ガレキ
「そういや、委員長さん。あんた聞きたい事ある言うてなかったか?」
「そうでした、先ほどの騒ぎですっかり忘れていました」
「じゃあ、移動しながら話しましょう。これ以上ここにいてもどうしようもありませんし」
むっくりと起きた流に言われ、大通りに沿って三人は移動を始めました。
「で? 聞きたい事ってなんや?」
「ここへ来る前に、通りすがりに耳にしたのですが。ここでは時間切れ、があるとかいるとか」
「ああ、あいつの事な」
「あいつですか?」
「ある程度の時間になったら出てくるやつでな。問答無用でサーバー倒してここを閉じるんや。無理矢理起こされる様なもんやから、サーバーはもちろん俺らにもあんまり気持ちのいいもんじゃないけどな」
「その方は、何者なのですか?」
「わからん。誰なのか、何なのか。正体不明の意味不明や。ただ、狙いはサーバーだけやし夢から起こしに来るっちゅうんで時間切れ呼ばれてるわ」
「なるほど、よく分からない何者かがいる事だけはわかりましたわ」
「それまでに倒せれば問題ないしな」
「そうですね」
「質問は終わりかいな?」
「ええ、これでもう大体の事はわかりました」
そう言った途端、目の前のガレキがいきなり盛り上がりました。
それは次々とガレキを重ね合わせ、ゆっくりと人に似た形をとっていきます。
「すみませんが、聞きたいことが増えましたわ」
「そうやろうなぁ」
どんどん大きくなっていくソレを見上げながら、二人はのんきにもそんな会話をしています。
完全に人の形となったガレキの山は二本の足で立ち上がりました。
「さっきも言うたが、能力っちゅーのは腹の中さらけ出すようなもんや。自分でも見たくない、見せたくないモンを見せられるんやからな。それに耐えられん奴は飲み込まれる。こんなふうにな」
よく見ると、ガレキの右肩から足が。学生服を着た人間の足が生えています。
さらに腰のあたりには片腕が、胸からは後頭部が覗いています。
「中がどうなっているか、想像したくありませんわね」
「夢ん中とはいえ酷なこっちゃで。早う楽にしてやらんとな」
津村は両手の紐を握り直し。
「『紳士的な狩猟』」
素早く動いた津村の腕が、それにあわせて紐が。ガレキの巨人の脚を絡めとります。
そしてその紐を引くと、足をすくわれた巨人が轟と地面を揺らしながら倒れていきました。
「倒しましたの?」
倒れた拍子に舞った地煙が晴れてみると、そこは元のガレキの山に見えます。
「いや、まだまだや。まだ終わっとらん。てか、あんたよく隣にいて平気やな。度胸あるわ」
「ええ、安心してください」
委員長は道路の端、倒壊しかかったビルを指差します。
そこに。
委員長といつの間にか流までもがしっかりと避難していました。
「あんたドッペルゲンガーの方かい」
流石に津村も苦笑いするしかないようでした。
「それよりもあそこ」
委員長が、今度は反対のビルを指さします。
「あそこにも誰かいますわよ」




