悪魔と独りの少女 その2
悪魔は家の掃除を始めた。
この家は2人で住むには丁度いい広さであり
掃除もしやすい。
悪魔がそのように思う訳には悪魔自身が
掃除という行為が好きだというのも
あるかもしれない。
悪魔は慣れた手つきで家の隅々まで掃除する。
これをほぼ毎日している。
そして掃除を終えた後はパソコンに向かう。
理由としてはパソコンで仕事をするからだ。
「さて、昨日買った株は上がったか?」
ーーと言っても株の売買が仕事だ。
悪魔だけなら金が必要無いが
遥は人間なので生活には金がいる。
そのために株取引で収入を得ている。
・・・まぁ買う株は悪魔の力を使って
選んでいるが。
そして気がついたら夕方になっていた。
「遥を迎えに行くか」
最近、何故か遥が迎えにきてと
頼んできたので迎えに行っている。
「迎えに行くついでに
晩ご飯の買い物もするか」
と悪魔は財布を持ち、家を出た。
丁度、遥の学校のホームルームが終わる時間に
学校前に着いた悪魔。
そして5分も経たないうちに
「お兄さん〜‼︎」
と遥が来た。
「こら、周りの人がいるだろ・・・」
「いいじゃんいいじゃん〜
こんな可愛い従妹がいて嬉しいでしょ?」
「いや、全く、全然」
悪魔は即効で否定した。
「ちょっと〜‼︎
もう少し反応してくれても
いいじゃん‼︎」
「いや、全く、全然」
「それさっきと同じ答え‼︎」
「ああ、多分、そう」
「答え方同じだよ〜‼︎」
と話をしていると
「加賀美さん」
と誰かが遥を呼んだ。
この加賀美とは遥と悪魔の苗字である。
「あっ、佐藤くん・・・」
振り向くと遥と同じぐらいの歳の
男子生徒がいた。
「加賀美さん、今帰り?
・・・ってその人は誰?」
と悪魔の方を見て言ってきた。
「遥の従兄だ」
悪魔はそのように答えたが
佐藤と名乗った男子生徒は
悪魔の事なんて眼中に無いように
再び遥に話しかけていた。
「加賀美さん、一緒に帰ろうぜ」
「ごめん、今日はお兄さんと
一緒に帰るの」
「いいじゃんいいじゃん〜
一緒に帰ろうぜ」
と言いながら悪魔の方を睨んできた。
「加賀美さんの従兄の人。
俺が一緒に帰るんで
先に帰ってもらえますか?」
と相手は睨みをきかせて
威嚇をしているのだろうが
悪魔から見れば子犬の威嚇に等しい。
「ち、ちょっと佐藤くん⁉︎」
遥は慌てたようだが
「何故、俺は見ず知らずの奴に
命令されなきゃいけないんだ?
・・・遥帰るぞ」
と悪魔は遥の手を握り
その場から離れた。
「お、おい‼︎」
学校からしばらく歩いて
いつも行くスーパーに向かった。
「あの・・・お兄さん?」
「どうした遥?」
「いつまで手を掴んでいるの?」
と遥はとても恥ずかしがっていた。
ただ悪魔には何故恥ずかしがっているのか
分からなかった。
「?なんか問題でもあるのか?」
やはり悪魔には分からなかった。
「いや・・・別になんでもにですよ~
ところで今日のご飯は何?」
「何がいい?」
「オムライス!」
「分かった、オムライスにするか」
と悪魔はオムライスの材料を買い、家に戻った。
家にて
「なぁ遥」
「なに?」
「あの夕方いた男子は遥の彼氏か?」
「ぶっ!?
いきなり何を言い出すの!?」
「こらこら、女の子が水をふきださない」
と悪魔が注意すると
「誰のせいだと思っているの!?」
「・・・」
悪魔はしばらく考えてみた。そして出た結論は
「遥のせいか?」
「お兄さんのせいでしょ!!」
悪魔は怒られてしまった。
「まぁまぁ遥の大好きなプリンあるよ」
と悪魔は昼の内に作っておいたプリンを
遥の元にだした。
「わぁ~い!ありがとう~!」
遥はプリンを食べ始めた。
「ってプリンでごまかさないで!!」
「む、駄目だったか」
「当たり前でしょ!」
この後、悪魔は自分がなぜ怒られているのか
分からないまま遥に怒られていた。