第32話 離脱作戦
もうおじいちゃん疲れちゃったよ。
今日の投稿は、この当たりで勘弁しとうくださいな。
『ーーーあとその死体は触らないでね。危ないから』
「わかった。」「キュッ」
大体の作戦を簡潔に、2人に伝えた。
作戦内容に変な点が無いか、もう一度頭の中で整理する。
この作戦では基本的に、できるだけ3人で固まって行動したいのでアビィの上に俺、俺の上にヴァイスが乗る…要するに”ブレーメン・フォーメーション”で戦うことになる。
初めにAプランから
俺が『フェルス』で発生させた土壁を爆発属性魔法『プラッツェン』という魔法で吹き飛ばしながら前進
これは、土壁の破片で、敵を攻撃するという効果も期待してのことだ。
爆破時は、できるだけ、魔法で土壁内部を空洞にする。1つにつき大体3mもあるのだ。
空洞にしないと、まず爆発による突破が出来ない。
突破後は恐らくこの周囲を大蟻が囲っているであろう。そしたら、俺は『プラッツェン』及び『ツェアシュラーゲン』(爆発属性魔法いつの間にか覚えていた。)を用いて道を開く
アビィは、近距離に残った奴らを叩き込み突き進む。
ヴァイスは、魔力が無くなっちゃったみたいなので休憩
大蟻との距離が保たれたら、『フェアブレンネン』で炎の壁を作り、視界を遮る。
それと同時に、ドラゴン型気化爆弾を用いて挟み撃ち爆発。かなり時間を稼げるであろう。
正直言うと、あの気化爆弾とエサに毒を詰め込むのってほぼ関係はなかったんだけどね。
次にプランB
まぁ…初めの壁を壊しながら進むのは同じだ。
大切なのはその次だ。
もし大蟻の中に倍ほどの大きさの大蟻…女王蟻っぽいのがいた場合だ。
単純なんだが、ほぼ全快した俺の魔力の1割ほど使って、『ツザンメン・シーセン』(これまた新しく覚えた爆発属性魔法、遠距離に適している。)を用いて狙撃、
相手が混乱状態に陥った場合
これが1番理想的
その場合は、遠距離からちまちまと蟻さんを潰していく。ついでにアビィの炎属性魔法も発現できるようになったらと考えている。
次に、相手が全力で追っかけてきた時
その場合は、プランAと同じで炎の壁を作って逃げる。
大体こんな感じだな。
大切なのは無事に脱出すること。
レベリングはその次だ。
ーー『クレイ』
削る音のしない方向に土の操作を発動する。
『2人ともそんな装備で大丈夫か?』
「うん!大丈夫だよ!」
「キュッ!」
普通に返してくれる2人の純粋さが眩しくて、心が洗われるようだ。
アビィがしゃがんでくれた。
俺が乗りやすいように、との配慮だろう。
『アビィ、ありがとう。』
「キュゥゥゥゥン↑↑↑」
『よし!行くぞ!『プラッツェン』!!』
この方向では、壁に4枚あたることになる。
空洞が空いているお陰で、8枚土壁があるという計算になる。
その8枚の空間装甲を、一撃の爆風で吹き飛ばす彼の魔法は想像を越える威力だった。
土埃のせいで、視界が悪い
『プラッツェン』
小さめの爆風で、視界を確保する。
『「「……」」』
ーー地を埋め尽くす大蟻の群れ
それはまるで黒い波のようであった。
『「……」』
目を逸らしたくなるような現実
少しばかり諦めかけていた自分がいた。
だが、彼女は違った。
「キュッ…」
『…アビィ行くのか…ここを?』
「キュッ?」
アビィは、この数を、ものともしていないようだ。
その彼女の顔は、
気高く、
力強く、
そして美しかった。
『……アビィ…回復と、攻撃は任せてくれ。』
「わ…私も、できる限り足止めを頑張るよ。」
『無理はするなよ?mpがマイナス行かない程度でな。』
「うん。」
『アビィ、俺が魔法を放った瞬間をスタートの合図に突破してくれ。』
「キュッ!」
3割ほど魔力を体の中心に集める。
今こそ、『並行思考』が活躍する時だ。
脳内で、分けられた思考達が、自らの魔法の種類、ベクトル、魔力消費を計算していく。
ーー彼の両腕が持ち上げられる。
男性の声女性の声、年齢の異なる様々なタイプの声が重なり合い、共鳴する。
その声は、不気味であり、神秘的であった。
〘シュプレンゲン〙
爆発属性遠距離タイプの魔法
だが、この魔法は、少し特殊である。
榴弾のような特性を持った魔力の塊
遠距離の敵には、そのまま投げつけて破裂させる。近距離の敵には、投げる前に破裂させる。
すると、爆風や高温の気体そして衝撃波が散弾のように散らばり、近距離を一網打尽に出来るのだ。
彼 北上 優斗は、己の内に眠る思考を3つに分けた。
『近距離対応』と『遠距離対応』
そして『足止め』
割合的には、遠距離が1番思考が多い
遠距離は大体の狙いを定めなくてはならないが、近距離や足止めは、決まった方向にぶっぱなせば良いだけなのだから。
ミニガンのような、繋がった連射音が瞬間的に鳴る。
刹那、周囲10m程の蟻が四肢を撒き散らしながら吹き飛ぶ。
幸い、大蟻のvitはそこまで高くない。攻撃がスパスパ通るのは嬉しい。
『進め!!』
走り出しは順調だ。
先を塞ぐ大蟻を吹き飛ばしていく。
通路上の、敵を一方的に撃破、そして、逆に敵からの攻撃は一切受け付けない。その様は、まるで戦車のようだった。
ちなみに、実力を隠すって書いてあったけどあれ?どうなったの?って疑問に思っている方にお答えしますね。隠ぺいするのは人間界に行った時、今隠ぺいしてたらふつーに食われちゃうからね。
俺tueeeを待っている方は、もうちょっと待っててね。




