Rinforzato【予見】凛と東
Rinforzato リンフォルザンド(その音を急に強く)(伊)
「遅くなりました」
凛がバイト先の保育園に着き着替えを済ますと、入れ違いでサツキさんが帰り仕度を始める
挨拶してサツキさんが出て行くと、事務所に居るのは凛と東の二人だけになった
「東さん、昨夜は本当にありがとう」
「颯雅君大丈夫だった?」
「ええ。前世で死んだ場所に行って、パニックになって私の所に来たの。だからもう一度花持って行って供えたわ」
何だか凄い事をさらりと言われた。東は無言で凛を見詰める。色々突込んで質問したくて、うずうずするが、何分仕事中だ
凛は東を見る。こういう風に見られると、何だか心の底や自分が知らない事まで見られているのだろうかと落ち着かない気分になる
「東さん、このところ雰囲気違うわね」
やっぱり何か察しているのだろうか。こんな年齢になって今更恋をして少し浮ついている自分の心を
「ああ、凛に渡したいものがあったんだ」
「何?」
「あの日、凛が出会うべき人が居るってアドバイスくれた事のお礼なんだけど」
東はポケットから靜奏が可愛く包んでくれた巾着袋を取り出す
「あれ、何だか可愛いの持ってる…くれるの?」
凛は嬉しそうに早速巾着袋を開く
「うん。あの日の帰り大雨になったろ?駅前通り抜ける時に傘無くて困ってる人を乗せたんだ。未来ちゃん迎えに来た事ある人なんだけど、彼女ジュエリー作ってて、見せて貰った」
「へえ、ネックレスだ。素敵ね」
銀線を結んでそこにそのまま鎖を通したようなデザインだ。凛はそれを掌でころころ転がした
「うーん、着けられるかしら」
「あれ、金属アレルギーだっけ?」
「違うの…うーんと」
凛は鎖の金具をいじってヘッドを鎖から外した
「鎖無ければ着けられるみたい。家で何か他の紐探すわ」
それからじっとそのモチーフを見入った
「ねえ、これ作った人って、結構凄い人よね。だってこれ、表している…」
東は凛の言う言葉に聞き入った
「何をだ」
「“結び”を表しているわ。そのまま表現できる人はなかなか居ないと思う」
そして東を見上げるとにっこりと笑った
「東さんも貰ったんでしょ。大事にしてね」
そして東のハンガーに掛けられたジャケットに着いている同じデザインのピンバッジを指差した。しっかり見つかってしまった。めざといな
東は照れ臭そうに笑った
東にもう間もなく訪れる祝福を、凛は見て微笑んだ
「じゃ、子供達の所行くね」
上機嫌で部屋を出て行く凛を、東は眩しそうに見送った
次回から新しい物語「魔王のため息」が始まります。こちらも併せてご覧ください。明日(8月9日)から開始予定!




