第20話 ちょっと隣失礼しますね。
(;´Д`)
本当に治るよね?
「大丈夫かな?」
『大丈夫。きっと起きるはずだ。』
洞穴の1番奥には銀色の竜が横たえていた。
水泡によるものであろう傷は『凄い回復』により塞がっているが、血を流しすぎたのか未だに昏睡している。
呼吸をする度体が上下に動いている。
生きているのは分かるのだが、心配だ。
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クキュルルルル…
おお!目が覚めたみたいだ。
産まれたての小鹿のように立ち上がった。
長い期間そこに寝ていたのであろう。少し足が弱っているようだ。
…まぁこれは流石竜と言うべきか、数分ほどで通常の、震えがない佇まいに戻った。
彼女の覆う銀色の鱗は、名前にアデュリオと付くぐらいなので、多分だが酸化していない状態のアデュリオ鉱石の金属なのだろう。
銀色なのは銀色なのだが、黒がかかっている。
これは、アデュリオ鉱石の特有の色だろうか。
表面をよく見ると、甲殻は沢山の金属結晶の集まりのようだ。
例えるなら金属製電柱の表面だろうか。(おい。例えが分かりにくいぞ)
恐らく、この結晶一つ一つが鱗なのだろう。
かなり薄い鱗が、数枚も重なりバームクーヘンのようになっている。
これが高vit値の秘訣なのだろう。
先程まではしゃがんでいたが、立ち上がると、細く、滑らかな曲線を描いた足が4本。
その美しい佇まいは近所の大垣さんちの兎さんのようである。
「…ユウト…この子、体型が鹿さんみたいで綺麗だね。」
ごめん。兎さんは無理があったよ。おじちゃんのこと許しておくれヴァイスちゃん。
…ん?待て待て。俺はこの世界に産まれたばかり、ヴァイスちゃんは始祖…あっ。
…ヴァイスちゃんの方が先輩でしたね。
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クルルルルルルル
…めっちゃ頬ずりされとる。
金属と金属が合わさる音が鳴る。
高vitならではの頬ずりだ。
髭の濃い親父の頬ずりとは違った痛さがある。
これ、多分懐かれたんだろうな。
病気治したからな。
…ここで進化してもいいよね?
この子のint値成人男性の数倍あるし、姿が変化して襲われるなんてことは無いだろう。
ヴァイスに断りもなく進化するわけにはいかないので聞いてみる。
『というわけで、ここで進化してもいいかな?』
「…自分で決めてっ」
およ?もしかしてヤキモチ妬いちゃってんの?
お?お?お?
可愛いじゃん。
そんなに冷たくされると、おじちゃん泣いちゃうぞ。(割とマジで)
『うっ…えぐっ…分がっだ…ここで進化ずる…ぐすん…』
ん?ヴァイスちゃん、ちょっと慌ててるような?
言い過ぎちゃった…みたいな感じで狼狽えてんのかな?
…この子…純粋だ。
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『進化しますか?しますよね?もう待ちきれません。早く表示させて下さい。』
アッハイ
アナウンスさんが切羽詰まった様子で、アナウンスしてきた。
『そんなに進化先見たいの?』
『はい。数日前から気になってたんですよ…というわけで早く表示させろ。』
『は…はぁ…えっと…お願いします。』
『よっしゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!きたぁぁぁぁぁあ!!』
『アナウンサーとしてあるまじき行為ですね。これは罰則が必要なようです。少し外の空気を吸いに行きましょうか。』
『えっ!?先輩!?どっどどど…どうしたんですか?急に。』
『どうもこうもありません。行きますよ。』
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛わ゛た゛し゛の゛し゛ん゛か゛さ゛き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛』ズリズリズリ
…さっきのアナウンサーとは、打って変わって落ち着いた女性の声が聞こえて来た。
『この度は誠に申し訳ありませんでした。この経緯について…(ドンドンドンアケテー、センパーイ…タイジュウトネンレイヲオオゴエデシャベッチャイマスヨー…アレ?センパイ?エットォ…ン?アッ…イインデスカ!?アリガトウゴザイマス!!)』
どてどてどて
『あっ…えっと、さっきはすいませんでした。』
さっきの超無礼アナウンサーが帰ってきた。
…こいつ全然反省してないだろ。
今回のことを長々と糾弾して、焦らしてやろうか?
というより今回の進化明日にしてやってもいいんだぞ?おぉ?
…という冗談はよしとこう。
『それでは進化先を表示しますね。』
『…よろしくお願いします。』
進化元
『ストラーフ』(F)
進化先
『フェア・ツヴァイフェルト』(D)
『ボルガB-HE』(C)
『エイビス』(E)
『ハイバージン』(E)
『パンデミック』(D)
やっとCランクが入ってきた。
…これ名前的にAランクの基準って結構高くないか?
伝説上の魔物がBランクに入りそうな勢いなのですが。
進化先の詳細は、次回の投稿で表示しようと思います。




