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血脈 - The Iron Vein  作者: Tasawwuf(タサウフ)
第1部:基本に向かって
1/3

-序文-

翻訳のドスケリョスです。

以前から大好きなネット諸説だったので、今度血脈の翻訳を始めることになって嬉しいです。

日本の方々も私のように、ぜひこの諸説を楽しんで欲しいです。



原作:Tasawwuf(タサウフ)

翻訳:DosKeryos

原文:http://www.joara.com/view/book/bookPartList.html?book_code=19431

血脈 第1部:基本に向かって

-序文-


夕方に眺める黄色い荒地に車二台がふと立ち止まった。


日は、すでに地平線の向こうに沈みかけていたが、まだに残っている真昼の熱気は車の屋根から依然として気流を乱していた。底に転がっていた数十の骸骨のうちいくつかが車の下部から湧き出て強い圧力にばらばらに砕けてしまった。

しばらく何の気配も映らなかった車の中で太陽が地平線後ろに完全に越えて行くと、ようやく何か動きを見せ始めた。


車の中に座っていた青い絹の服装の貴族の男は、とても緊張されているかずっと水を飲みながら四方にぽっかりあいた地平線だけずっと見つめていた。彼は隣の車から降りている五人の自分の丈夫なガーディアンを眺めながら低いため息を一度ついた。

各々それぞれ異なる色の、手のひらの長さ程度の金属製のブレスレットをしたガーディアンは、主人の緊張した姿をわざと見ぬふりをしながら自分たち同士で肩を叩いてくれたりお互いの武器も用意しながらこれからのすぐに来たる'一戦'に備えていた。


「十分な勝算がある。私の情報が正しければな。」

彼ら五人のガーディアンたちの主人である貴族テオーは自分を励ましような言葉を続けて呟いた。再度もどって見た南地平線の向こうでは、この荒涼とした原野とは対照的に、いろいろな色の照明が玲瓏に輝く華やかな'都市'の夜景が少しずつその美しい姿を現わしていた。

彼も今自分が見落とすこの夜景が生涯最後の楽しみになるかもしれないという事実をよく知っていた。そして、きたる"一戦"が、かつてよりどのように多く自分のような野心家たちの家柄を丸ごと滅門の道に引き入れたのかもよく知っていた。


だがもしも、本当にもしも自分が勝った時得ることとなる物がどれほどものすごいかというのもよく知っている。今日の財産戦の相手はそれほど'大物'だった。


帝国全体が一時、制御不能の状態まで行った1次混乱期に、似たりよったりな豪族の家が離合集散する手段の一つとして登場した"財産決闘"が歳月が経て変更された形態のこの俗に言う"財産戦"のルールはあまり複雑ではなかった。

両方は計6人、その中主人を除いて使うことができるガーディアンは5人が限界であり帝国内にいくつといない特級ガーディアンを使用することは禁止されていた。5人のガーディアンは決められた順序で相手のガーディアンとの1対1の対決を繰り広げており、一度出てきたガーディアンの"交換"は禁止されていた。そしてガーディアンがすべて死ぬとその次のターゲットは主人であり、主人の死と同時に彼に所有されていたすべての財産は勝者の所有に帰るようにすることがルールのすべてだった。


起源400年を基点に’財産戦’は正式には姿を消していたがこのように日没後、都市の外で公然と行われる財産戦にについては近衛隊も事実上統制の手を置いていて、さらに財産戦に敗れた後、一銭でも抜き回そうとする遺族らの最後のあがきには勝者の財産の差し押さえ代理人の役割も果たしてくれていた。


だがテオーは今度の '相手'はそのような近衛隊の助けすら全く必要のない者だということをあまりにもよく知っていた。


「来たか!」

ガーディアンの怒鳴り声にテオーが呼吸を整えながらゆっくりと外に出た。薄暗くなっていく地平線の向こうから2台のシルバーグレーの車が近づいていた。自分が乗ってきた2台の黒い車よりもはるかに大きく派手なことは話をすることもなかったがそれよりもテオーを恐怖に飽きさせたのはその車の前髪についている、中央貴族最高名門ジャイセン家を象徴する赤い雄牛の紋章だった。


