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代償  作者: 花浅葱
第一章
2/6

サワコ①

こんにちは(^o^)丿

今回も引き続き、付き合っていただけたら嬉しいです。

今回はですね、なんというか強姦が出てきますから、苦手な方も

いらっしゃると思いますが、この話あってのこの「代償」という小説なので、ぜひ読んでいただきたい←

ではでは、さっそく始まります~(*^_^*)

例えば感動する映画を観たり、会いたかった人に会えたり、大切な人が死んだとき、ヒトは涙を流す。

あたしは昔っからそれを疑問に思い続けてきた。


なぜかっていうと、あたしは「悲しみ」という感情を持ち合わせていないようだからだ。涙が出ないわけではないみたい。目に大きなゴミが入った時とか、あとすごい痛い思いをしたときなんかは、出てくる。

ただ、心を揺さぶられて、涙が出るということがないのだ。

友達なんかの前では、「悲しみ」という感情が湧き上がってくるであろうタイミングを予想する。んで、涙を流すことだけはコントロールできるようになった。

でもやっぱむなしいったらありゃしない。


だから今夜もあたしは、渋谷の街を行くあてもなく彷徨う。




「あれっ、サワコじゃん」

近くの飲食店ででも時間をつぶそうと思っていたとき、あたしは名前を

呼ばれ振り返った。

友達のミホが手を振りながらこっちに歩いてきた。

まあ友達って言っても、会うのは夜だけだし、ミホっていうのも本名かどうかも知らない。

「あれ、ミホ」

ミホの隣には金髪の、ピアスをした男がいた。

「どしたのミホ。そのヒト。彼氏?」

「あ?うん。最近できたばっかなの~。タクミッていうんだ。19だから、ウチとサワコより年上だね。かっこいーでしょ?ほら、背中に刺青‼」

タクミと呼ばれた男は、刺青を見せびらかすため、町中だというのに服を脱ぎ始めた。

「へー、かっこいいじゃん。やるゥ、ミホ」

あたしは格別、羨ましくもなかったが大袈裟に褒めておいた。

ミホは満足したように大きな声であっははと笑うと、あたしとタクミに肩を組んできた。

「んね、せっかくだから三人で飲まない?」

ここで言っておくけどあたしは15、ミホは16、タクミは19と全員未成年だ。

でも、あたしたちみたいなヒトたちの中に、そんなこと気にする奴はいない。

「なによミホ、お前のダチ?」

「ん。飲み屋で意気投合しちゃった感じー」

「へぇ、けっこう可愛いじゃん、サワコ。よっしゃ飲みにいこ~‼」

「おっけぇ~」

ミホとタクミが乗り気なので、あたしも合わせて喜んでおいた。





店の中は、あたしが今まで渋谷とか六本木とかで入ってきた店の中でイチバン奇抜だった。そこら中でヤりまくってるし、どう見ても中二くらいにしか見えない子供までうろついている。

顔中にピアスをつけている男までいる。

あっちにいる女の舌は、蛇のように割れている。

あれは、何ていうんだろう。

「知ってる?サワコ。あれ、スプリットタンっていうんだよぉ」

ミホが、あたしの心の中を悟ったように言った。

「スプリットタン?」

あたしが、分からないという仕草をするとタクミがクックックと笑った。

「お前、変なトコで真面目。あれだよ、スプリットタンって。

下に穴あけて、んで最初はちっちゃいゲージから初めて、ちょっとずつでかいピアスにしてくの。で、最終的には舌の先を蛇みたいに切り裂いちゃうんだよ。痛いぞ~」

「へ、へぇ。初めて知ったわあたし」

タクミはまたも声を上げて笑った。

「俺もしてるよ、ホラ。なんだよ、サワコの彼氏はしてねぇの?」

「え、あたしカレとかいないし」

「タクミィ、実はサワコね、いまだに処女なんだよ~」

ミホが、時々見せる意地悪な顔をして、聞こえみよがしにタクミに耳打ちした。

「ちょ、ミホ何言ってんの⁉ま、まぁ間違いじゃないけど…」

これは本当だ。カレもいないし、セックスをしたこともない。

作りたい、したいって思わないワケじゃないけど、どうせ実行したところで面倒くさいだけだなって思うからしないだけだ。

でも、マジメ、と思われるのが恥ずかしくなってきたあたしは「ちょっとトイレ」と言って店の裏口に逃げた。





ひと息つき、煙草を吸おうと取り出そうとしていると、後ろからタクミの声がした。

「なんだよ、トイレじゃねーじゃん」

はっとして振り返ると、タクミに口をふさがれた。

「んむっ⁉何しっ…、んっ…」

必死に抵抗するも、男の力にはかなわない。

「俺さぁ、さっき会ったときからサワコのことかわいいなって思ってたんだよね。でもさ、なに処女なんだって?真面目なんだね~。それ聞いて俺さ、めっちゃ勃っちゃったんだよね~」

