2-24 第二王子
まさかの!一話ぶりの登場、アーシェの元婚約者の第二王子ローランド殿下視点です。
「クソッ……なんでこう上手くいかない」
思わず壁に拳をぶつける。
この夜、トルメア王国ではきらびやかな夜会が開催されていた。楽団が奏でる柔らかな音色。蝶のように揺れる華やかなドレス。
本来であれば、多くの人が自分に傅き、権威あるトルメア王国の華々しい夜会となるはずだった。
ところがどうだ。貴族たちは探り合うように距離を保ち、ひきつるような笑顔を見せては当たり障りない会話をして自分の元を去っていく。令嬢すら寄ってこない。というか、ロザンデすら近くにいない。
イライラとしながら近況を振り返る。聖女教会は二分し、ロザンデ派と反ロザンデ派に別れていた。当然のように反ロザンデ派は元筆頭聖女アーシェを慕う者達だった。ロザンデはそれを糾弾しようとしたが全くうまくいっていない。そもそも稀有な光魔法の使い手を集めたのが聖女教会だ。二分した時点で聖女の数が足りなくなるのは目に見えていた。そのため、王宮の結界の取り回しにまで問題が出てしまっている。
ロザンデは筆頭聖女となり、聖女教会の頂点に立っている。しかし、やはりこの状況に相当なストレスが溜まっているようだった。反対派を左遷しようにも人手が足りないと反対され、実現しない。
そうして、八方塞がりになったロザンデは、金遣い荒く豪遊するようになった。
正規の夜会会場の一角にある、厚いカーテンで仕切られた場所。そこには、はだけたドレスをまとったロザンデが複数人の男女とだらしのない格好でソファーに座っていた。
「ロザンデ……お前、何をしている」
「何って?懇意にしている方々と交流しているだけですわ」
「懇意って……おい、また新しいドレスを買ったのか?この金はどこから持ってきているんだ?」
「私財だっていつも言っていますでしょう?ちゃんと自分でお薬を作って売ったお金ですわ……いちいちうるさいわね」
「なっ……」
自分を見下すようなロザンデの態度に狼狽える。少し前までは猫なで声で俺にすり寄ってきていたのに。なぜ、こんなに変わってしまったのか。
「ロザンデ……一体どうしてしまったんだ」
「どうしてしまったんだ、ですって?」
何か気に障ったのか、ロザンデは眉をひそめて俺を睨みつけた。ワイングラスを持った手に、力が入ったのがわかる。
「どうしてしまったか、教えてあげましょうか。あなたがまるで役に立たないからよ!私が聖女教会の取り回しに苦しんでいるのに、あなたは何も役に立たないじゃない!」
くわっと目を見開いたロザンデの表情は鬼の形相だった。醜いその表情に唖然として何も言い返せない。それに、俺には聖女教会のことなど良く分からないのに。何かして欲しいと思っていたなんて思わず、何も言えずにただわなわなと口を震わせる。
俺が狼狽えたのに気を良くしたのか、ロザンデはぐいっと赤ワインを飲み干すと、ぺろりと口を舐めてニコリと笑った。
「まぁ、いいですわ。仕方がないですし、なんとかしてあげます。あなたは一応王子だし、私には稀有な光魔法の秘術がありますものね」
「っ、ロザンデ!それは口外するなと言っただろう!」
「あら、もちろんですわ?私だけが使える事に意味があるのですから」
赤い紅を差した唇がにやりと弧を描く。頭の片隅で、ロザンデに『筆頭聖女となる為に必要なことだから』と言われたのを退けられず、禁術の書を見せたことは間違いだっのではと疑念が湧いた。それでも、己の間違いを直視する気にはなれず、思わず目をそらす。
「ここにいらっしゃいましたか」
カツカツと靴音を鳴らして、宰相ドラコスが近寄ってきた。ドラコスは今日も几帳面に髪を撫でつけ、上等な服を着て尊大な様子で俺に近寄ってきた。
