プロローグ -都市伝説-
「ねえねえ、知ってる?」
「ん? なになに」
「なんかねぇ。ある日気が付いたら、スマホに知らないアプリが入ってるんだって」
「え? それ珍しいの?私よくあるけど」
「あんたはいつも寝ぼけて訳の分からないアプリ入れるからでしょ!! しかも丁寧に招待メールまで送ってきて」
「あはははは、そんな事もあったかもしれないわね」
「それでね。そのアプリを開くといきなり質問が始まるんだって」
「新手のアンケート的な」
「そうじゃなくて。あなたの生年月日はこの日ですか? とか、あなたは兄弟がいますか? とか」
「ふんふん」
「で、答えはYESかNOで答えていくんだけど、そんなの当たるわけないじゃない」
「まあ、そうよね」
「で、NOが続く訳なんだけど、段々と当たってくるんだって」
「その誕生日とか兄弟とか?」
「そう、しかも名前まで」
「わお!!」
「他にもパパとママの名前とか、ペットの名前とか、住んでる所も通ってた学校もどんどん当たってくんだって」
「それはキモイ!!」
「でしょ!!」
「キモイって言うかあれよね・・・キモイ?」
「あんた言葉知らなすぎよね。
まあ、その手の個人情報はアドレス帳とSNSを覗かれたらある程度は分かっちゃうんだろうけど」
「じゃあなに? そのキモイアプリは人のキモイアドレス帳とかの中身を勝ってに見たうえにキモイ家族の名前とかを見つけちゃってるってわけ?」
「そういう事が出来るかは私も知らないけど。
その前にあんたキモイキモイ言い過ぎだから。家族に謝んなさいよ」
「ごめんパパママ」
「かるっ!!」
「あ、あと・・・ごめん」
「あたしも入ってたんかい!!」
「いやほら、あたしの友達あなただけだから・・・」
「あ、なんかその。ごめん」
「大丈夫、キモくない友達ならたくさんいるから」
「おバカーーーーーーーー!!」
「あたたたた。それで、それのどこが都市伝説なの?
伝説ってよりスパムとか迷惑メールレベルじゃない?」
「ああ、そうそう。続きがあるのよ。
でね、その質問に最後まで付き合うとね」
「つまり全部YESになるまでね」
「うん、そしたらその人はそのアプリに取り込まれて帰って来れなくなるんだって」
「ポカーン」
「なにその顔」
「いや、あまりにも最後がお粗末すぎてあたしが取り込まれかけたわ」
「しょうがないじゃない、そういう噂なんだから」
「ずいぶんと伝説になりきれてない都市伝説だわね」
「それは否定できないわ」
「で? そのアプリの名前を聞いたらお前のスマホにもそのアプリがーーーとか、そんなオチなんでしょ?」
「あー、残念。そうなればまだ面白かったのにね。
そういうのは無いみたいよ。
ただ、その質問責めがどこかの国の予言書に似てるらしいのよね」
「なんてゆーの?」
「確か、アガスティアの葉だったかな」
「ふーん」
「いまいち怖くなかったわね」
「そうね、取り敢えずキモイ事しか覚えてないわ」
「おバカーーーーーーーー!!」