ストーンリザードvsリタvsレオンvsツヴァイ③
すぐにハッと我にかえり、ツヴァイの元へと飛んでいく。
ツヴァイの左手からは紫の電気が弾け、マントとともに消えてなくなる。5秒間の絶対防御が解けた証だ。
やって来たリタがツヴァイの体を抱え、危険域から離れようとする。
「ちょっと! 触ってんじゃないわよ!」
「ど、どうしてみんな暴れるんですか!? 大人しくしててください!」
それぞれが──
それぞれが別のことを思考する──
空を飛びながら、リタは思う。
……冷静になればよくわかる。
この少女の剣撃はボクやレオンよりも威力が高いわけじゃない。重要なのは、あの一瞬でストーンリザードの攻撃の特性を見極め、冷静に対処したその『戦法』と『実行力』だ。
能力こそどのようなものかわからないが、決してギフトよりも優れているということはない。しかし明らかにボクたちとは闘い方の『質』が違う。
一体どれだけの修羅場をくぐり抜けてこればこんな闘い方が──
一方、レオンは舌打ちして足を止める。
あの2人が魔物から離れた今、迂闊に接近すれば俺が攻撃対象になる。
何故、あのヘンテコは生きている。
何故だ、何故、俺でも通用しない魔物相手にまともにやり合っている。
ヘンテコは泣きながら脅えることしかできない世界の塵だ。今までも何人も殺してきた。
──コロセ。
頭に声が聞こえてくる。
ああ、また『これ』だ……ギフトを賜ってから、ずっと頭に声が響いている気がする。
弱者を殺せ。俺が王だ。王でなければならない。
王座から引き摺り下ろされるくらいなら──
「ッ!?」
気づくと、左手の爪を自分の首に食い込ませていた。
「ガッ……! ゲホッ!」
慌てて手を離し、咳き込む。
「ッ……もう殺す。全員殺す……トカゲも、リタも、あの金髪女も……!」
俺は『百獣の王』だ──
レオンはストーンリザードの元へと駆ける。
アインスは、フィアとともに既にツヴァイたちの近くまでたどり着いていた。
しかしそこから先へ進むことができない。
……デッドゾーン。ストーンリザードの主は全方向に攻撃を仕掛けることができる。
安全域なんて存在しない、ここから先は優れた戦闘スキルを持つ者しか近づけない。
この討伐隊の中では、それが可能なのはリタ、レオン、ツヴァイの3人だけだ。
アインスはなす術のない現状に苛立ち、前髪をかき上げる。
「クソっ……だから撤退一択だったんだ」
「ア、アインス……」
アインスは、勝利の理論を1つだけ完成させていた。しかしこの方法は絶対に取れない。
他に……他に手はないか。
ツヴァイは、ストーンリザードから距離を取ったところで地面に下ろされる。
リタはツヴァイに言う。
「貴方の強さはよくわかりました。それでもギフトがない貴方がアレに近づくのは危険です。霊的付与で強化されているボクたちと違って、貴方はたった一撃が致命傷になる。ここはボクたちに任せてください」
「あんたたちボロ負けしてたでしょうが!」
「ぐぬぬ……か、勝つ方法はちゃんとあります! ここで見ていてください!」
リタはそう言い、その場にツヴァイを残して再びストーンリザードの元へと飛び立つ。
ツヴァイは思考する。
全力で目を攻撃してもダメージは与えられなかった。
あたしじゃストーンリザードに勝てない?
いや、何か手はあるはずよ。考えなさい、目がダメなら他の弱点は……炎。
そんなものを発生させる力は、あたしにはない。
あの装甲は決して壊せない。それなら──
「あった……」
1つだけ、たった1つだけ装甲を破壊せずとも攻撃を与えられる方法。
そして……あたしのヘンテコはそれに適している。
「勝利の理論……」
組み立てられる。
だけど、これを実行すれば──