「宰相、聞いてくれ。ロザンデが、」
「ローランド殿下、皆様が夜会会場でお待ちですよ」
ドラコスは俺の話を遮ってそう言った。今のところ俺に敬意を表しているが、その目線から、俺を好きに扱いたいという気持ちがにじみ出ている気がした。それに苛立ちながら言葉を返す。
「俺に命令するな、宰相の分際で!」
「…………」
ドラコスは不機嫌そうに目を細めた。それが余計に気に障り、苛つきを吐き出すようにまくしたてる。
「大体お前こそしっかり働いているのか!?未だに父上は目覚めず、お前が勧めた医者は今のところ全く役に立っていない。行方不明のレオナルド兄上もアーシェも見つからず、生死すら不明だ。一体どうなってる!?」
「……全力を尽くしてお探ししています。何度もそうお伝えしているでしょう」
「ここ半年ずっと変わらないではないか!」
バン、近くにあった袖机を叩いた。花瓶がぐらりと揺れ、パリンと床で砕け散る。
「――いいか、これは命令だ。一ヶ月以内に父上を目覚めさせ、レオナルド兄上とアーシェをここにつれてこい。さもなくばお前の宰相の地位を剥奪する」
「…………」
ドラコスはすっと目を細めた。まるで俺を下に見るようなその目に、余計に苛立ちが勝る。
「大体お前はなんだ、いつも気の良い言葉で俺に指図するばかりで、俺の言う事を何も聞かないじゃないか!俺はこの国の王子だぞ!?お前より立場は上なんだ!その立場が惜しければ、さっさと命令通りに動け!」
「…………」
「分かっているのか!?」
「………………困りましたね」
はぁ、とドラコスはため息を吐いた。そして、いらだちを隠さず、俺に冷たい視線を投げつけた。
「なっ……なんだよ」
「……あなたが阿呆すぎて、私の計画に遅れが出ているのです」
「は……?」
信じられない暴言が聞こえて、思わず固まる。阿呆?阿呆と言ったか?この、第二王子の俺に……?
「――っ!ふ、不敬だぞ貴様!」
「あぁ……確かに、そうですね?」
「確かに、だと!?ドラコス貴様、このまま不敬罪で牢にぶち込んでやる!」
「そうですか。やってみてください……できることならね」
ドラコスは呆れたようにそう言った。頭にきて、ドラコスを指さして叫ぶように兵士に命令する。
「ドラコスを捕らえろ!牢にぶち込んでおけ!俺が後で直々に説教してやる!」
そう言ってまくし立てて、成り行きを見守った。
周りには、多くの兵士がいたが。
兵士は、誰も動かなかった。
「――あなたの命令を聞く兵士はここにはいませんよ」
「は……?」
「やれやれ……状況把握もできていないとは」
ドラコスはため息を吐いた。その横で、ロザンデがしょうがないですね、と立ち上がる。
「ねぇ、ドラコス様。ローランド殿下にもこれを召し上がって頂くのが良いのではないですか?」
「……あなたはいいのですか?付き纏われますよ」
「大丈夫よ、この人、顔だけはいいから」
「ふふ、そうですか。ならいいでしょう。そろそろ潮時でしょうしね」
ドラコスは胡散臭い笑みを貼り付けてニコリと笑った。ロザンデの手には、薄い桃色の液体に金の粉が混じったような不思議な色の薬液が揺れていた。あれは何だ?その違和感のある提案に眉をひそめる。
「ロザンデ、それはなんだ?」
「元気になるお薬ですわ、殿下」
「……俺は飲まないぞ」
「まぁ、どうして?」
「そんな正体不明な薬をなぜ俺が飲むと思ったんだ!」
「なぜって?」
ロザンデがにこりと笑う。
「だって、あなたの利用価値は、わたくしの言いなりになることぐらいでしょう?」
それは、少し前までは本当に美しいと思った笑みだったが。今目の前にある同じ笑みには毒のような淀みが溜まり、恐ろしくさえあった。
「っ、ふざ、けるな!」
