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番外編:みずほの休日
みずほは、店が定休日の月曜日、ひとりで喫茶店を訪れていた。
読書用の小さなノートを開くと、ふとペンが進む。
「最近、手紙を“自分のため”に書く人が増えた気がする。」
それは店員としての観察だけでなく、自分自身の実感でもあった。
あの店には、誰にも言えない本音が集まる。
だけど今は、みんな少しずつ“誰か”と共有することを選んでいる。
カップの中の紅茶が少し冷めて、窓の外には小雨。
みずほはページを閉じ、笑って呟く。
「そろそろ、私も“恋文”のつづきを書いていいかな。」




