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夢幻泡影 ─むげんほうよう─  作者: まみや ろも
13/17

微笑み

「龍之介くんっ!!」


 空中に浮かんだ天使。いや、小柄な羽根の生えた少年から発せられた光がすっと消えると。

 彼の体は、吊っていた糸が切れたかのように落下してきました。

 慌てて委員長(ドッペルゲンガー)が駆け寄り、しっかりとその腕に彼を抱きとめます。


「ああ、委員長さん。ありがとう」


 龍之介が腕の中で、ほやっ、弱々しく笑いました。


「むぐっ」


 委員長(ドッペルゲンガー)がおかしな声をあげましたが、取り敢えず三人は急いで駆け寄ります。


「そうだ、一つ注意がある。津村さんはもちろんこれは委員長も知らないはずだ」


 まず津村と合流した流れが、そっと二人に耳打ちしました。


「龍之介を真正面から見つめる時は注意するんだ。持ってかれるぞ」


「はあ?なに言うとんねん」

「いったい何を持っていかれると言うんです?」


「見ればわかる。ただ、気をつけることだ」


 いつになく真剣な流の言葉に、二人はただ頷くしかありません。


「とにかく、怪我が無いかだけでも診なくてはいけないわ」


 委員長(ドッペルゲンガー)が龍之介をガレキの上にそっと降ろし、姿を消しました。


「龍之介言うたな、津村っちゅうもんや。見ての通りこの流と委員長と一緒に動いとる。で、どうや?どっか痛いとこあらへんか?」


「はい、大丈夫です。どこも痛いところは無いみたいです」


 と、龍之介はしっかりと立ち上がり。


「津村さんですね、はじめまして。それに委員長さんと流くんも、助けてくれてありがとうございます」


 深々と頭を下げ。


「皆さんにも、神のご加護がありますように」


 小柄な身体つきで、女の子のような顔をした龍之介が。にっこり、と。この世のものとは思えない天使のような笑顔で顔を上げました。


「むぐっ!!」

「むぐっ!!」


 それをまともに見てしまった津村と委員長が、慌てて口をおさえます。


「だから言ったでしょう。龍之介の本気の笑顔をまともに見たら魂持っていかれるって。あいつの『聖女の微笑み(エンジェルスマイル)』で、街の不良たちが何人もヤラれてるんですから」


「いやいや、流。そこは無理に能力名っぽく言わんくてええから」

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