微笑み
「龍之介くんっ!!」
空中に浮かんだ天使。いや、小柄な羽根の生えた少年から発せられた光がすっと消えると。
彼の体は、吊っていた糸が切れたかのように落下してきました。
慌てて委員長が駆け寄り、しっかりとその腕に彼を抱きとめます。
「ああ、委員長さん。ありがとう」
龍之介が腕の中で、ほやっ、弱々しく笑いました。
「むぐっ」
委員長がおかしな声をあげましたが、取り敢えず三人は急いで駆け寄ります。
「そうだ、一つ注意がある。津村さんはもちろんこれは委員長も知らないはずだ」
まず津村と合流した流れが、そっと二人に耳打ちしました。
「龍之介を真正面から見つめる時は注意するんだ。持ってかれるぞ」
「はあ?なに言うとんねん」
「いったい何を持っていかれると言うんです?」
「見ればわかる。ただ、気をつけることだ」
いつになく真剣な流の言葉に、二人はただ頷くしかありません。
「とにかく、怪我が無いかだけでも診なくてはいけないわ」
委員長が龍之介をガレキの上にそっと降ろし、姿を消しました。
「龍之介言うたな、津村っちゅうもんや。見ての通りこの流と委員長と一緒に動いとる。で、どうや?どっか痛いとこあらへんか?」
「はい、大丈夫です。どこも痛いところは無いみたいです」
と、龍之介はしっかりと立ち上がり。
「津村さんですね、はじめまして。それに委員長さんと流くんも、助けてくれてありがとうございます」
深々と頭を下げ。
「皆さんにも、神のご加護がありますように」
小柄な身体つきで、女の子のような顔をした龍之介が。にっこり、と。この世のものとは思えない天使のような笑顔で顔を上げました。
「むぐっ!!」
「むぐっ!!」
それをまともに見てしまった津村と委員長が、慌てて口をおさえます。
「だから言ったでしょう。龍之介の本気の笑顔をまともに見たら魂持っていかれるって。あいつの『聖女の微笑み』で、街の不良たちが何人もヤラれてるんですから」
「いやいや、流。そこは無理に能力名っぽく言わんくてええから」




