第44話 ツンデレ
どうせだからgfe…って来たら、次はABC順でDランクにしたいな。
…という訳でDランクの『パーガトリー』に決めました。どうでしょうアナウンサーさん?
『私もそれは賛成です。こういう進化って、前のステータスが影響するので、できるだけ多くの進化を重ねるといいんですよ。』
へぇー
『…って言っても優斗さん、あなたが例外なだけですよ?』
んん?どゆこと?
『進化って、生きてる内に1,2回出来れば良いっていう認識なんですよ?』
んー…俺3回目ですね。
『優斗さんがおかしいだけだからね?』
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『ヴァイス、アビュ……俺進化しようと思うんだけど、良いかな?』
ちゃんと確認は怠らない。
丸一日は意識が無くなるのだ。逆に確認しないとまずい。
『ん?』
返事がない。
おかしいと思い、卓上を見る。
あー……そうだった。
完全に忘れていた。
俺は、『禁忌』の『不眠不休』というスキルのおかげで、眠らなくても大丈夫だが、ヴァイスとアビュは、数日間寝ないで大丈夫な体の作りではない。
ヴァイスは、さっきまで気絶していたものの、それも短時間だ……かなり堪えただろう。
熟睡している2人をベットに優しくぶち込む。
『…おやすみ』
俺は進化するので大きくなる可能性がある。
なので、できるだけ広いスペースが良い。
ベットの上で進化なんてしたら、ベットが荷重で潰れかねない。
『…進化します?』
あっ、お願いしまーす。
返事をすると同時に、意識が薄れて行く。
んほぁ……ねみぃ……
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「ふえぇ……ねむぅ…」
黒色のマイク付きヘッドホンを外す。
(ゴト)
「お疲れ様、はいこれ私の奢りね。」
差し出された箱の中には真っ白なケーキが入っていた。
「えっと…これって?」
「ほら、忘れちゃったの?今日あなたの誕生日じゃない。」
「あっ…そうだった」
特例の監視任務
対象は2人
北上 優斗と魔王
今回の監視任務は魔王がメインだったのだが、いつになっても接続が出来ない。彼の干渉能力が高まっている印だ。
北上優斗は、今回平行世界の補修のために派遣された魂である。
彼の監視はおまけで、実際無くても大丈夫なのだ。
だが、魔王が監視出来ないため、優斗がメインになってしまっている。
「ふーん…これがあの噂の北上君か……なんかボコボコしてるけど大丈夫なの?」
「あぁ、これ進化しているだけだから大丈夫だよ。」
中央の24インチのモニターには悲惨な光景が写っていた。
進化途中の本人は、意識が無くなってしまう。
自覚が無いので、余計にタチが悪い。
もっと人の目に映らないところで進化して欲しいものだ。
「なるほどね。進化中は意識が無くなるから、そのうちは休憩できるって訳か。」
「そうそう。」
モニターの右上には『254d-ar45-t828-a58f-3lh0』と表記されている。
これは、『北上 優斗』の魂をナンバー付けしたもので、このモニターが、『北上 優斗』を映していることを示している。
このモニターの視点は、優斗自身の魂に関連付けされていて、彼の魂がどこにいようと着いて来る。
おまけに実体が無いので、普通のカメラのように、炎や水に入れても壊れない優れものだ。
「あなたに当番が回ったのって……もしかしてツケが回ってきたのかもね。」
「とかって言っておきながら来てくれるのね。」
「ん゛ん゛っ……わ…私は暇だったから来たのよ?勘違いしないでよね。」
ツンデレきた!!
ちょうどこの期間は連休なので、ほとんどの職員は休暇に入っている。
現在会社に残っているのは警備員と、監視員と、社長等のお偉いさんだけ……
不味いことに、現在の監視任務の当番は、現在私1人しかいないのだ。
明らかな配分ミスである。
現在隣にいる人は私の友達であり同僚の子
実は私が1人で当番することになっていたのだが、途中参戦で彼女が助太刀に入ってくれた。
彼女、口調とは裏腹に結構純粋で、根は優しいのだ。
「ほら、続きは私が代わるから仮眠してきなさい。」
「はーい。ありがとう」
「ん」
彼女にお礼を告げて部屋を出る。
「んん…」
彼女から貰ったケーキが崩れないように、箱を持っていない方の腕で背伸びする。
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監視任務と言っても進化途中は、完全に意識が無くなるので暇なのだ。
どうせならこの時間ぐらいは休憩させてあげようと、動いたのだ。
「この映像を見ながらの紅茶は美味しくないわね…」
進化中はかなりグロテスクな事になる。
もちろん監視任務なので、最低でもヘッドホンは着けなくてはならない。
「…暇ね。」
紅茶を嗜みながら、そこら辺で売っている様な100円クッキーを口に運ぶ。
1箱目のクッキーが無くなった。
同時に腹も膨れたようで、手持ち無沙汰になった彼女は、カップのスプーンを弄る。
瞬きと同時に画面が、白い光を発する。
「?」
不思議に思った彼女は急いでモニターを覗く。
画面に映ったのは、先程までの薄暗い石部屋ではなく、真っ白な空間であった。
そこは、まるで平行世界と冥界を繋ぐ接続域のようだった。
その後の彼女の判断は早かった。
手元にある社内電話を手に取り、緊急連絡先に繋ぐ。
「緊急事態が発生しました。早急に応援願います。」
يرجىالنومعلىركبتيك




