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ストーンリザードvsリタvsレオンvsツヴァイ①

 アインスは自分の前を走るツヴァイに向けて叫ぶ。


「ツヴァイ、止まれ!」


 ツヴァイは走りながら後ろを振り返り、目を丸くして驚く。


「っ……アインス!? どうして!?」

「どうして、じゃない! 君が勝手するからだろ!」

「来ないで! あんたたちは生きて帰ってっ!」

「君にそれを言う資格はない! はぁ……はぁ……と、止まれ……うぷっ」

「あんた体力なさすぎない!?」

「う……うるさい……」

「シリアスな雰囲気が台無しよ!」


 徐々に減速してしまうアインスの隣にフィアがたどり着く。

 その光景を見て、ツヴァイは唇を噛む。


「あんたまで……」


 フィアはアインスに言う。


「アインス、僕のヘンテコを使って作戦を立てて」

「ああ、わかってる。リタとレオンでも倒せないとなると、君のヘンテコは必要不可欠だ。けれど──」


 アインスは思考する。


 たとえフィアの電光石火であっても、あの装甲を破壊できるとは限らない。いや、あれほど頑強なのだ。壊せない可能性の方が高い。

 単発型の能力は5秒経過後、世界法則により10秒間は能力を使用できない。つまり10秒間は『絶対防御』を使えない。迂闊に使用すれば命取りになる。

 いや、それよりも何よりも──


「角度が足りない」

「角度?」

「君の能力はスマホを視認しなければ発動できない。敵の体でスマホが隠れてしまう『真正面』からは電光石火を当てることはできないんだ」


 先のエーデルブラウとの闘いでもそうだった。

 あれはブラウの体の横からギリギリ視認できる角度でスマホを落としていた。あの時も、攻撃を真正面から当ててはいなかったのだ。

 相手が人間であれば『掠らせる』だけでも一撃必殺となる強力な能力。しかし魔物はそうじゃない。

 あの巨体相手に電光石火を繰り出すには十分な角度が必要……そしてそれだけ角度を取ってしまえば電光石火をまともに直撃させることはできない。

 リタの剣でも通用しない装甲を破壊できるとはとても思えないのだ。


「クソ……なにか、なにか方法はあるはずだ」


 思考するアインスよりも前方で、ツヴァイは走りながら身をかがめ地面の小石を拾う。

 そしてその手から紫色の電気──5秒経過後、小石は『なんでも収納』により消えてなくなる。


 一方、レオンは地を駆けながらストーンリザードを翻弄する。

 速さでは圧倒している。すぐに背後を取り、そこからストーンリザードの背へと跳び乗る。


「その短い手足じゃここは届かねぇだろ!」


 背の上から頭部に向けて走る。変わらず、弱点である目を狙い続けるしかない。

 どれだけ頑強であっても攻撃を与え続ければいつかは倒せるはずだ。

 レオンの視界の上方に、空中を舞うリタの姿が映る。同じく目を狙い、剣を構えて下降していく。


「チッ! 邪魔だ、ハイエナ野郎!」

「こっちの台詞です!」


 2人が同時に攻撃を仕掛ける。

 しかしその瞬間、ストーンリザードは頭部を上下左右に大きく揺らし、2人を振り払う。

 空中にいるリタは迫り来る頭部をかろうじてかわすが、その風圧でバランスを崩す。そのリタの元に、ストーンリザードの体から払い飛ばされたレオンが勢いよくぶつかる。


「ぐうッ!!」

「っ……いったぁぁあ!!」

「クソが! こんなところ飛んでんじゃねぇ!」

「あ、貴方こそ大人しくしててください!」


 2人一緒に地面に転がり落ちる。

 すぐに体勢を立て直そうとするが──


「あっ」


 リタは思わず声を漏らす。

 ストーンリザードがこちらをギョロリと睨みつけていた。


「こ、これ本当にマズい──」


 体を揺らし、こちらへと突進してくるストーンリザード。

 リタとレオンは左右にそれぞれ分かれ、かわそうとする。間に合うか間に合わないかギリギリのタイミングだ。

 そして次の瞬間、2人の視界に紫色の電気が弾ける。


 激しい衝突音とともに、ストーンリザードの動きが止まる。

 いや、何かにぶつかったように反動を受け、上体を仰け反らせていた。その衝撃で空気がビリビリと震えるのをリタとレオンは感じ取る。


 ストーンリザードが頭部をぶつけた先では、マントを羽織った少女が左手を前方に出し、地面に着地するところだ。

 そのままつま先で地面を蹴り、後ろ向きに宙返りしてリタとレオンの前に降り立つ。マントのフードが脱げて、揺れ動く金髪が輝きを放ち、その美しさに2人は目を奪われる。

 ツヴァイは振り返り、叫ぶ。


「何してんのよ!? 早く逃げなさい!」


 そして右手に持った大剣を構える。


「ここはあたしに任せて」


 ツヴァイとストーンリザードの間には、空中でピタリと静止する小石がある。

 紫色の電気を放つそれは、やがて力を失ったように地面へと落ちる。

 ヘンテコ『なんでも収納』……出現させる物体は5秒間はその空間に貼り付けられた状態になる。どれだけ力を入れても、それは決して動かせない。つまり壊れることもないということだ。

 ストーンリザードはあの『絶対に動かない石』にぶつかったのだ。

 敵がギフト保持者や知能の高い魔物であれば避けられて終わりだが、単純な攻撃を仕掛けてくる魔物であれば、それは絶対に突破できない障害物と化す。


 リタとレオンは驚いて目を見開く。

 紫の電気……ヘンテコだ。


「ど、どうしてヘンテコ保持者が……」

「クソゴミが……討伐隊に紛れ込んで素材を奪おうとしてやがったのか」


 いや、それよりも──レオンのこめかみに青筋が浮かぶ。

 逃げろ? 任せろ?

 テメェみたいなカスの奴隷が……この俺に命令したというのか?

 ……こいつは放っておいても確実に主に殺される。

 ストーンリザードは最も接近してきた人間の方を向き、攻撃を仕掛ける特性がある。

 ならばこの女を囮にして俺がラストアタックを──

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