第28話 物量は正義?
最近投稿速度が遅れて申し訳ないです。
洞窟を少し戻る。
少し先では、ヴァイスとアビィが茶色のヘビっぽいのに囲まれてた。
厚い鱗で覆われている。
大きさは、焼酎ビン程で、腹のあたりが膨らんでいる。
何故俺がこいつらを、『ヘビっぽいの』と表現したのは、その移動方法にある。
シャクトリ虫のような体をうねらせる移動方法
そしてアビィ達が攻撃力有効範囲に入ると、その蛇のような体から出たとは思えないスピードで跳躍するのだ。
そして最後に、鳴き声までもおかしい。
気の抜けた声で、「チー」って鳴く。
明らかにこれは蛇ではないだろう。
…かわいいな!!
このスピードは厄介だ。2人が危険なので、ここは退避した方が良さそうだ。
『グレイ』
2人の退路を開くべく5つの光の球が形成された。
…そういえば魔法の同時展開も、いつの間にかできるようになってたなぁ。
あのインスパイアとか言うネタ精霊から、こんなに成長したのかとしみじみと感じる。
『行け』
軽快な破裂音が、形成した球の数分だけ鳴る。
破裂の光に照らされた2人の背後には、大量の蛇っぽいのが。
…これは先に進むしかないな。
『2人とも!待たせてごめん!先に進めるようになったから行こう!』
振り向いて、驚いた表情をした2人は直ぐに逃げの体制に移る。
俺は、2人が離脱しやすいように、『グレイ』で援護射撃をする。
破裂音と共に爆破箇所が、光で照らされる。
隠密作戦では、これは使えないな…
眩しくて目立つ。
そんな事を考えながら、優斗は闇属性魔法を扱えるようにしようと決めたのであった。
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『称号【無欲】を手に入れました。』
このアナウンス…取得条件を満たしたのだろう。
だがそれを気にしていられる暇は無さそうだ。
先程の道からは足音(?)が…
あの蛇もどきが追って来ているようだ。
お餅を落としたようなくぐもった音が何重にもなって聞こえる。
それはまるで、雪崩の音のようであった。
…ここを進むしかないみたいだな。
胞子の舞う空間の先
赤い異形の塞いでいた道
こちらは、上り坂のようだ。
蛇もどきの足止めの為、急いでステータスに鑑定を向かわせる。
『フェルス』
魔法を先程まで進んでいた洞窟に放つ。
どこからその質量を調達したのか、洞窟を土壁が塞ぐ。
塞いだ土に手が通る程の穴をあけ、そこから魔法を用いる。
『プラッツェン』
…こちらに、炎の手が回ってしまうと逃げられなくなってしまう。なので壁でこちらに引火しないようにしたのだ。
…少しは時間稼ぎにはなるだろう。
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上り坂が少し急になってきた頃
気がついたら、いつの間にかあの足音は止んでいた。
息を切らした3人は休憩しながら、先へ進んでゆく。
『もう追って来ていないみたいだな。』
「うん…だけど後ろには戻れないかな…」
「キュゥ…」
…そう言えばヴァイスは魔力を食べるからいいとして、アビィは食事の問題は大丈夫かな…
全然食べてるところ見てないぞ?
そんな心配をしていると先に、明かりが見えてきた。
屋外の太陽の光…とは言い難いが、白熱電球を少し暗くして、色を青白くしたような明かりだ。
結構手元も見えるな。
洞窟を抜けた場所
先程の洞窟とは打って変わって、広い空間に出た。
床や天井は人が作ったよう…とは言い難いが、結構平らである。
もちろんだがこの空間には、天井を支えるように、太い岩でできた柱が連立している。
その岩の柱や天井には、青色の鉱石が顔を出している。
その鉱石が光を出しているのか、この空間は、明かりで遠くまで見渡せるようになっている。
遠方の柱と柱の間から見えるのは、小型の恐竜(?)の群れや、気持ち悪いほど大型の、蟻が列をなしている様子であった。
その魔物の闊歩する景色は、まるで暴走せし天候の神”ゲリラ”に対抗すべく建造されたトーキョーの地下遺跡『首都圏外郭放水路』のようだった。
数百メートル先には、遠近法が壊れたと思わざるを得ないほどの大きさの蟻の行列が。
大体軽自動車程はあるだろうか。
それが数百、数千…と列をなしているのである。
『…あれ?最下層ってこんなにヤバいのいたっけ?』
少しばかり探索し、困惑しはじめた俺は、そこらを鑑定する。
『神の門-横穴【下層】』
かつては小型の土竜の巣であったが、今は『死神の森』の生存競争に敗れて、逃げ込んで来た魔物の住処となっている。
今は、4つの層に分かれており、それらを接続する通路によって、入れる魔物の大きさが制限されている。
よって、階層が異なると、生態系がガラリと変化する。
下層
『死神の森』から逃げ込んできた魔物のうち、生態系の下層の魔物が生息する層。
注意して欲しいのが、最下層と下層の生物であるが、その強さの差は1目瞭然である。
最下層のレベルが蝿とすると、下層のレベルは鳥ほどにまで上昇する。
慢心はしないように。
おぅ…
『アビィ、ヴァイス戻ろう。』
焦燥に駆られた俺は2人に声をかける。
振り返るとそこには1人の少女と、2匹のドラゴンがいた。
「うん?…分かった。ユウトがそう言うなら。」
「クワッ…キキュッ…キュッ!」
「ガァ!」ブンブンブン
尻尾をフリフリした緑色のドラゴンが…
「「!!??!?!?!」」
いや今気づいたんかよ。
トーキョー…あそこは迷宮だ。
…トイレが見当たらなくて漏らしかけた。
…漏らしてないよ?(ここ重要)