「ふざけてなどいませんわ?」
後ずさる俺に、ロザンデが微笑みながら距離を詰める。
「やめろ!おい、やめろと言ってるだろう!」
「もう、駄々を捏ねないで下さい。お薬ぐらい飲めないと、ね?」
「ふざけるな!」
「ふざけてないと言ってるじゃないですか」
「ちっ、近寄るな!何度も言わせるな!」
「…………本当に、面倒くさいわね」
ロザンデは、はぁ、とイラついたように息を吐き出した。
「――宰相、お願いするわ」
「…………仕方ないですねぇ」
キュポン、とガラスの蓋が開く。思わずぎゅっと口を閉じたが。次いで起こったのは、薬液を無理やり飲まされることではなかった。
ガラス瓶の口から、桃色に金が混じった霧がふわりと浮き上がる。
「なっ……!?」
「大丈夫ですよ、殿下」
ドラコスがいつもと違う歪んだ表情でニヤリと笑った。
「――ただ、あなたは息をしていたら良い」
「っ!?やめっ……」
目の前が桃と金の霧に染まる。
「――――そうだったわ、あなたは水魔法の使い手だったわね、宰相ドラコス」
必死で鼻と口を塞いでいた俺の耳に、懐かしい声が聞こえた。思わず振り返ると、そこにはずっと探していたあの女が立っていた。
「アーシェ!!!」
「ごきげんよう、ローランド殿下。もう息をして大丈夫ですよ」
気がつけば桃色の霧は無くなっていた。きっとアーシェが光魔法でなんとかしてくれたんだろう。俺にちら、と視線を向けたアーシェは、背後を振り返った。アーシェの後ろには、くせっ毛の男と冴えないメガネの男が二人立っていた。恐らく従者であろうメガネの男がコクリと頷いたのを見て、アーシェはロザンデと宰相の方へ向き直った。
「宰相ドラコス、そして聖女ロザンデ。王族に対する無許可の薬物使用とは穏やかではありませんね。これは言い逃れできないのではないですか?」
「は、何を言うか。王命に背き修道院送りから逃亡したのはお前だろう、アーシェ・フェルメンデ」
ドラコスは苛つきを隠しもせず顔を歪ませた。その横でロザンデが高圧的な笑みを浮かべる。
「何様のつもりなのかしら?アーシェ様……いいえ、聖女を追放されたただの女、アーシェ」
「……聖女の任を汚したあなたに言われたくないわ、ロザンデ」
「様、をつけてくださる?アーシェ」
ロザンデは妖艶な笑みを浮かべ、ローズブロンドの髪を揺らした。
「ドラコス様、どうなさいますか?邪魔が入ったと言われればその通りですが――手間が省けたのでは?」
ロザンデの赤い口紅が嬉しそうに弧を描いた。その横でドラコスもにやりと笑う。
「あぁ、そうだな。助かったよ。離島に二度も『使い』を出しても貴様を捕らえられなかったからな。わざわざ出向いてくれて感謝するよ」
ドラコスとロザンデは目配せをすると歪んだ笑みを浮かべた。その二人対し、アーシェは毅然とした態度で真っ直ぐに向き合った。
「捉えられるのはあなた方ですわ。無許可の薬物の使用は帝国との取り決めに反する行為です。帝国へ出頭し裁判を受けてください」
「はっ、何をほざいておるのだ。私は何もしていないよ?そこまで言うのなら証拠を出すんだな」
そう言い捨てるドラコスは、勝ち気な笑みを浮かべた。その表情に嫌悪感を覚えながらアーシェを見ると、アーシェはすっと床に転がった薬瓶を指差した。
「……今わたくしの目の前で禁術の魔法薬を霧化し、ローランド殿下に吸い込ませようとしたではないですか」
「なるほどな。既にお前も色々知っているということか。確かにそうかもしれない。――だが、罪というものは、君の一存で決まるものではないのだよ。誰を味方につけるか。それが大事なんだ」
ドラコスはそう言い終わるやいなや、夜会会場とこの場を仕切っていた分厚いカーテンを、引き千切る勢いで一気に開けた。
