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「旧作」闊歩する禁忌  作者: ふぇるさん
12/58

第9話 私を地上に連れて行って!

_(ˇωˇ」∠)_ スヤァ…Zzz


ずっと先には朝日に照らされた、珍しい色をした1つの卵







卵が動いたのがここからでも分かる。


風の音や葉のこすれる音で、卵の割れた音はほとんど聞こえなかった。







中から産まれたのは、全身が黒色の精霊。

のっぺりとしていて、掴みどころの無い容姿だ。

例えるなら、人型の、真っ黒なグミ…のような。


ちっちゃくて、ここからではあまり見えない。







今の状態なら姿も見えないし、近づいても大丈夫…だよね?



ーーーーーーーーーーーーーー




しばらくすると精霊が、洞窟付近で魔法の練習を始めた。


この洞窟は、私が死んでからだいたい100年程前に土竜が掘ったもの。


ここから地上に行こうと思ったけど、魔物が襲ってきて通れなかった場所。


さすがに入口付近にはいないと思うけど…






あっ


…倒れちゃった…大丈夫かな?



ーーーーーーーーーーーーーー



ここの所彼は、ずっと魔法の練習をしている。


右手を前に突き出し、瞬間的に眩しい光が発せられる。


光が止むと、彼は既に魔力切れで倒れている。




努力家なのは分かるけど…それじゃ体を壊しちゃうよ…


大雨が降ってきたので大きめの落ち葉で傘をさしてあげる。




この雨は、短時間だけ降る大雨だ。


いつからだろう…生きてた頃は、こんな一時的な大雨なんて降ることは無かったのに…


こんな気候になったのも、私がこの大穴に落とされてから…





ーーーーーーーーーーーーーー




周囲に散乱している骨に水滴が当たる音がした。



…雨が降ってきたようだ。傘をさしてあげよう。






…あっ。


目が覚めたみたい。フラフラな足取りで壁近くの雨宿りできる場所まで避難している。




本当に大丈夫なのかな…






…雨がやんだ頃だろうか…彼がまた魔法を放つ準備をはじめた…


精霊がいつものように手を洞窟に向ける。



今回の魔法は、術がちゃんと成り立っている。


もしかして今日こそは魔法ができるかも?







ぽん!


彼の体より、一回り大きな光の球が現れた。


おお!!凄い





魔法が成功した精霊は、自分が生まれた時の卵の殻を蔦で背中に括りつけた。




何をしているのだろうか?



背中に卵を括りつけた精霊は洞窟へ向かってく。


あぁっ!ダメ!そこは危ない!







…行っちゃった。





ーーーーーーーーーーーーーー



数日程経過しただろうか。


洞窟から鎧(?)を着たちっちゃな竜が現れた。


それは何やら懐かしむように、焦げた苔や煤で汚れた洞窟を眺めてた。




しばらくして、その竜が周囲を関索し始めた。



どうしよう…こっちに向かってくる…


そのちっちゃな竜は私の骨に気がついたようだ。


どうするつもりだろう…食べないでよね?





彼は何か念じるように手を合わせた


何やら模索しているみたいだ。












『つちいいいぃぃぃぃぃ!!』





!!!!


何!?




彼が何か唱えた。

右手を差し出す仕草…あれ?これ、どこかで見たような…


しばらくすると地面に何かの文字が浮き上がった。



何か伝えようとしてるのかな?


…あっこれ逆から見ると【土】だ。

あっなるほど土ね!土土…



いやなんで!?



私が彼の意味不明な行動に困惑していると、


また何か始めたようだ。


また右手を前に出した。





『クレイ』





おっ?


今度はちゃんとした術だ。


私の亡骸の隣に、ちょっとした大穴ができた…


おぉ!凄い!…あれ?このくだり…






しばらくすると彼は私の骨を埋め始めた。


私はこの一連の行動に、

生前の記憶が重なった。



それは私の祖父が亡くなってしまった時…その時、私が見ていた景色が…





丁寧に骨を1本ずつ穴に埋めてく。


そうか…私のことを埋葬してくれてるんだね…




穴を完全に埋め終えた後、

彼はツルツルで真ん丸な石ころを持ってきた。


その石ころを、私の埋葬した場所に置いて、


彼は跪いた。


墓石のつもりなのだろうか?




その時に見えた。甲殻の隙間に、珍しい色の卵の殻が…


あの時のブラックグミ精霊だ…










この子になら…








ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー




北上視点




背後に何かの気配を感じる…


振り返ると、そこには自分の半分ほどの身長の少女…いや…精霊がいた。


銀髪に真っ白なワンピースそして赤い目


この特徴は…えっと…


確かその名は

『ヴァイス-シュピリトゥス』


気に入ったものの前にしか、姿を現さない…という記憶が


どうやら俺は、彼女に気に入られたようだ。


気に入られる要素あったか?




「えっと…」


彼女は何やら話しにくそうに、まごまごしてる…かわいい


ちょっと話しにくそうだったので、こちらから声を掛けてみることにする。


『どうしたの?俺に何か用か?』



あっ…ちょっと言い方きつかったかな?



「えっとね…さっきの…私の骨だったんだけどね。埋葬してくれありがとう。」


あぁ…成程。そういう事か。


『あぁ…どういたしまして。』


…めっちゃまごまごしてる。


かわいい






『それだけじゃないだろ?俺に何か用があって姿を表したんじゃないか?』


まぁ…これは予想なんだけどね。

これ外れてたら、めっちゃ恥ずかしいやつだ。


「あぁ!そう!そうなの!お願いがあって!」


『うん』


「私を地上に連れて行って欲しいの。」


あれ?…それだけ?




『うん。ええよ?』




「そうだよね…さすがにダメだよね…えっ!?!?!!!」



凄い驚きっぷりだ


これでご飯三杯はいける。


「いいの!?」



『うん…大丈夫だよ?』





「う…うん。」



『「…」』



「そ…そうそう。このお願いの対価なんだけどね?」



対価なんていらないんだけどなぁ…


まぁいいや。

気持ちだけ受け取っておこう。







「私の力をあなたにあげる。」



ここから、彼の成長期が始まる…

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