心を引き締めたテオーは自分の五人のガーディアンを整列させ、わざと堂々たる態度で2台の車を迎えた。三十歩程度前に止まった車から着こなしの使用人一人が飛び下ろし2台の車のドアを急いで開いては片隅に避けて頭を下げて付けた。後ろの車から青色のブレスレットをしたガーディアン1人が降り立った。


「なんだ、一人だって?」

テオーが眉を少しひそめた。それと同時にガーディアンが乗ってきた車の前のシルバーグレーの超高級ヘラクレス乗用車の上席で一人がゆっくりと姿を現わした。短く刈った黒髪に黒い瞳、浅黒い肌と秀麗な容貌を備えた貴族の男がテオーを振り返って理解できない奇妙な表情を一度出した。

ふくらはぎまで降りてくる白く華やかな絹の胞衣に赤い雄牛が縫れたマフラーと白い光の多少騒々なケープはもちろん遠くからもパッと目につくダイヤモンドのイヤリングとネックレス、ブレスレットはこの相手の'格'をあまりにもよく表わし見せていった。


もちろん、彼が自分自身を紹介していなくてもテオーは彼が誰だということを---帝国内のほぼすべての人々と同じように---あまりにもよく知っていた。皇帝の死後帝国の最高権力者として浮上したフェロー=シュートラン=ジャイセン総理は自分を見ても頭を一度も下げない、この不届きな貴族の態度がまったく気に入らないのか露骨に不快な表情を浮かべていた。

そんな彼と壮絶な戦いを行おうと意地を張っていたテオーは、総理と同じ車に乗って来た黒い服装の一人が総理のすぐ隣の上席で静かに下りていることに気付く余裕はなかった。


テオーは相手のガーディアンを指して自分の隣に立ったガーディアンに低い声で尋ねた。

「あいつの等級見えるか?」

「50等級です。」

「なに?見誤ったんじゃないのか?」

「さようでございます。間違いありません。」

しばらくあきれた表情をしたテオーの顔にすぐ自信が充満してきたが、といっても絶対油断出きる状況ではなかった。

近衛隊私設の皇室ガーディアン部隊に匹敵する強大なガーディアン部隊を所有していることで知られるフェロー=ジャイセン総理が命をかけた財産戦に最下等級である50等級たった一人を連れて出た事実は、たやすく信じることができなかった。


「クソが、一体何をしようってんだ?」

フェロー=ジャイセン総理は何か策でもあるのか依然として平然とした表情で前に立ったガーディアンの顔をしばらく見つめた。赤い戦袍の姿にまだ子供っぽい顔をしたその50等級のガーディアンは少し緊張した表情で腕を軽く緩めていった。

総理の隣の席に乗ってきた黒いマントの姿の正体不明の人は頭を深く下げたまま車の後ろに黙って立っていた。

ガーディアンがあえて主人と上席に並んで乗ることがないという事実をよく知っているテオーは、その者の正体に関しては関心すらなかった。


しばらく呼吸を整えたテオーが中間にいた巨体のガーディアンを呼び出した。

「ネダム。君が1番だ。」

「はい!」

「あの、家のネダムがどんな奴なのかご存知ですか?あの乳飲み小僧をデビュー戦からあの世に送るおつもりなのですか??」

いくら命をかけた一戦だとしても何と100歳も年を取った自分の20等級上のガーディアンの相手にいまやっとデビューする最下等級のガーディアンが出てくるとあまりにもあきれたテオーはついに問うた。


「いずれ死ぬときは死ぬさ。」

総理がさりげない表情で言い返した。

「そんなに自信があれば殺してみるがいい。」

大胆に打つと帝国から続く者がいないと知られているフェロー=ジャイセン首相だったがこんなことはただの成金貴族に過ぎない。テオーの目には'狂気の沙汰'以上でも以下でもなかった。


