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夢幻泡影 ─むげんほうよう─  作者: まみや ろも
11/17

ガレキ

「そういや、委員長さん。あんた聞きたい事ある言うてなかったか?」


「そうでした、先ほどの騒ぎですっかり忘れていました」


「じゃあ、移動しながら話しましょう。これ以上ここにいてもどうしようもありませんし」


 むっくりと起きた流に言われ、大通りに沿って三人は移動を始めました。


「で? 聞きたい事ってなんや?」


「ここへ来る前に、通りすがりに耳にしたのですが。ここでは時間切れ、があるとかいるとか」


「ああ、あいつの事な」


「あいつですか?」


「ある程度の時間になったら出てくるやつでな。問答無用でサーバー倒してここを閉じるんや。無理矢理起こされる様なもんやから、サーバーはもちろん俺らにもあんまり気持ちのいいもんじゃないけどな」


「その方は、何者なのですか?」


「わからん。誰なのか、何なのか。正体不明の意味不明や。ただ、狙いはサーバーだけやし夢から起こしに来るっちゅうんで時間切れ(モーニングコール)呼ばれてるわ」


「なるほど、よく分からない何者かがいる事だけはわかりましたわ」


「それまでに倒せれば問題ないしな」


「そうですね」


「質問は終わりかいな?」


「ええ、これでもう大体の事はわかりました」


 そう言った途端、目の前のガレキがいきなり盛り上がりました。

 それは次々とガレキを重ね合わせ、ゆっくりと人に似た形をとっていきます。


「すみませんが、聞きたいことが増えましたわ」


「そうやろうなぁ」


 どんどん大きくなっていくソレを見上げながら、二人はのんきにもそんな会話をしています。

 完全に人の形となったガレキの山は二本の足で立ち上がりました。


「さっきも言うたが、能力っちゅーのは腹の中さらけ出すようなもんや。自分でも見たくない、見せたくないモンを見せられるんやからな。それに耐えられん奴は飲み込まれる。こんなふうにな」


 よく見ると、ガレキの右肩から足が。学生服を着た人間の足が生えています。

 さらに腰のあたりには片腕が、胸からは後頭部が覗いています。


「中がどうなっているか、想像したくありませんわね」


「夢ん中とはいえ酷なこっちゃで。早う楽にしてやらんとな」


 津村は両手の紐を握り直し。


「『紳士的な狩猟(キャッチ・アンド・リリース)』」


 素早く動いた津村の腕が、それにあわせて紐が。ガレキの巨人の脚を絡めとります。

 そしてその紐を引くと、足をすくわれた巨人が轟と地面を揺らしながら倒れていきました。


「倒しましたの?」


 倒れた拍子に舞った地煙が晴れてみると、そこは元のガレキの山に見えます。


「いや、まだまだや。まだ終わっとらん。てか、あんたよく隣にいて平気やな。度胸あるわ」


「ええ、安心してください」


 委員長は道路の端、倒壊しかかったビルを指差します。

 そこに。

 委員長といつの間にか流までもがしっかりと避難していました。


「あんたドッペルゲンガーの方かい」


 流石に津村も苦笑いするしかないようでした。


「それよりもあそこ」


 委員長(ドッペルゲンガー)が、今度は反対のビルを指さします。


「あそこにも誰かいますわよ」

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