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「旧作」闊歩する禁忌  作者: ふぇるさん
24/58

第20話 ちょっと隣失礼しますね。

(;´Д`)


本当に治るよね?



「大丈夫かな?」


『大丈夫。きっと起きるはずだ。』


洞穴の1番奥には銀色の竜が横たえていた。


水泡によるものであろう傷は『凄い回復』により塞がっているが、血を流しすぎたのか未だに昏睡している。


呼吸をする度体が上下に動いている。


生きているのは分かるのだが、心配だ。




ーーーーーーーーーーーーーー





クキュルルルル…





おお!目が覚めたみたいだ。



産まれたての小鹿のように立ち上がった。




長い期間そこに寝ていたのであろう。少し足が弱っているようだ。


…まぁこれは流石竜と言うべきか、数分ほどで通常の、震えがない佇まいに戻った。





彼女の覆う銀色の鱗は、名前にアデュリオと付くぐらいなので、多分だが酸化していない状態のアデュリオ鉱石の金属なのだろう。


銀色なのは銀色なのだが、黒がかかっている。


これは、アデュリオ鉱石の特有の色だろうか。


表面をよく見ると、甲殻は沢山の金属結晶の集まりのようだ。


例えるなら金属製電柱の表面だろうか。(おい。例えが分かりにくいぞ)


恐らく、この結晶一つ一つが鱗なのだろう。


かなり薄い鱗が、数枚も重なりバームクーヘンのようになっている。


これが高vit値の秘訣なのだろう。



先程まではしゃがんでいたが、立ち上がると、細く、滑らかな曲線を描いた足が4本。




その美しい佇まいは近所の大垣さんちの兎さんのようである。




「…ユウト…この子、体型が鹿さんみたいで綺麗だね。」




ごめん。兎さんは無理があったよ。おじちゃんのこと許しておくれヴァイスちゃん。


…ん?待て待て。俺はこの世界に産まれたばかり、ヴァイスちゃんは始祖…あっ。


…ヴァイスちゃんの方が先輩でしたね。




ーーーーーーーーーーーーーー





クルルルルルルル




…めっちゃ頬ずりされとる。



金属と金属が合わさる音が鳴る。


高vitならではの頬ずりだ。


髭の濃い親父の頬ずりとは違った痛さがある。



これ、多分懐かれたんだろうな。


病気治したからな。






…ここで進化してもいいよね?


この子のint値成人男性の数倍あるし、姿が変化して襲われるなんてことは無いだろう。


ヴァイスに断りもなく進化するわけにはいかないので聞いてみる。




『というわけで、ここで進化してもいいかな?』


「…自分で決めてっ」



およ?もしかしてヤキモチ妬いちゃってんの?




お?お?お?



可愛いじゃん。


そんなに冷たくされると、おじちゃん泣いちゃうぞ。(割とマジで)





『うっ…えぐっ…分がっだ…ここで進化ずる…ぐすん…』





ん?ヴァイスちゃん、ちょっと慌ててるような?


言い過ぎちゃった…みたいな感じで狼狽えてんのかな?


…この子…純粋だ。






ーーーーーーーーーーーーーー






『進化しますか?しますよね?もう待ちきれません。早く表示させて下さい。』


アッハイ


アナウンスさんが切羽詰まった様子で、アナウンスしてきた。


『そんなに進化先見たいの?』


『はい。数日前から気になってたんですよ…というわけで早く表示させろ。』


『は…はぁ…えっと…お願いします。』


『よっしゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!きたぁぁぁぁぁあ!!』


『アナウンサーとしてあるまじき行為ですね。これは罰則が必要なようです。少し外の空気を吸いに行きましょうか。』


『えっ!?先輩!?どっどどど…どうしたんですか?急に。』


『どうもこうもありません。行きますよ。』


『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛わ゛た゛し゛の゛し゛ん゛か゛さ゛き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛』ズリズリズリ



…さっきのアナウンサーとは、打って変わって落ち着いた女性の声が聞こえて来た。



『この度は誠に申し訳ありませんでした。この経緯について…(ドンドンドンアケテー、センパーイ…タイジュウトネンレイヲオオゴエデシャベッチャイマスヨー…アレ?センパイ?エットォ…ン?アッ…イインデスカ!?アリガトウゴザイマス!!)』


どてどてどて


『あっ…えっと、さっきはすいませんでした。』




さっきの超無礼アナウンサーが帰ってきた。


…こいつ全然反省してないだろ。


今回のことを長々と糾弾して、焦らしてやろうか?


というより今回の進化明日にしてやってもいいんだぞ?おぉ?


…という冗談はよしとこう。




『それでは進化先を表示しますね。』


『…よろしくお願いします。』




進化元


『ストラーフ』(F)



進化先


『フェア・ツヴァイフェルト』(D)


『ボルガB-HE』(C)


『エイビス』(E)


『ハイバージン』(E)


『パンデミック』(D)








やっとCランクが入ってきた。


…これ名前的にAランクの基準って結構高くないか?


伝説上の魔物がBランクに入りそうな勢いなのですが。



進化先の詳細は、次回の投稿で表示しようと思います。

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