その瞬間、白い服のネダムが大声をあげながらポープに飛びかかった。それと同時に車の後ろに静かに立っていた黒いマントが両手をしっかり集めて握った。


途方もない轟音と共にネダムの両手剣が大きい軌跡を描きながら地面を降り立った。だが並の50等級ならひかがみがしびれてつっ倒れそうなその凄まじい攻撃を軽く体を返し回避してしまったポープは数歩後ろに下がりながら隣に見えるその黒いマントの姿の人をしばらくちらっと見つめた。

「くそっ!」

ネダムは相手の注意が乱れた間を捕捉して再度剣を振り回したがポープは自分に向かって飛んでくる攻撃を目で確認もしないまま、'感’だけであまりにも簡単に回避してしまった。明らかに50等級のそれではない身のこなしに気ずいたテオーの表情が少しずつ蒼白になり始めた。やはり総理には’確信’があったようだった。


剣を一度も使わずに素早い身のこなしだけでネダムの多少鈍い攻撃をからかうように駆けずりながら回避していったそのガーディアンはある瞬間ネダムの隣に入っていった。瞬間慌てたネダムの脇腹にポープの素早いシミターの刃がすれ違った。

「があッ!」

ネダムは血が湧き上がるわき腹を握って後ろに何足を退いた。チャンスをつかんだポープがそのまま体をさっと回して敵の側頭を正確に殴りつけた。

「ひいっ。」

テオーが仰天して一歩退いた。頭が二分割されたネダムは全身をぶるぶる震わせて土ぼこりと共に倒れてしまった。

フェローが軽く拍手をしながら呟いた。

「おめでとう、ポープ。デビューから昇級だな。」

「ありがとうございます!」

顔に血をかぶったポープが喜んで主人フェロー=ジャイセン総理の前にひざま座った。


蒼白に歪んだ表情のテオーが、他の武士を指して叫んだ。

「フェル!出ろ!」

テオーの次のガーディアンが飛び出てくるとポープが再び走り出して対敵した。だがテオーのガーディアンはあまりにも虚しく、ほどなくポープの迅速な剣にそのまま首が逃げてしまった。

怯えすがるテオーはガーディアンを続けて繰り出すが、この50等級の少年は自分よりずいぶん上等級のガーディアンを特有の素早い身のこなしで順番に地に伏せた。フェロー=ジャイセン総理は自分の新しいガーディアンのデビュー戦が非常に満足したのか裏で拍手をする余裕まで見せていった。


テオーに残ったガーディアンはもう一人だけだった。


ほぼ巨人レベルの威厳のある図体のそのガーディアンは非常にのろのろに剣を取り出した。今まで4人を次々殺し自信を得たポープは剣を高く上げて彼に大きな声をあげて取り組んだ。

あの巨人ガーディアンがぶん殴る鈍く大きな剣を回避し弱点である脇腹を掘り下げようとしたポープは体をさっと回して巨人の脇腹に向かって剣を張り上げた。だが相手は既にネダムがやられた事があった同じ手法に再び巻き込まれてはいなかった。やつは大きな図体に似合わず速い身のこなしで体を横にいなした。


「ひいっ。」

瞬間的に慌てたポープは頭に向かって飛んでくる巨人の大きな剣を回避し急に体を下げた。瞬間何か鋭い金属性の音が一度鳴った。平然といたフェロー=ジャイセン総理の顔にも瞬間少しの緊張感が浮上した。


すごすごとその場にしゃがんだポープの口から血がチュルルと流れた。首が半分斬られた彼は自分を斬った敵のにこりとする顔を見上げながら少しずつ横に崩れてしまっていった。


