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血脈 - The Iron Vein  作者: Tasawwuf(タサウフ)
第1部:基本に向かって
2/3

Part1。デモルポセカ、陰地に咲く。(1)

長い間、待ってくださって実にありがとうございます。

ブルースクリーンと言う忌まわしい敵に出会いまして。。。

でわ、1部のPart1、始めます!


原作: Tasawwuf(タサウフ)

翻訳: DosKeryos

原文: http://www.joara.com/view/book/bookPartList.html?book_code=19431

Part1。デモルポセカ、陰地に咲く。


1。

「今日からお前らの剣術修業は私がやる。」

翌朝、検索時間に合わせてフェロー官の練兵場に登場したカインが、席に堵列した五十人余りのガーディアンたちに言った。カーレルを待っていた彼らが一斉にざわめき始めた。

「カーレル先生は?」

「もうお前らに教えることはやめてご主人様の言いつけにのみ注力するよう命令が下された。」

「ポープが死んだからじゃないのですか?」

「何いっ!」

カインがすぐ大声を出すと、その若いガーディアンは腰が抜けてすぐに口をつぐんだ。


このような姿を後ろから物騒な表情で見守っていた他の現役ガーディアンたちのいくつかが集まって、それぞれ何か一言ずつ投げかけた。

「ポープの奴、カーレル姉御があんなに大切にしてくださったのに......チッ。」

「あいつ噂通り、姉御とはそんな......仲だったんじゃないの?昨日から姉御は食事もしないし、......しかも昨夜は......」

「黙れ、姉御が......禁忌を破ってそんなことを?......そして言葉は正しくしな、カーレル姉御は男より女のほうに人気がいい、クスクス」

「昨日女のおもちゃを二人も連れてベッドにはいったとさ、本当に。南の会所の守衛がそう言った。」


その言葉にびっくりしたガーディアンたちが一斉に一団となって集まって、それぞれ一言ずつ出していた。

「本当に?」

「本当よ、そのアマたちはとっても萌え死にそうだったらしいけど?」

「マジかよ?ご主人様が姉御の気分が悪くしたことを癒そうとそうしたのか?」

「まあ、そうだろうな。」

「とにかく姉御が突然ああしていらっっしゃるのは理解できない。今までそうやって、死んだのは一二じゃなかったのによ。」

「ポープは姉御が直接教えた奴だったんじゃないの。天下のカーレル姉御がね、情がうつった奴だったんだろうな。まあ、折り悪く初日に1等級に会うのが運のつきたったんだろう。そりゃまあ、くたばった1等級もカーレル姉御に会うなんて運が悪いと言えばそうだろうさ......ふっ」

「といってもなあ......」

「さらに、20年間直接、我が子のように育てていたしな。」

「シーッ!」


キィイという音とともにドアが開き、普段より少し疲れた姿のカーレルが姿を現すと楽しく騒いでいったガーディアンたちが一斉に横に退いながら頭を下げた。カーレルの鋭い視線が自分たちを一度ずつ貫いて通ると、今までおしゃべりをしていたガーディアンたちの表情が青く固まってしまった。


幸いなことにカーレルの瞳は庭で何か指示しているカインに行って止まった。


「カインが新しい剣術の先生になったのか?」

「...はいっ。」

「今回特級に昇級したらしいな?」

カーレルの表情は昨日と同様に、依然として暗かった。ガーディアン一人が彼の顔色をちらっとうかがいながら慎重に尋ねた。

「昨夜に宿所にはおられなかったようですが......」

カーレルが質問をしたガーディアンへサッと振り返った。彼はカーレルの鋭い視線にびっくりして後ろに数歩引いたところでこそこそ席を避けてしまった。


幼いガーディアンの修練場面を黙って見守っていたカーレルにフェローの秘書の一人が近づいてメッセージを差し出した。

「総理閣下の命令です。今日の夕方に再從兄(またいとこの兄)であらボベン=シュートラン卿がここに来られるとおられます。真夜中を少し超えてここに到着するから、ここで待った後、家まで安全に仕えて戻って来いとおっしゃらました。秘密保持のために一人で行って来いと仰せつかっております。」

カーレルはぼやっとする表情で秘書が差し出したメモをしばらくじっと見つめた。

「オネト広場?そこは人がいない荒地なのにか?」

「それはよく分かりません。」

「......」

不安な顔をしたカーレルは、主人フェローの宿会所がある北をふと振り返って見た。





いつものようにマントを顔まですっぽりかぶったカーレルは降り注ぐ真夜中の雨の中をくぐって単身でオネト広場を歩いていた。凶悪犯罪が頻繁に起こっていることで有名なこの旧市街からはいつものように人の気配はほとんど感じられなかった。この気分の悪い場所を時々通る郊外の貧民たちの姿も降り注ぐ雨のせいか探すのが難しかった。


