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「なっ……なんだ……と……」


 バカな。あり得ない。


 痛みと混乱の中、ブラウは矢の放たれた方向に視線を向ける。

 変わらず、ドライが同じ体勢でそこに立っていた。

 ただ、その手に持っていたはずの矢が放たれている。


 この停止した世界で『動いた』というのか?

 能力は絶対だ。一体どうして──


 そこでようやく、ブラウは自分の精神が大きく乱れていることに気づく。


 まずい、能力が強制解除される。

 この状況がアインスの想定通りであるならば、解除と同時にやつは攻撃を仕掛けてくる。

 まだアインスの戦闘能力は未知数だ。もしも金髪のツヴァイとかいう女なみの剣技を身につけているなら──


 ブラウはそこまで考えて、反射的にバックステップでアインスとの間合いを取る。



 そして、止まっていた時間が動き出す。



 アインスはブラウとの距離を把握し、握っていた剣を下げる。

 ブラウは左腕の痛みに顔を歪めて、まだ動揺を隠しきれていない。


「ふふっ。『精神が乱れると能力は解除される』……これも新しい情報。ブラウ、楽しんでいるか? もう君の能力は攻略した。ここからが本番だよ」


 ブラウは思考する。


 考えろ、何かカラクリがあるはずだ。


 後方には、死にかけではあるが恐ろしい戦闘技術を備えたツヴァイ。

 左には、能力切れを起こしているが弓矢で遠隔攻撃のできるドライ。

 そして目の前には、能力を攻略したというアインス。


 もう迂闊にギフトは発動できない。

 しかし時を停止させなければ、こいつらの戦闘能力は俺に(まさ)るかもしれない。


 攻略、とは何か。

 能力は絶対だ。

 この法則は揺るがない。

 能力発動時点ですべての運動エネルギーは停止し、ドライが弓を放つことなど不可能。

 ただし、この能力が発動中に発生した運動エネルギーについては通常どおり動く。

 ならば、あの弓の運動エネルギーは『能力発動中』に発生したということだ。

 時の止まった世界で、運動エネルギーを発生させた。

 そんなことができるのは世界にただ1人……俺しかいない。

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