「畜生…」

善戦していたガーディアンが倒れると総理が口元をひくついてた。総理の歪んだ表情を確認したテオーが突然大声で笑い出した。

その財産がまさに皇室に匹敵するとゆうジャイセン家が自分の前に膝を屈したと思ったテオーは喜びを隠さず一人で佇んでいるフェロー=ジャイセン総理を指で真っ直ぐに指した。

「本当にがっかりですね、最高のガーディアンを引き連れるという天下のフェロー卿の水準は、せいぜいその程度だったんですか??アン?プハハ、こやつが誰か教えて上げましょうか?百万も与えて闇市場で買い付けた1等級ですよ!さあ!今からどうしますか?あは、刀をお持ちですね?直接戦うおつもりですか?」


車の後ろから最初から見守っているだけだあった黒いマントがゆっくりと先に乗り出したのはその時だった。 ’あえて’主人であるフェローと並んで座っていた者もガーディアンだったという事実を気ずいたテオーは瞬間足が地面にくっついてしまうことを感じていた。何か間違えたことが確実だった。プライドが強いと有名なフェローが一介のガーディアンと車の上席に並んで乗ってきたのだった。

そして彼の頭の中に浮かんだのは今までどうしても考えたくもなかったまさにその最悪のシナリオだった。

「もしかして......」


テオーに軽蔑の微笑を浮かべて見せたフェローが無表情にそのガーディアンの背中に体を消した。主人の恐怖感を挽回でもするかのよう巨体のガーディアンが剣を服の中に隠したまま彼に素早く接近してきたがその黒い服姿のガーディアンはその場でびくともしなかった。相手がすぐ目の前まで来ると彼はやっと横に一歩を移した。

「ああっ!」

切り裂く悲鳴とともにその巨体ガーディアンの片腕が切られて飛んで行った。切り取られた大きな手のひらの中にはポープの目を欺いて首を奇襲した小さな短剣が隠されていった。


「その程度の小細工で誰を......」

黒いマントが聞こえるようかしないようかに呟いた。腕が切られたガーディアンが気を使いながら再び走っ来たがその正体不明の相手は依然としてその場から一歩以上は動かないまま何かが一度光るような、短い攻撃をしただけだった。それと同時にテオーの最後のガーディアンの残っていた片方の腕もそのまま底にトンと落ちてしまった。その’黒いガーディアン’はマントの裾の間から輝く剣の先端が少し見せただけほぼ動きが目に見えなかった。


「ポープの復讐だ。」

黒いマントが軽蔑が混じった言葉と共に剣を握った手をもう抵抗不能になった相手に向かってゆっくりと上げると大きな剣と鞘がようやく姿を現した。黄金と宝石で鞘が飾られた、刃が少し後ろに曲がった緑色の輝きの巨大な刀であった。そして帝国内にあんな刀を使うガーディアンはただ一人しかいなかった。

瞬間テオーの顔が真っ青になってしまった。

「あれは......」


その大きな大刀が空中に光っている巨大な半円を描きながら相手の体を上下に、尺で測ったように真っ二つにしてしまった。

真っ二つになった巨大な肉片になってしまった相手をしばらく無表情に降り見ていたその’黒いガーディアン’は全身に赤い血をかぶったままテオーをふと振り返って見た。


「何いいっ!」

思索になって自分の車に跳び上がるテオーの姿にフェローは彼を指しながら叫ぶような声で大声を出した。

「捕らえろ!」

急いで逃げようとしたテオーの車がどっしりとした抵抗に突然ガタガタと揺れながら、擾乱な鉄のような音に鳥肌を立て始めた。人であるとは信じられないほどの驚異的な速さで走って、ちょうど出発しようとする車の後フレームを片手で握ったそのガーディアンは拳で車のガラスを粉砕しては運転席のテオーを引き出し地面に容赦なく叩きつけてしまった。

「うわあっ!」


地面に顔を突っ込んだテオーはもがきながら頭をもたげては生かしてくれと言いながら続けて泣き叫んだ。やっとテオーの前にゆっくりと近づいたフェロー=ジャイセン総理は汚された彼の顔に唾を一度ぺっと吐いた。