カーレルは広場の真ん中で時計を見つめていた。真夜中のちょうど5分前だった。

「誰だ。」

後ろから来る気配を感じたカーレルが剣を手にしながら後ろをサッと帰っ見た。

「刃物のようなカーレル姉御が時間より早く来るなんて予想外ですね。」

暗闇の中で姿を現したのはカインだった。しばらく緊張したカーレルはやっと安心して柄を握った手を置いた。

「どうしたんだ?カイン?」

「ご主人様がとても心配をされていたみたいですね。いつもなら一人で行ってくれと言うところなのに。」

カーレルが真っ暗な広場周辺を見回しながら呟いた。

「心配?」

カインが言い返した。

「私が受けた命令は、」

カインが突然剣を握った。

「姉御を殺せということです。」


カーレルは瞬間その場にぴったり固まってしまった。柄を握り締めたカインがぼんやりと立っているカーレルを鋭く睨んだ。

「何の話だ?」

カインのギラリとした刃が雨の中で姿を現わした。あまりにも荒唐になったカーレルが頭を乱暴に横に振りながら話した。

「まさか、君は私を殺すことはできない。あなたでは私の敵にはなりえないわよ?」

「とにかく命令を受けた以上やります。」

カーレルはカインが突き立て来る剣を横にするりと回避しながら再び尋ねた。

「そのような命令を受けたはずがない、君はなにかを間違えてはないか?」


「カインは平気さ。」

おなじみの声にカーレルが後に回って見た。主人フェローが五人のガーディアンたちを連れて闇の中に立っていた。

「ど、どういうことなの......?」

妙に回っていく状況に気づいたカーレルが少し警戒する態勢で他のガーディアンを一つずつ睨んで尋ねた。カーレルを攻撃していたカインがやっとその場に止まった。

「ありがたいな、カーレル。お前のおかげで私は特等級ガーディアンを6人も持つようになったよ。値段で言えば、莫大だ。その間君が育てたガーディアンを売った値段もかなり良かった。」

「もう......わたしは捨てるのですか......」

カーレルの表情が青く凍りついていた。どしゃ降りの真夜中の雨が彼のマントに乗って少し現われた顔に乗って流れた。


「そうだ。これが私の最後の命令だ。ここで、死ね。」

フェローの指先がカーレルをまっすぐに指していた。そのとんでもない命令にしばらく固くなったようにぼんやりと立っていたカーレルは、懐から短剣を取り出して、ゆっくりとひざを折った。真っ暗な広場できらめく青い光の短剣とよりきらめくカーレルの灰色に光る瞳が揺れるだけだった。


ひざに座ったカーレルの震える視線がしばらくフェローを見上げた。彼の視線を意識したフェローは、唇を噛んで首を少し横に回してしまった。降り注ぐ雨水がフェローの顔に乗って充血した目を通ってあごに乗り流れていた。カーレルの赤くなった瞳でも雨水が頬に乗って地面にぽたぽた落ちた。カーレルがまだ剣を握って立っていたカインをふと振り返りながら震える声で言った。

「カイン。準備しろ。」

「はい。」

カインがひざまずいて座ったカーレルの背後から剣を振り上げて首を斬る姿勢を取った。


「カイン。」

カーレルが低めに呟いた。

「あなたは私の下に入ってきた最初の弟だった。」

「......」

「心を許した仲だな......だから是非ためらわずに、一気に首を飛ばしてくれ。」

「わかりました。」

カインが剣を握った手に力を上げた。カーレルが短剣を額まで引き上げては一気に自分の腹をすっぽり刺して上に分けた。


「イヤあッ!」

カインが剣を張り上げた。

「待て!!」

フェローが突然手を挙げた。精一杯に剣を振り回わそうとしたカインが瞬間中心を失ってつまずいた。

「ウ、ウウウック......」

カーレルが内臓が溢れ出ようとする腹をつかんですさまじいうなり声を出していた。その姿をしばらくじっと見ていたフェローは、歯を食いしばりながら横に向いた。もがいていたカーレルがカインの足跡をぎゅっと握った。剣をもち上げたカインは、’決断’をためらっているフェローと苦痛にもがくカーレルの姿を交互に眺めながら中間で戸惑う表情を浮かべるだけだった。カーレルの口から血が出てきた。


「ど、どうしますか......ご主人様......」

見かねたカインが口を開いた。カーレルの視線を徹底的に無視していたフェローは震える声を整えながら彼らしくないようにしどろもどろし始めた。

「君はあまりにも有名になってもう利用価値がなくなった。どんな奴も私に財産をかけて挑戦して来なくなったからな。そんなガーディアンなんかをいくつ育てて売っても大きく残る商売じゃない。前回の間抜けも君がしばらくの間、ここにいないだろうという私の嘘の情報に騙された後になってから私に飛びかかったからな......といっても他の連中に売り飛ばすこともできない......これが最初の理由だ。」