「兵よ!この女を捕らえろ!追放聖女アーシェ・フェルメンデだ!殿下が襲われた!」
ハッとした。第二王子である俺はアーシェの近くでへたり込んでいる。そんな俺にロザンデは焦ったようなわざとらしい表情で金に輝く光のシールドを張った。宰相は必死な形相で兵に指示を出している。
これは、どう見ても、アーシェが俺を襲ったとしか思えない雰囲気だ。
案の定、アーシェは一気に多くの兵に囲まれた。夜会会場にいた多くの貴族が驚きと恐怖で目を丸くしてこちらを見ている中、鋭い槍や剣先がアーシェに向けられた。
「……拘束させてもらうぞ、アーシェ・フェルメンデ」
薄く笑った宰相が兵士に指示を出す。兵士の一人がアーシェにその手を伸ばした。
「触れるな」
アーシェの背後にいたメガネの男が、その兵士を遮った。兵士がギロリと厳しい視線を男に注ぐ。
「安心しろ、お前たちも同じように牢にぶち込んでやる」
「…………」
メガネの男はそれでもたじろがなかった。その様子を見いたロザンデが、あら、と声を上げた。
「――その男、認識阻害の光魔法を使っているわね」
「認識阻害だと?」
「えぇ。何者かしら?追放聖女の従者さん?」
ジャキ、と男に剣先が突きつけられた。夜会会場の者達も固唾をのんで見守っている。
そんな中、男は少し間をおいてから、はは、と乾いた笑い声を出した。
「揃いも揃って馬鹿ばかりかと思ったが、これは見破られたね。さすが、現筆頭聖女を名乗るだけのことはある、ということかな」
男はそう言うと、冴えない分厚いメガネを外した。
「――――!??」
「っ、まさかっ、」
認識阻害が外れ、印象の薄かった男の顔や服装がはっきりとわかるようになった。その身に纏うのは、覇権国アストロワ帝国の皇族のみが纏うことを許された、帝国の紋章入りの上質なフロックコート。金の髪に翡翠の瞳、整った顔。堂々としたその立ち姿に、俺の記憶の中で思い当たる人物は一人しかいなかった。
「――――クロヴィス、殿下」
「ローランド、久しいな。一度しか顔を合わせていなかったが……覚えてくれていて良かったよ」
「っ!け、剣を納めよ!早く!」
兵士たちが慌ててクロヴィス殿下に向けていた剣を引っ込める。それを横目で見ながらクロヴィス殿下の様子を伺う。
なぜ、こんな所に帝国の皇太子が……?
「殿下!助けてください!」
突然ロザンデが目に涙をためてクロヴィス殿下に縋った。ギョッとしてロザンデの動きを追う。
ロザンデはあろうことかクロヴィス殿下のフロックコートに手をかけて、涙目でクロヴィス殿下を見上げた。
「っ、わ、私は、無理やり禁術の薬を作らされていたのです!ローランド殿下が、王位に着くために必要なことだと……王家が管理していた禁術の書を私に見せ、無理やり……!」
「はっ!?な、何を言っているロザンデ!?」
驚いてそう叫んだが、ロザンデはこちらに見向きもしなかった。ただ目に涙をため、たわわに実る胸をクロヴィス殿下の腕に押し付けている。
クロヴィス殿下は噂に違わぬ美貌で優しく微笑んだ。
「君がさっきの魔法薬を作ったの?」
「そうです……!その……僭越ながら、わたくしが今の筆頭聖女ですわ。だから、この力に目をつけられてしまったのだと思います……」
ロザンデは悲しそうに目を細めた。白魚のような手が、クロヴィス殿下の腕に触れる。
クロヴィス殿下は優しく頷いた。
「そうか。その薬を悪用されてしまったんだね?」
「はい……こんな風に使われるとは思っていなかったのですが、逆らえず……」
「それを作れるのは君だけ?」
クロヴィス殿下はロザンデの耳元で甘く囁いた。ロザンデは薔薇色に頬を染め、潤う唇で同じように囁いた。
「えぇ……わたくしだけですわ、殿下」