「実力がこの程度だと?今貴様の後ろに立っているのが誰かは分かるだろうな?」

「まさか...カーレル...」

「ククっ、分かってはいるようだ......」

総理はガーディアン’カーレル’に目配せを送る姿に瞬間すべての判断力を、さらに恐怖も忘れてしまったテオーは顔を包んで握った。怯えすがるテオーはいまだ自分の目を隠す余裕もなく、切断されて落ちた彼の首はすでに地面に転がっていた。


「ちっ。」

フェローが再び唾を吐きながら着付けを整えた。底には6区の凄惨な死体が転がっていた。フェローは気分があまり良くはないのか口元を少しひくついながら底に転がるテオーの頭を一度思いっきり蹴り上げた。

「この程度の分際で私の借金を返済せず......」

「......だがご主人様......」

着ていた黒いマントに全部血をかぶったまま黙々と主人の横に立っていたカーレルが口を開いた。深い響きがある、人の声というより、動物の鳴き声のような奇怪なほど濁った声だった。


フェローがぶっきらぼうに言い返した。

「何だ?」

「ポープの命がまだ......」

「それで?」

フェローの目つきが尋常ではなかったがカーレルは再び勇気を出して言った。

「早く治療をすれば命は助かるかもしれないんですが......」

「いらん。」

「しかし......」

「なんだ?」


フェローが怒った目でカーレルをサッと振り返って見た。カーレルが頭を下げて体を縮めた。

「今回は完全に失望した。最悪だ。」

「......」

「天下のフェローガーディアンがあんな田舎野郎のガーディアンたち一つ一人で全部処理できず......くそったれ、ガーディアンは多い。その罰だ。」


フェローは地面に落ちていた血のついた剣を手にとりその時まで生きてピクピクしていたポープの胸にそのまま降りさした。突然弾け飛んだ血にカーレルがピクッとした。

「そして、君がするゲームはあまりにも早く終わるから面白くもない。」

カーレルはその場に呆然と固まってしまった。フェローは後ろも振り向かないまま車に帰っていった。いつのまにか暗くなった荒涼とした原野に涼しい砂風が少しずつ吹いた。


地面に倒れて細い呼吸を吐きながらポープは最後の力を絞り出してカーレルに手を伸ばした。

「姉上......」

ポープの震える手が力なく地面に落ちる光景を茫然自失した表情で見守っていたカーレルはそのまま彼の死体の前にどっかりと跪ずいた。

「すまない......」

彼はすでに血まみれになった自分の手で充血したまま見開いていたポープの目を慎重に閉じてあげた。突然吹いてきた風に彼の顔を覆った血まみれたフードが後ろに剥がれてしまった。茶色の艶が流れる長い髪が風に吹かれていた。彼の深い灰色の瞳にいつの間にか涙がいっぱい溜まっていた。


「ポープ......」

茶色の長いまつげに乗って涙の滴がポープの死体の上に落ちた。


理由はとにかく主人が自ら殺したガーディアンのために嘆くということは、主人に対する並大抵な不敬ではなかった。しかしその事実を誰よりもよく知っている主人フェローは、カーレルのこのような生意気な姿をさっきから車に座って無表情に眺めていた。

ガーディアンの車に残っていた二人の奴隷が駆けつけ死んだポープの死体を車に乗せた。


そして大きなため息を吐いて涙を努めて拭いたカーレルは再びマントを押してかぶりながら主人フェローの車に向かった。


「いくら美人であってもな、あの女はあまりにも気味が悪い。」

友達の冗談にフェローが無表情に言い返した。巨大な浴場の中にはフェローと十名ていどの友達、裸の女性の奴隷たち数十人が遊蕩に遊んでいた。

「でも......」

フェローは自分の言葉に何かの蛇足を付けようとしている友人をくすんだ視線でただちに睨んで見た。浴場の中の他の友達と大いに比較されそうな逞しくてよく整えられた完璧な体つきと目立つほどに素晴らしい容貌を備えたフェローはこの中の多くの人々の中でも誰よりも目が先に行く人だった。