タクミが、右手であたしの口を押さえたまま器用に自らの下半身に左手を伸ばした。そのうち、カチャカチャという、金具の擦れる音が聞こえてきた。

今のあたしの不安を掻き立てるには十分すぎた。

タクミはベルトを外し、それであたしの両手を縛った。

「ん、ちょっ、やめ…んぐっ…」

タクミがあたしのショーパンに手をかける。

あたしは激しい悪寒を覚えた。

こんなやつに、犯されてたまるか。

あたしの中で、ナニカが切れた。そして次の瞬間、タクミの顔を思いっ切り蹴りあげた。

「うっぐ…」

「っざけんな、お前みたいな野郎に犯されてたまるか‼二度とあたしに近づくな‼」

あたしは両手をベルトで縛られたまま、裏口から逃げ出し、町を走った。

ネオンの中を、人ごみの中を、いろんな人や物にぶつかりながらひたすらに走った。今のあたしの中にあるのは、怒りでも悲しみでもなく、激しい虚無感と悪寒だった。


「はぁ、はぁ、ここまで来れば、大丈夫でしょ?」

息が苦しい。でもとりあえず、この縛られている手をどうにかしなきゃ。

あたしは口を使ってライターを鞄から出し、指の先でスイッチを入れ、少しずつあぶりながらベルトのひもを燃やしてほどいていった。


手が自由になると、一気に脱力感が出てきた。

「ああーーもう最悪‼なんなのあの男‼」

大声を出して強がるが、本当はかなり危なかったと分かっている。

もう、ミホと付き合うのはやめよう。

タクミなんて、いうまでもない。

あたしは大きなため息をつき、そろそろ一時的に隠れていたビルの隙間から出なきゃなと思った。

周りを見回すが、タクミは追ってきていないようだった。


いいや、今日は家に帰ろう。

あたしは少し痛む手首をかばいながら、その場をあとにしたのだった。




次の日も、あたしはいつものように渋谷の街を歩いていた。

行くあてがないと、どうしてもここに足が向かってしまうのだ。

昨晩、あんなことがあったというのに…。


今日は、早めに帰ろう。

そう決めて、家の方角へと歩き出した。

人通りの少ないトンネルをくぐって、家の近くの公園に足を踏み入れた。

その時だった。

足になにか硬いモノが勢いよくぶつかってきて、あたしは豪快に転んでしまった。

そのなにかが、人の足だということはすぐに分かった。

転んだあたしを、三人くらいの人が、しげみに引きずっていった。

「やだっ、何するんだよこのっ‼離せって…ん、う…⁉」

あたしが大声で叫ぶと、すぐさま口にガムテープのようなものが貼られた。

暗くて何一つ見えない。

あたしは暗闇の向こうにいるであろう相手を思い切り睨みつけた。

するとそこには、見慣れた顔があった。ミホだ。


「あっは、無様な格好。似合ってるよサワコ」

あたしがひたすらミホを睨み続けると、ミホは人が変わったように喚き散らした。

「ざっけんなよテメェ。あたしがなにかしましたかとでもいう顔だなオイ。

お前、ウチのタクミに手ぇ出したろ‼昨日、タクミが顔にでけぇ傷作って

戻ってきたと思ったら、何て言ったと思う?サワコがいきなり俺を誘惑してき

て、抵抗したら逆上して蹴られたって‼おまけにズボンのベルトまで引き抜いて持っていかれたんだとよこの痴女。年下が調子乗ってんじゃねーよ‼んでぇ、そぉんな調子乗っちゃてるあんたにだけ特別なサプライズゥ~」


知らない。そんなことしてない。全部タクミのでたらめよ。あたしは塞がれた口で、必死に訴えようとした。

当たり前だが、あたしの虚しい抵抗はミホには伝わらない。

怯えるあたしを見ながら、ミホはにっこりと笑ってこう言った。

「今夜はサワコちゃんの開通式でぇ~す」


その言葉とともに、暗がりから四人の男が出てきた。

その中にはタクミもいた。

そいつらは口々に「こいつ?ヤっちゃっていいのって」「へぇ、けっこーかわいいし」「処女でしょ?俺一番最初ね~」などと言っている。

その一言一言が、あたしの不安を掻き立てた。

それでも、あたしは必死に抵抗した。

けど、五人の大人の男と、高校生の女の子一人の力の差なんて、最初から分かっている。あっさりと服を破られてしまう。


「ヤれ」

ミホの一言で、あたしは見知らぬ男のモノとなった。





ぽつり。ぽつり。

雨が降ってきた。

あたしは、公園のしげみの中に一人、取り残されていた。

四人の男にさんざん犯された後、動けなくなるまで暴力を加えられた。

「はっはっは、コイツ無表情じゃん」「完全に違うセカイいっちゃってんじゃーん」「うわっ、ナカ超キツいし。マジで処女かよー」「なに、泣きもしないのコイツ。俺らが今まで犯してきた女ってみんな泣いたのに、コイツだけ泣かねーんだけど」「よし、泣いて許してっていうまで犯そうぜ」

四人の男の笑い声がフラッシュバックする。

あたしは耳を塞いだ。


なぜだろう。あれだけ怖くて痛い思いをしたのに、涙が一滴も出ない。

結局最後まで、あたしは涙を流さなかった。

あいつらも、あたしを気持ち悪い人形だと言って罵った。

そして最後は、あたしをゴミのように捨てた。


あたしは笑いがこみ上げてきた。そうだ、いいことを考えた。

あいつら全員に、あたしが受けた痛みを倍にして返してやる。

泣いて、許しを乞って、動けなくなるまでいたぶって


殺してやる。


これは殺人なんかじゃない。

ケイサツが、凶悪犯を死刑にするような、そう。


正義だ。


ありがとうございました‼

次回は、ついに三人目の登場です。

激しい描写は控えたつもりですが、少しだけ同性愛の要素があります。

では、またっ(´ω`*)

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