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第96話 噂の侯爵令嬢

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 図書館にやって来た侯爵令嬢、名前はアナナンカ・ホッジスさんで、ホッジス侯爵の22女ということだ。

 ホッジス侯爵という方はどうも夜の生産がお盛んなばかりか、お妾さんもズラリと居るのだそうだ。なるほど性産だ。

 本人はメガネに赤毛の三つ編みお下げにほそっこい身体。美しくは無い女性だ。

 そのアナナンカさんは着いて一週間程、図書館の寄贈図書を集めた部屋に籠り、図書の分類と読んで内容を掌握する動作。というより単に読み耽っているという所が本音な時を過ごしていた。

 そこにマリアさんが隻腕の女の子イリーナ・レンヌさんを伴いやって来た。

「あらマリア先輩、こんにちは。それから図書館に熱心に通ってますね。よろしくね女の子さん」

「こーんちはー」

 その間延びしたような返事をしたイリーナさんに一瞬アナナンカはきょとんとしたが、笑顔で出迎えた。

「お名前はなんておっしゃいますの?」

「うー?」

「おなまえは?」

「いりーなー」

「よろしくね。イリーナさん」

 イリーナさんはその笑顔に大喜びしながら跳ねている。『あいさつのほん』という絵本を読み聞かせを受けたイリーナさんは、挨拶にもう夢中なのだ。

 喜ぶイリーナさんを笑顔で見ているアナナンカさんを見て、マリアさんは何か安心したようだ。

「アンナちゃんはあの子に偏見無く付き合ってくれそうね!」

「それは勿論。ちょっと様子のおかしさに驚きはしましたけどね?図書館に来て本を愛する同好の士ですね」

「アンナちゃんなら大丈夫そうね!実は考えてる事が有るのよ!」

 マリアさんは侯爵令嬢を『アンナ』と呼んでいる。本人も了承しているのだそうだ。

「おお!新しいプロジェクトですかね?是非お手伝いしたいですね」

 アナナンカさんは大喜びでマリアさんに寄り添った。図書館司書という仕事に情熱を感じているようだ。

「実はね!移動図書館を計画しているのよ!」

「移動?ですかね」

 アナナンカさんは図書館そのものに車輪が付いて、それが何処かに向かうという凄い絵面を妄想している。

「馬車に人気の本や絵本を乗せて巡回貸し出しを目指すのよ!でもアンナちゃんて乗り物酔いするのよね?困ったわ!」

「あー。御者を自分でやれば酔いませんね」

 ほほう!という顔をしたマリアさんが私に連絡をしてきた。

「こんな馬車が欲しいわ!」


 それは荷車全体を本棚にし、横の壁面を上に持ち上げ、雨避けや日除けに使える。

「これは面白いですね。すぐに作れますよ」

 ここ馬車は安請け合いして良い案件だ。馬車を出してカスタムするだけだ。サービスで馬にしか見えないゴーレム馬も付けてあげた。

「ダンジョンさん仕事早いわね!」

「それはもう。お気になさらず!」

 マリアさんと私の会話回数は多くは無いが、マリアさんの『!』に引っ張られる。


「これは凄いですね。あの、これに他の機能付ける事は出来ますか?」

「おや?どんな機能をお求めですか?」

「貸し出し前に紙芝居とかをやって人を集めてみたいですね。お菓子とかも販売しても良いかも知れないですね」

 思いの外図書館員とは思えない発言が飛び出してきた。アナナンカさんは移動図書館に商売っ気を押し出してきたのだ。

「なら紙芝居を……」

 私が紙芝居をカタログから出そうとした時、アナナンカさんがそれを止めた。

「いえ!実は夏に向けた紙芝居を既に用意しているんですよね。ここで読むつもりで作りましたね」

「おう!」

 その紙芝居は間違いなく新作だ。見たことも無い画風のイラストがそこにある。

 それは怖い話の時はおどろおどろしく、楽しいお話にはポップな、そしてほんわかしたお話には淡い色合いでほんのり感を前面に押し出している。

「え?これを全部アナナンカさんが描かれたんですか?ちょっと凄すぎます」

「描きましたね。絵も得意なんですよね。しかしまあ、こちらの図書館は紙芝居のネタが豊富ですよね」

 などと言いながら、書庫の端においてあった『オットー・リブラほら大全』を取り出した。

「あら!それは私が書いておいたヤツね!」

「え!これ領主さんが考えてるんですか?紙芝居のネタにうってつけですよね」

「そうなの?!」

「そうですよ。まあこれなんか夏の夜にはバッチリなお話ですよね。」

 実のところアナナンカさんはかなり沢山の紙芝居を作っていた。

 その中のひとつを取り出し、上映会を始めだした。拍子木と鐘まで用意していた。

「さあさ皆さん集まってー。伯爵様の楽しい物語、はーじまーるよー」

 書架はたった4人の紙芝居上映会だ。

 何故か全員体育座りで拍手をもって迎える。隻腕のイリーナさんも左手を腿に当てて音を出す。

 おどろおどろしい絵の紙芝居が今始まる!

 読んでくれてありがとうございます

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 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


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