一番上の高級な石ベッドの上に一糸纏わないまま斜めに横になったフェローは美女二人がしてくれるマッサージを受けながらしばらく前から何か深い考えに取り込んでいった。フェローのそんな深刻さを知っているか知らないか友人や客たちは自分たち同士で喜々しながら冗談に夢中になっていた。


「率直に言ってこの女たちより顔はかなり良くね。」

友人の一人が自分の腕を揉んでくれていた女の胸をガブリとつかみながら呟いた。

「じゃあ何、肌は鉄甲みたいだろうによ!ははは!」

「むいてもみなくてどうやって分かるのよ?そう言えば、声もちょっと変よね、何かの猛獣の鳴き声みたいじゃない?もしかしたら本当に獣何じゃないの?もしかしたら見えない所に毛がモジャモジャ生えいるとか鱗でも生えているんじゃないの?「

「そうか?私たち賭けでも一度やってみない?その女の裸の体を確認する奴には私の全財産の半分をあげるよ。」

「お前の財産を全部あげてもいやだよ。」


それまでも友達の低質な冗談を聞いていたフェローは石ベッドの上に体をずっと伸ばしながら自分の横を守っていたガーディアンであるカインに尋ねた。

「カーレルは今何をしているのか?」

「宿舎で休んでおられます。」

「入ったときに何も言わなかったのか?」

「ちょっと気落ちしていたようでした。夕食もとらないし、......」

「奴め......」

フェローが顔をしかめて酒を手にした。

「こっちに来いと伝えろ。」


白くもうろうとした浴場の中に入ったカーレルの存在は目につく黒いマントと常に彼の周りに漂うひんやりした殺気、そしておびただしい背伸びもここのすべての人を圧倒するには十分だった。

先ほどまでも熱心に冗談を言ってたフェローの友達は、その出現におびえたように急に静かになっていた。


「よく来た。」

フェローが依然として傾いて横にならんだまま酒を一口飲みながら呟いた。

「貴様の気分転換でもさせようと呼んだのだ。」

「......」

美女一人が突然飛びかかって彼女の肩にかけていたその真っ黒いマントを外させると、カーレルは戸惑う表情を見せた。

身につく黒い革のスーツを着た彼女の括れた腰には肩から降りかけた派手に装飾された巨大な太刀の他に中間サイズの小刀とさらに小さな短剣までなんと3本の剣が満たされていた。赤い輝きが少しまとめた茶色の髪は彼の広い肩をかすめて流れた。


カーレルの現われた体を初めて目の当たりにしたフェローの友達が一瞬歓声を上げた。

「うわー、本当に裸見せてくれるの?「

「黙れ。」

フェローがその友人をサッと振り返った。

「私はカーレルを楽しませてあげたいだけだよ。お前らの目じゃなくて。」

カーレルが頭を下げた。美女がずっと彼女の肩と腕をたどったが、カーレルは氷のように固い表情で黙って跪いていただけだった。


「あの女を入れさせろ。」

フェローの手振りと共にドアの後ろから一人の女が出てカーレルの横に跪いながらと彼女の腰を急に優しく抱きしめてきた。

その女のことをふと見たカーレルの顔から瞬く間に血の気が消えてしまった。

濃い黒髪に白くなめらかな肌、大きく青く輝く特に清く善良な瞳をした、まだ幼いように見えるその美女は浴場に集まった女達の中でも目にぱっと入るように目立っていた。


低くため息を吐いたカーレルは自分を待ちわびに見つめるその女の視線を徹底的に無視しながら地面だけを見つめた。


「うわ、あんな女がいたの?うわー、あんな女をただのガーディアンに与えて上げるの?私にくれよ、お金はいくらでも払う。」

「黙れと言ったぞ。」

ずっと冗談を言っている友人をもう一度睨んで見たフェローは頭を深く下げたまま少し沈痛な表情でいるカーレルとそんなカーレルを刺激的に撫でているその美女を交互に見つめて理解できない妙な微笑を帯びて見えわ手に持っていたグラスをぐるぐる回し始めた。


