第43話 アナウンサーさん?
投稿遅くなって申し訳ないです
『ん?ああ、助かるよエデン』
「いえ、お役に立てたのなら」
…先程からエデンの行動や言動に違和感を感じる。
この集落に入る前、俺たちをここに案内していた時は”作った礼儀”のようだった。
言い方が悪いが、演技をしていると言った方がいいだろうか。
目標達成のため、俺に礼儀を払っているような感覚だ。
だが、現在はどうだろうか?
演技している様子も、目標を達成しようとする感覚も無い。
言うならば”自然に”礼儀を取っているかのようだ。
それは、まるでどこぞのサラリーマンが、取引先と電話をする時、取引先の人間が目の前にいる訳でもないのに自然と頭を下げてしまうような感覚…
そう、まるで無意識にそうしているみたいに…
彼の美しい黄金色の瞳は、どことなく闇を持っているようだった。
俺達は、先程の治療所と変わって現在少し広い石部屋にいる。
目の前にはこれまた石製の机と跪いたエデンが。
卓上にはヴァイスとアビュがいるのだが、現在アビュは食事中だ。
思ったのだが、これは進化するチャンスなのではないだろうか
『エデン申し訳ないんだが、席を外してくれないか?……まぁ、席を外すって言うのも1日ほどなんだが……』
「仰せのままに」
やっぱしおかしい。
『あ…あの…エデン、口調前ので大丈夫だよ?そこまでかしこまらなくでも…』
「いえ、恐れ多くて私には出来ません…」
んんん?
エデンはその一言を放った後部屋を出てしまった。
やっぱりおかしいよ。
この集落にはいる時は結構いい感じで話してたんだけどなぁ…
そういえばコミュ症の俺が、なんでエデンとはちゃんと話せたんだろ……やっぱ話しのネタがあったからかなぁ……
ヴァイスとアビュを見やる。
そういえば2人とちゃんと話せたのも、前の自分じゃありえないんだよな…
いつまでもそんなことを考えていてもしょうがないので、思考を切り替える。
やはり今考えるべきことは進化のことだろうか…
アナウンサーさーん
『はいはーい、アナウンサーさんだよー!!進化ですよね?アナウンサーさんエスパーなので分かります。』
まじで心の中読んでくんのやめれ。
『御託はいらねぇ!進化だ!!ヒャッハー!!』
なんかキャラ固まらないね、アナウンサーさん
『いえ、それが私のキャラなんです!!』
へ…へぇー…
『はい!という訳で進化先ドーン!』
進化元
『エイビス』(E)
進化先
『人形』(C)
『ラアド・ラエド』(B)
『パーガトリ』(D)
え?なんでEランクなのに進化先にBランク入ってるの?
『お、そこに気が付きましたか。鋭いですね。』
ど…どういうことだってばよ?
『これですね、Bランクやら、Cランクってのは、人間がどのくらい強いのかで決めてるんです。私たち管理者の方でもそういう生物間でのランク付けってのが定められているんですが、如何せん表示が細かくて見にくいんですよね。』
ああ、なるほど……だから人間のランクを参考にしてるのね。
『はい。実際、進化順に資料を集めて見ると結構ABC順になってるんですよね。』
やっぱり強さっていうのは生物の格にも関係があるんかな。
『そうですね……ですが例外があって、全て人間の格付けを参考にしているので、間違った情報も入ってしまうのが難点ですね……』
そういう事か。
『お分かりですね?実はエイビスはCランクとDランクの間の位置づけなのです。Eランクの欠片もありませんよ……ちなみに、進化先のパーガトリーなんですが、あれもDランク以上ですね。大体C上位かB下位程はありますよ。』
ふぇー……そんなこと俺に言っちゃっていいのか?なんか大切そうなんだけど……
『いえいえいえ……これは優斗様だから良いんですよ。……これ特例ですから誰にも言わないでくださいね?』
お……おう。
『そうそう、エリス様から伝号を承っております。』
ん!?え!!君たちのいる場所ってあそこ?平行世界を管理してるっていう……
『はい、ちなみにわたしはスキル管理や、生態系の管理をしております。』
凄い人だったんだな。
『そうでしょそうでしょ?なんたってわたしは~~〜』
……なんかアナウンサーさんの自慢話が始まった。
どっかの高校を首席で出たとかどっかの大学を首席で卒業したとか言ってるが、こちらにゃ知ったこっちゃない。
なんかどうでもいいことを話し始めたので、暇つぶしに鑑定でもしておこう。
『人形』
3m程の大きさの魔物
真っ白な見た目通り、生息地は寒帯地方に限られる。
肉食で、獰猛
組成は殆ど不明だが、皮膚の1部を研究したところ人間の細胞に近い組成だったらしい。
水中で過ごしていることが多く、地表で見ることは殆ど無い。
『ラアド・ラエド』
雷を司る神”ロルテカ”の使者と言われている。
発見報告は殆ど無いが、稀に南東地方の島国で確認されたとのこと。
天候を操り、雷を落とす。
希少性とその強靭さから、彼の死体は街1つ買えるほどの価値がある。
『パーガトリ』
煉獄の門番という2つ名がある
冥期では、かなりの戦闘報告や発見報告があったらしいが、既に絶滅されたとして、既に図鑑からは消えている。
冥期に作成された書類は殆ど残っておらず、それに加えて本当のことではない作り話なども多くあった。
パーガトリもその例に漏れず、異なる内容の報告書が多く残っており謎が多い。
ほうほう……進化先も減ったなぁ……
もしかして、次の進化は、2つになったりとか……
『いえ、それは多分ないですよ。』
いつの間にか自分の自慢話を終えたアナウンサーさんが戻ってきた。
『BランクとCランクって種類が少ないんですよね。Aランクはいっぱいあるのに……あと私の話聞いていなかったんですね……』
いや、今話す事じゃないだろ……あと伝言ってなんだ?
『伝言……ああ!!忘れてました!!』
いや、忘れてたんかい!!
思わずツッコミを入れてしまった。
『えっとですね……ああ、ありましたありました。』
うんうん
『神通力のスキルを頑張って上げて…との事です。』
それだけ?もっとこう…色々なかったの?
『あー作文用紙5枚ぐらいなんか書いてあるんですけど全部話します?』
……要約して言って欲しい。
『えっと、異世界に連れて行っちゃってごめんね、神通力のスキルを上げれば私たちがこの世界に干渉しやすくなるから頑張ってね……と』
なるほどなるほど……で、神通力ってどうやってあげるの?
『えっとぉ……』
えっ……もしかして……分からない感じ?