苦痛を抑えられないカーレルはフェローの説明を聞いているんだかいないんだか横の雨水の穴に顔を埋めながら荒い身悶えを張っていた。彼女のうめき声を聞いたフェローがため息をついた。

「二番目に貴様はよくもガーディアンのくせにあまりにも多い秘密を知ることになった。間抜けが......よくもガーディアンの分際で自分の遺伝子コードを探すなんて......第三に、貴様がポープをなぜそんなに大切にしたのか私が知らなかったとでも思ったか?貴様がその赤ん坊を抱えて入って来た時から知っていた......お前はそれで私の気分を害したのだ。カイン!剣を入れずに何をするか!」

「はっ。」

カインはすぐ剣を許の鞘に入れた。カーレルが地面に落ちていた短剣をたどりながら再び握りしめた。そして、すでに血がまぜこぜになったその刃物で自分の首を突き刺そうとした。


「防げ!」

フェローの命令にカインが短剣を握ったカーレルの手を素早く足で踏んだ。カーレルの苦痛はすでに限界に達していた。ほとんどくたくたになったカーレルが血を吐きながら低く尋ねた。

「スゥウーの奴......のせいですか......」

フェローはその言葉に何も答えないまま死んでいくカーレルを茫然自失に降りて見た。カーレルの充血した瞳がフェローを凄絶に上げて見た。突然突拍子もない笑顔を帯び始めたカーレルの口からほぼうめき声に近い最後の一言が流れた。

「私は大丈夫......」


堅く立てられていたカーレルの頭がゆっくりと後ろに折れた。もがいていた足もたまに見える少しの痙攣を除いてはもはや動かなかった。その長い眉毛は充血がこごろえた鋭い目を覆った。しかし、片手の短剣だけはそのまま握りしめたままだった。カーレルの最後の言葉を聞いたフェローは何かに一発叩かれた人のようにしばらくボーっとして立っていた。

カインが早くカーレルの首の横を探って見た。

「まだ......生きています。確実に殺しておきましょうか?」


「どうせ死ぬんだ。」

しばらく過ぎた後にわずかに答えたフェローは目の周りに流れる雨水を裾で拭き出しながら歯を食いしばった。

「死体は持って行きますか?」

「そのままにしておけ。家の人々の目に触れるのは良くない......特に近衛隊の連中を混乱させる必要が在るからな......」

倒れたカーレルをじっと見下ろしていたフェローは結局カーレルを一瞥すると、命令を下さないまま背を向けてガーディアンの護衛を受けながら暗闇の中にゆっくりと消えていった。カーレルから流れ出した血が地面に溜まった雨水をすべて赤く染めていた。まだ息が細いがついているカーレルのすさまじいうめき声が降りそそぐ雨の中で聞こえるようかないようかに響い広がり始めた。


何分経っただろうか、巻かれていたカーレルの目が細く開きながら遠く、とても遠くから感じられてくる見知らぬ人の気配に向かって少し動いた。





フェローのガーディアン修練場の雰囲気が急に落ち込んでいた。カーレルをはじめとする7人の指導ガーディアンたちがみんな家を空けたのは初めてのことだった。家の中に残っていた人々は、フェローと彼に帰ってきた6人の特級ガーディアンを心配な顔で見つめていた。


「カーレルは私の親戚を守って死んだ。」

フェローのガーディアンたちは心強い支えだったカーレルが死んだという知らせに一斉にざわめき始めた。ざわめき出す彼らガーディアンたちを後にして無表情に北の会所の中に入ったフェローは特等級ガーディアンの交代表がかかっている大廳縁側の柱の前にしばらくボーっと立ったまま微動もせずにいた。生きていたら、今夜フェローの寝所を守っているはずだったカーレルの名前がまだその上にそのまま残っていた。


「あの、カーレルの宿所はどうしましょうか?すべて片付けましょうか?特級ガーディアンの宿所が足りないのですが......」

あらかじめ待っていたローカが交代表の前にぼんやりしたように突っ立っていたフェローに小さな声で尋ねた。

「そのままにしておけ。誰も入らないように閉鎖してな。」

「はい?」

ローカの顔を一回恐ろしくにらんで見たフェローはただちに怒れた声でかっと言い出した。

「そのままにしておけといった!」

「あ......はい。わかりました。」

おびえたローカが後退りしながらすぐに退いた。部屋の中に消えたフェローは何故かその翌日までに他の人々の前に全く姿を現さなかった。

カーレルの運命はいかに???

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