「私が持っているのは美女たちだけだから君に与えてあげるのも美女ばかりだな。私としてもハンサムな美少年入れてあげたいんだが君の体はそんな状態だからな......わざわざ女色を望む女達もいるので今日はあれらと一度似合って遊んで気持ちでもちょっと解いてみるといい。仮にも私の首席ガーディアンなのにあの程度の相手は連れて遊ばなければ格に相応しくないだろう?そして......今日が貴様の161歳の誕生日だったろう?

「しかし......私は......」

「今口答えをするつもりなのか?」


フェローの語調が高くなるとカーレルが前にあるフェローに聞こえるようや聞こえないように低めてため息をついた。

フェローがカーレルから視線を回しながら更に断固たる口調で言った。

「いいか?その女達と付き合って遊べという私の命令だ。南方の会所の接客室を空いておいたからな。いいか?私の命令だ。」

「......わかりました。」

元気なく答えたカーレルはその二人の女性と一緒に浴場を出た。見送ったフェローは部下の一人を呼んで耳に何かをささやき始めた。


皇居とは少し離れた3番都市の近郊に東部様式で建てられたジャイセン家の宗家はその主人の名前をとっていわゆる’フェロー館’としてよく知られていて、その家門の威光とともに帝国内でも貴族の邸宅として最高であることを誰も疑う者はいなかった。

普通の貴族家紋なら治安の悪い都市の外郭を避けるのが 通例であろうがこの度胸の良い家門はかつて盗賊の巣窟でもあったここに堂々と宗家を建てておいて今まで絶えず拡大までしてきたのであった。


しかしあまり名誉ではなかった始祖から5代を経て降りてくる中に彼らはあえて盗賊なんかは接近する思いもよらないような力とあわせて血筋に乗って降りてくる家門特有の好戦的な気質を育ててきたし、今は帝国全体を揺るがすほどの影響力を持った恐ろしい存在に成長していた。


5台宗長フェロー=ジャイセンが家門を継承した後も二倍以上その規模を拡大した’フェロー館’は東西南北の各方向に一つずつある母屋と会所が4つの軸をなしてあったしそれに付属して五百人余りに達する親衛ガーディアンを収容する東、西方向の行廊と兵舎、500人余りの奴隷を収容する南側行廊、そして使用人たちとフェローの側近要員たちが滞在する北側行廊がその隅を満たしていた。


もちろんこの家でも最高の核心部は主人であるフェロー=ジャイセンの寝所であり執務室でもあった北側の会所でありいつも五十人を超える最高水準のガーディアンたちが交代で鉄壁のように守っていた。

邸宅というよりは巨大な兵営に近いが’フェロー館’の広い敷地は片方の端から反対側まで歩くだけでも10分以上かかるという事実は一般市民の間でも広く知られたのであった。


しかしこの家門の力は実際その騒々しい宗家ではなく、その少し南方に離れて位置した "ジャイセン家門修練場’から出ていると言っても過言ではなかった。

砂漠境界の暑く乾燥した場所に位置するここは帝国最初の社説ガーディアン養成所であり皇室修練場に続いて帝国内で2番目の規模を誇っていた。さらにすでに7人に達する特等級ガーディアンを輩出した事のある、その水準でも優に最高であることは疑う余地もなかった。


またこの家門が帝国全体、さらには皇室までも恐怖に陥れたもう一つの理由はここの主人であるフェロー=ジャイセン所有の総万人のガーディアン部隊を総指揮する’評価のないガーディアン’カーレルの存在だった。

第1部:根本に向かって

Part1。デモルポセカ、陰地に咲く


ご期待してぐださい!

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