表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻泡影 ─むげんほうよう─  作者: まみや ろも
3/17

瞬き

 夜。

 瞬きをしたと思ったら、もう朝になっていた。

 そんな経験をした人はいないでしょうか。

 相当疲れが溜まった時稀に起こる現象らしいのですが。

 もちろん身体はその間寝ているのです、でも気分的には全然寝ていない。

 疲れが取れたのか取れてないのかわからない。

 そんなちょっと勿体ない気持ちになる睡眠です。



 今、彼に起きた出来事も、どこかそれに似て、そしてそれよりもはるかに深刻な事態を引き起こしていました。




 瞬きをして、目を開けると。


 そこは。




 左右に巨大なビル群の立ち並ぶ大きな通りでした。


 アスファルトは波打ち、ひび割れ、めくれ上がり。

 遠くに見える歩道橋も、真ん中からぐにゃりと潰れています。

 そして左右のビルも無事なものはひとつもありません。

 その多くが倒壊し、辛うじて建っているものも、傾いていたり大きな穴が空いていたりしていました。






 先程までという言い方が正確かどうか分かりませんが。

 目を開ける前まで、彼は教室にいました。

 馴染みのある、自分の、高校の教室です。

 その、教室の椅子に座り。


 スマホが鳴って。


 スマホを取って。

 ・

 ・

 ・

 そうして、ここに。


 破壊されたビルの間、波打つ大通りの真ん中にひとり。

 彼は立っているのでした。




「なんていうか」




 ここにきて初めて少年が口を開きました。




「驚きすぎると、あんまり驚かないものなんだな」





 その矛盾した言葉で、彼が充分にパニックに陥っている事がよくわかります。






 と、そこへ。



「驚きすぎてるんやから、それもうえらい驚いてるって事やろ」


 突然。


 何の前触れもなく、後ろから声が聞こえました。

その声が続けて言います。



「その様子やと、お前ここは初めてやな?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