第7話 埋葬
人の死に関わる表現が出てきます。ご注意ください。
ガラガラ…
石ころが背中の上に乗っかっている。
だが重くはない。進化の影響か。
暗い…明かりを…
『ライト』
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はっ!?
やっべぇ『ライト』使っちゃった…
光球だ光球…
『光球!』
ガラガラガラ
体の上に乗った石ころを退ける
体が大きくなったせいで石の囲いが崩れてしまったようだ。
のけた石ころがちょくちょく溶けてる。
…ライトの威力が上がってる…喜んでいいのか悪いのか…
両手を見る。
鱗や甲殻に包まれた手。
ガントレットみたいでかっこいい。
(知らない人のために…
ガントレットとは、手に装着する鎧みたいなの。
言わば籠手のこと)
足も鱗と甲殻で包まれている。かっこいい。
おしりには5センチ程の尻尾…かわいい。
体の大きさはふた周り程大きくなってる。
前回までの大きさが、そこらの石ころだとしたら、
現在は、だいたい500mlペットボトル程だろうか。
背中に括りつけていた卵の殻を確認する。
…体が大きくなりすぎて、括りつけていた紐が切れてしまったようだ。
残念だが、紐は捨てることにした。
卵の殻は胸の甲殻の隙間にでも突っ込んどこ。
(そんな扱いでいいのだろうか?)
進化したことだし、ステータスを確認することに。
氏名-------
年齢 0歳
種族 ストラーフ
性別---
ーステータスー
LV 1(10)
HP 560/560
MP 20530/20530
STR 540
VIT 901
DEX 103
AGI 110
INT 8000
ースキルー
『鑑定』『状態異常完全抵抗』『超回復』『全ステータス10倍』『超隠蔽』『貫通』『炎魔法(23)』『水魔法適正』『土魔法適正』『風魔法適正』『光魔法(43)』『闇魔法適正』『並行思考』『タキサイキア』『不眠不休』『必要食事量超軽減』『生殖機能低下』『回復魔法』『神聖魔法』『爆裂魔法』『MP自然回復+(6)』
ー称号ー
『憤怒』『神殺し』『アビス』『復讐姫』『人格なき学識』『禁忌』『法王』『管理者の加護』『聖人』
特筆すべきは、MPとDEX値、AGI値がだいたい2倍になった事…
HPに至っては、7倍ほどに…いや…今までが低かっただけか。
ステータスを確認した俺は、横穴から外に出る。
体が大きくなったせいか、天井が低く感じる。
だがまだ洞窟はかなりの大きさだ。学校の教室程の広さはあるんじゃないか?
後ろを振り返る。
…あんま進んでなかったな。
数十メートルほど先には、俺が『ライト』の練習で焦げさせてしまった苔の跡が見える。
急に懐かしさが込み上げてきた。
…ちょっと戻るか。
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外からの風が気持ちいい。
あの洞窟から、歩いて数分。
あの元の大穴に戻ってきた。
昨日のあの努力はなんだったのだろう…
こちらの大穴は、だいたい体育館程の大きさ。
少し楕円形になってる。
進化して、体格が大きくなった。
そのおかげで、大穴の壁だけではなく、少し先の地面も見れるようになった。
今気づいたのだが、俺は結構壁際で産まれていたようだ。
試しに壁際を探索してみる。
身長が低かった時は確認できなかったが、こう回ってみると結構骨が落ちてた。
トカゲみたいな骨、クマのような骨格の骨…
そして人の骨…人の骨!?
自分の産まれた場所とはちょうど反対方向の場所に人の骨が落ちていた。
来ていた服も、雨風に晒されボロボロだ。
形からして小さなワンピース…まだ成人もしていないような少女だ。
一応全体を見た感じ、脇の骨と、右足の骨が折れていた。
痛々しい…
このままでは可哀想なので土属性魔法の練習がてら、
埋葬してあげることにした。
えっとー
土土土土…
『つちぃぃぃぃ!!』
土系統の魔法の名前が分からなかったんです!
ごめんなさい!ふざけてるわけじゃないんだよ?
えっなに?
このシリアスな雰囲気をぶち壊しやがってどうしてくれるんだ。ぶ○殺す。だって?
し…しょうがないじゃないか!
ラノベとかの土魔法って石礫飛ばしたり、床からトゲ生やしたり、壁生やしたり、アクロバティックなのばっかりなんだもん!
数秒程経過すると、地面が少し盛り上がった
【土】
…うん!土だね土土…
盛り上がった土には【土!】と表記されていた。
《土魔法を習得いたしました。》
うぉ!?なんか出た!
そうだ。光属性の時は気絶しちゃったから、アナウンス聞けなかったんだ。
『土魔法』
現在使用可能 土属性魔法
『クレイ』『ヴェロス』『土塊』
使用不可 土属性魔法
『フルム-ミラー』『シュプリッター』『ヴァント』『アオス-シュテルべン-アーマイゼ』『エーアト-べーベン』…
結構あんな…
『クレイ』
土、石などの操作についての魔法。
最も基礎的な魔法であり、初心者はまずこれを扱えるようにする。
『ヴェロス』
石や金属で組成された矢を放つ魔法。
展開及び初速が速い。
よって近接戦闘などでは群を抜いた人気を持つ。
『土塊』
土の塊を飛ばす
質量でゴリ押しする脳筋の塊みたいな魔法。
これを魔法と呼んでもいいのだろうか?
筆:ヘグゼ
…いや
ヘグゼって誰だよ!?
穴を掘るのに1番『クレイ』がよさそうだ。
『クレイ』
人骨の隣に慎重に穴を掘る
バランスボール1つ入るぐらいの深さまで穴を広げた。
これでいいかな?
彼女の骨を一つずつ骨上げしてゆく。
初めに周囲に散らばった歯を集める。
次に足の骨。
特に、折れてしまった右足は崩れないようより丁寧に扱う。
その後に腕、腰、背骨、肋骨の順に骨を穴に入れてく。
最後に残った頭蓋骨を…優しく乗せる。
残ったワンピースは綺麗に畳んで隣に添える。
彼女の骨が残っていないことを確認し、穴を埋める。
『クレイ』
穴を完全に埋めた後、
墓石の代わりに、洞窟周辺に散乱している形のいい石ころを置く。
これで一通り完了かな?
墓の前に跪き、お祈りする。
…やはりだ。誰かに見られてる。
姿形はまだ確認できていないが、存在しているのは分かる。
これが気配ってやつなのか?
そう考えると超隠蔽って便利だな!
(呑気)
(。≖ˇωˇ≖。)じー




