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「旧作」闊歩する禁忌  作者: ふぇるさん
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第37話 カタストローフ

まえがきは…ないです



北上達が大蟻に遭遇する、前のお話





『神の門』の横穴の中層辺りには、少し特殊な魔物がいる。


種族名を、『カタストローフ』という。




空白の時代が終わり、魔物による死者の時代『冥期』が始まった。


当時、人間を押し退けて、世界を征服した種族がいる。

それが彼らだ。


有り余る魔力で人間を跳ね除けるその姿は、悪魔さながらであった。




だが、『英雄の時代』にて、その英華は終わった。


人間が死んでゆく様を見て危機感を覚えたのであろう。

当時の管理者が、人間の中で適性のある者3人に『勇者』の称号を与えた。そして『カタストローフ』という種族全般に、『太陽の光を浴びると弱体化する』という呪いをかけた。


まだ魔王の活動する以前の時期なので、管理者は世界に自由に干渉できたのだ。


そんな絶望的な状況に置かれて、彼らの統制も崩れないわけがなく、どんどんと数を減らして行った。


人間界では、このような認識がされている。

悪魔(カタストローフ)はもう絶滅した』と




だが、現実は違かった。


地上にいた個体のうち僅かが、太陽光の届かない、そして人間のいない地下に逃げ込んだのだ。




それがここ『神の門-横穴』である。




彼らの瞳は太陽のように美しい黄金色だという。


それは、まるで太陽が照らす地上への憧れのように…








ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー







ライズ鉱石の光が2つのベットを照らす。


その光は弱々しく、今にも消えてしまいそうだ。



ベットの上には、茶色いコートに身を包んだ人影が



「そろそろこれも交換しないとな…」


中性的な声が、静寂な部屋に響き渡る。



その、ライズ鉱石の発する光には、赤色の光も多少は混ざっているようだ。


彼の真っ赤な角が照らされる




彼の羽織る魔物の毛皮から作ったであろうコートからは、手や足などが見え隠れしている。


それらは、赤黒い鱗に覆われていて、到底人のものでは無いというのが分かる。


彼の顔は、びっしりと鱗に覆われた顔からもハッキリと分かるぐらいまでやつれていた。



ドアが開き、外から青い光が射し込む。




「ようエデン…おはよう」


「…おはよう。」



ドアを開けたのは、こちらも全身を赤黒い鱗で覆った、彼より少し体格の良い男だった。


「カミラは…カミラは大丈夫なのか?」


「ああ…お前の妹の出血は止まった。」


「そうか…よかっ「だがな」…え?」





男は少し間を開けて、こう言った。




「お前がそんな状態じゃ面会の時心配かけちまうぞ。ほら…これ持ってきたから、ちゃんと飯食え。」


「ああ…なかなか飯が喉を通らなくてね…ははは…あれ?これ病人用の飯じゃないか。これは僕じゃなくて病人に食わせてやってくれよ。」


「はぁー…その見た目のお前がいうか。ほら、ここに置いていくぞ。ちゃんと残さず食えよな。」


「えっ!?ちょっ…って行っちゃったよ。」







ーー悪魔と称された彼らでさえ、感染症の脅威には、負けたようだ。


現在、カミラと呼ばれた彼の妹を含めて、地下のコロニーの52人中18人が「モルト」という感染症を患ってしまった。


地下の限られた空間では、病気の拡大を止められる訳もなく、今も尚感染症は広がっている。


出血の止血や、衛生環境の改善により、少しは広がりは遅くなったようだ。


だが、化学の発達していないこの世界


医療技術があるわけでもなく、ただ病人は、奇跡を祈って寝てることしかできない。








「デニス…なんか手伝える事ないかな?」


「いや…妹思いなのはいいんだが、お前みたいなガリガリの病人まがいには、すぐ病気うつされてぶっ倒れるだけだからやめとけ。」


「じ…じゃぁ薬草の採集とか…」


「今は朝だ…分かっているだろう?太陽光が俺らの天敵だってこと。」


「えっと…じゃあ僕は何をすれば…」


「寝てろ」


「さっき起きたばっかりだから寝れない。」


「「………」」


「…ライズ鉱石でも取ってきたらどうだ?…ほら、お前ん家のやつ…もう消えかけじゃないか。」


「えっと…ライズ鉱石ってどの階層だっけ?」


「俺らの住んでいる層の一つ下だ。有り余るほど生えてるから俺ん家のも取ってきてくれよ。」


「しょうがないなぁ…」


「ああ…そうそう。最近大蟻の活動が活性化して来ているから注意しろよな。」





彼らの住んでいる階層…中層は魔物はいるものの、ほかの層と比べ、相対数が少ない。


なぜなら、この層は『死神の森』の生態系最下層の中でも、入れる体格の大きさが変化してくる所


極小の魔物は、捕食者を恐れて下層の方へ


小型の中でも、大きめの魔物は、食料が少ないので多少危険がつきまとうが、上層へ



…という感じで、中層はほぼ何もいないのだ。


鉱石や、植物も何故か生えていない。

ほとんど何もないのだ…中層は。



お陰で安全面は確保されたようだ。


安全面は…





中層から下りてすぐの所。


自ら発光することの出来る鉱石『ライズ鉱石』が産出する。


彼らは、それを明かりに使っているようだ。





「行ってきます」



「おう。気をつけてな。」





アデュリオドラゴンちゃんのお名前が決まりました!


明日それについては、閑話を出します。


ご意見ありがとうございます。

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