「すごいね。どんな薬を作れるの?教えてくれる?」
「もちろんですわ。……永久の眠りも、魅惑の薬も……そして私が生み出した狂乱の薬も、全て、殿下の思うままに」
ロザンでは艷やかな笑みを浮かべた。それに対し、恐ろしいほど美しい笑顔で、クロヴィス殿下も微笑んだ。
「なるほどね……その薬を作るためにローランドに近づいたの?」
クロヴィス殿下が嫉妬をしたような響きでロザンデに甘く囁く。ロザンデは、はっと息を呑んでゆるゆると首を振った。
「いいえ、わたくしはそんなつもりは……ローランド殿下とは、消して恋仲ではありませんわ。わたくしはただ、ローランド殿下の相談に乗っていただけで……」
「相談?」
「……ローランド殿下は、アーシェ様との関係が、うまくいかないと悩んでおられて。申し上げにくいのですが、アーシェ様には問題があったと聞いています。アーシェ様は傲慢で身を弁えず、女性らしからぬ振る舞いが多かったのです。だから、落ち込むローランド殿下のお話を聞いていただけで……だから、わたくしとローランド殿下は恋仲の関係ではございませんわ」
「…………」
「わたくしは、真に民を思い、強さと優しさのあるお方が好きです。――あなたのような」
クロヴィス殿下の笑みが消えた。それを、あと一押しだと捉えたのだろう。ロザンデは、艶っぽく微笑んだ。
「なんでもお話致します。クロヴィス殿下、良かったらこんな所ではなく別室に参りましょう?」
「……そうだね」
そう言うと、クロヴィス殿下は冷たく微笑み――己の腕に触れていたロザンデの腕を、憎しみを込めるように一気に捻り上げた。
「――っ!?なにをっ!?痛いですわ!」
「痛いだと?これが?」
背後にいたクロヴィス殿下の護衛が、慌てたようにロザンデを拘束する。呆気にとられたロザンデを、クロヴィス殿下は冷たく見下ろした。
「お前がアーシェにした仕打ちを思えば蚊に刺された程度の痛みだろう?」
「なっ……私は!」
「下等な三文芝居はやめろ。まだ下町の娼婦のほうがマシだ。不愉快だ」
「下等……!?いいえ殿下!あなたはその女に騙されて――」
「黙れ」
ピリ、とその場が静まり返る。恐ろしいほどに冷たい表情となったクロヴィス殿下は、凍てつく視線でロザンデを見下ろした。
「貴様がアーシェを語ることは許さない。次に口にしたらこの場で首を刎ねる」
ロザンデははっと息を飲み込み、青くなって震えだした。
「はいはいはいはい!クロヴィス殿下、キレ過ぎですよぉー!そろそろやめましょう〜!欲しかった証言も、魅惑の殿下のお陰で完璧ですし!後はご希望通り別室で!ね?ね?それにほら!あともう一人いるし!」
「…………」
もう一人のくせっ毛付き人が慌てたように割って入ってきた。不服そうなクロヴィス殿下は、はぁ、とため息を吐くと別の方向に顔を向けた。そこには、ただ黙って立つ宰相ドラコスがいた。
凪いだ表情。焦りのないその様子に違和感を感じる。クロヴィス殿下は、冷たい視線をドラコスにむけると、静かに口を開いた。
「――言い逃れがあれば聞こう、宰相ドラコス」
水を打ったように静まり返った夜会会場。俺はただ何もできず、その様子を見守るしか無かった。
王道の駄目な女を描いてみたかったのですが、どうでしたか?
「クロヴィスがいつブチギレるかドキドキしたわ!」と魅惑の殿下大作戦にヒヤヒヤした読者様も、
「やれぇぇ!宰相ドラコス切り捨てろぉぉぉ!」と刀を振り上げた血気盛んなあなたも、
どうぞ最後の一波乱を見守ってくださると嬉しいです!
※事前告知※
予定を変更して、明日8/16(金)完結します!
台風地域の方、安全に引きこもりましょう!
ちょっと読む量増えますが、お付き合い下さると嬉しいです。
読んでくださってありがとうございました!!