憤怒、傲慢、怠惰……大罪に属する感情を持ち合わせながらも、無垢であり、慈愛の心を持っている……一体どれほどの経験を積んでるのかしら……数百年……いや、数千年?」



なんかよくわかんないこと話し始めたぞ?

俺は経験なんて積んだことない

ピッチピチのチェリーボーイだぜ。



「本題に移るけど、あなた……力が欲しくない?」



なんだいきなり……俺はチートがあるからいらないぞ。


ん?……今気づいたんだが声が出ない。

なんだ?これも魔法の力ってやつか?



「ふふふ……何故それがわかったの。って顔してるわね。」



いや、してません。

声が出なかっただけなので先に進めないでください。



「私見ていたの……貴方って優しいのね……他の種族ですら助けようとするなんて……」



ん?あぁ、なるほど……エデン達の事ね。

……あれ?もう助けたよね?



『助けようとした』はおかしいはずだ。

正しくは『助けた』なんだけどなぁ……


その事について指摘しようとしたが、やはり声が出なかった。

何故だ?


声帯に異常は無いはずだ。


特に異常が見られるとしたら、口が少し震えているのと、手や足先が少し強ばっていることぐらいか…


……もしかして緊張してる?


精霊には心臓が無いので、心音がしないのだ。

そのせいで発見が遅れた。


彼女の特徴は、黒髪ロングの美少女


()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



なるほどな。


全てが繋がった。


俺のコミュ症が、久々にお仕事してやがるぜ!!


逆に、何故転生してから発症しなかったのか疑問だが、それは別として、現在は彼女の話の内容だ。


どうやら彼女は勘違いしているらしい。



「なるほど……闇魔法の適正だから回復魔法が使えないと……」


使えますぜ姉貴


「ふふふ……言わなくても分かるわ……それでね、私から1つ提案があるの」


……提案?


「私の名前はセレニア……生前では聖女と呼ばれていた……光属性魔法に適正のある私と契約すれば、回復魔法が扱えるの……どうかな?」


どうかなって言われてもなぁ……そもそもの問題で回復魔法使えるし、契約するメリットが無い。



『北上さん気をつけてください……彼女かなり怪しいです……もし可能なら鑑定を……』



なるほど、その手があったか。



おりゃ…鑑定!!






氏名 プラーレライ (セレニア)


年齢 548歳


種族 虚飾の悪魔


性別----



ーステータスー


LV 115


HP 15018/15018

MP 320156/320156



STR 10093

VIT 1340

DEX 2085

AGI 980

INT 6051






おふん……悪魔ェ……



アナウンサーさんアナウンサーさん

こいつ黒ですよ真っ黒


聖女なんて大嘘、こいつ悪魔でした。


『悪魔!?……鑑定しておいて正解でしたね……それでステータス的にはどうでしょうか?』


数十倍ほどの差がありますね……これはこれは……


『数十倍!?やはり、噂には聞いていましたが、悪魔のステータスはかなり高いのですね……北上さん、できるだけ刺激しないように気をつけてくださいね。』


あっ、ちょっと待って

差があるって言っても俺が高い方ですからね?



『ん?どゆことですか?』



俺の方が数十倍高い



『エッ……あっ、でも一応は気をつけてくださいね。彼女の口調から察するに、鑑定に近い能力を持っていると思われます……まぁ精度はお察しですが……』


鑑定に近い能力は厄介だが、ステータスが数十倍高いというアドバンテージのおかげで緊張がほぐれてきた。


そうだ俺!!トラウマを乗り越えるんだ!!


震える体を静め、悟られないようにする。



聖女セレニアを名乗る悪魔を見つめる


そうだ俺…落ち着くんだ。


彼女は、悪魔……人間では無い……人外だ。

よしよし……大丈夫大丈夫

今の俺の高いint値があれば彼女を論破できる


そうそう……ふぅ。




自分の持ちうるint値をフル回転させる。


うまい具合に嘘を折り込み、脳内で台本を組み立て構成し保存する。


よし……これで行けるはずだ。



彼女の目を見つめる


「決まりましたか?」


『あ、あぁ少し気になることがあって』


「どうぞどうぞ」


『では、少しばかり質問を……』


『聖女様……貴方って死んだはずではありませんでしたか?』


「そうですね。現在私は魂の状態であなたに話しているんです。」


『なるほど……そういえば死人とも契約ってできるんですね。』


「そうですね。」


『あと1つ質問なのですが、聖女様って最後は魔物になって殺されたんですよね?それでも尚私のような者を助けてくれるのはどうしてでしょうか?』


「えっと……ただ、助けたかっただけかな……」



ここだ。ここの時点で長考したのが明らかに怪しい。


よし。畳み掛けるぞ……



『聖女様は優しいのですね…………』


「いえいえ…」


彼女は、恥ずかしそうに頬をかいている。

だが、その表情は、どことなく冷たいものがあった。


『では最後の質問です。何故聖女様は、私が悪魔に騙されようとしているのに助けてくれないのでしょうか?』



彼女の動きが止まる。


貼り付けていた表情は、完全に無くなり無表情になる。



「……………」



『図星だったようですね。北上さん…気をつけてください……来ますよ!』


アナウンサーが注意を促した直後、目の前の悪魔は呪文を唱え始めた。


「グレイ!」


うわ、懐かしっ


久々の再開を噛み締める暇もなく、着弾し散っていった。


タキサイアが発動しなかったので、避けずにわざと当たったのだ。



「えっ…」



驚愕している彼女をよそに魔法を発動する



『グレイ』



これがホントのグレイだ。覚えとけ!


そんな調子で数百の魔法を彼女に当たらないように放つ


腹の底に響くような爆音が周囲を包む。





彼女は怖気付いてしまったようだ。


ヘたれ込んでいる。



しょうがないのでこちらから近づくことにする。



「ひっ……いや……」



腰が抜けてしまっているようで、その場から逃げられないようだ。


……わいSに目覚めちゃいそうや。






『元の世界に返して(黒い笑顔)』


「は……はひ……」




話し合いをした彼女は、圧倒的な俺の語彙力により快く承諾してくれた。



戦闘にならなくてよかった(白目)




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