第93話 リブラ領予算会議
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「只今よりジェームズ王13年度、予算会議を行う」
領主さんが各所より招いた予算を供出する集団の代表者が参集し、予算をいかに利用するかが検討されるはずなのだ。
根回しが済んでいる為ほぼ口頭で配分を決定し、配分の少ない部署の愚痴を聞いてやる場になっているのだそうだ。
参加者から盛大な拍手と宜しくお願いしますとの合いの手も入る。これはアレだ。完全な出来レースだ。それに私も『準男爵』であり高額納税者としてかなり上座で参加している。
「尚、今回より領内に出来たダンジョンのマスターであり、準男爵のラビリンシア・ダンジョンさんにも参加していただく。大変大口な労働力であり高額の納税者である」
促されて私が立って皆に一礼する。拍手と『ああ。あの人が』と声が聞こえる。
「ではそのダンジョンさん。街道の拡張工事の状況と今後の進展をお願いします」
「はい。道路拡張は残すところ1.8キロメートルです。順調すぎる進捗でしょう。但し街路の実の成る植物は最低でも夏からしか実を付けないでしょう。難民の口を癒すのはまだ先の話です。また、拡張した道路を3年後より『ローマンコンクリト』?とか言う謎の技術で舗装します。これは壊すのに苦労しないよう手のひらよりも大きい程度のブロックを敷き詰めて馬車の揺れを防止します」
おお。と声が立つ。
「領内図書館です。お世話になります。ので予算は大幅削減です」
まずは領内の金食い虫、社会教育施設である。
「ダンジョンさん。動物園やる気ない?」
突如こっちに振られた。社会教育施設の中には確かに動物園も有る。有るけどさぁ。
「考えておきますね」
色よい返事は出さなかった。私は動物に大きな興味は無いから。
「各村なのですが、難民の方々と水利を分け合って使う事になりますが農水の不足は危機的です」
「現状は川の水のやりくりもしているがもはやどうにもならない。現状ヨッコセーヤ侯爵とテンバイダ男爵に難民の受け入れを許可して貰えた。難民の移送も行う」
「水が足らないならダンジョンから出しますよ」
私は思わず口を挟んだ。農家が豊かになるのは私には有難い事だからだ。
「有難いけど。そしてダンジョンさんは頼めば水をくれるだろうね。でもそれじゃダメなんだ。それでは僕が百年後見に来た時に安心できるか分からない」
「百年後まで生きてるなんて贅沢ですね」
「そうじゃないよ。ダンジョンさんとこの領の関係が永遠ではないっていう事さ。僕の代わりに領主をするその人がダンジョンさんを大事にするとは限らないから」
「あー。そんな事考えてたんですか」
「ああ。水は百年後も必要だ。私にはダンジョンさんは百年後も必要だが、そこに居るのはもう俺じゃない。無責任な事出来ないよ」
私は他の意見を言うより先に目を閉じて納得の表情をした。図書館がよく言う『それを領主くんが望むとは限らない』の一つがこれなんだなと納得した。
「酒場、宿屋は新規開店も有ります。各宿も客室を増やす予定です」
「酒蔵商会長です。お酒の増産体制は万端です。それぞれ難民の方も雇って拡張していますので意に沿ったものかと」
堰切ったように一人の男が立ち上がり急に発言した。
「すまねえ、ダンジョンマスターさん。冒険者ギルドのマスター。タイラーってもんだが」
「また貴方ですか?お断りしたいんですよね」
私は思わず冷めた顔をした。コイツもたまにダンジョンにやって来る。冒険者ギルドのマスターさんだ。やって来ては私にまともなダンジョンも提供してくれと泣きついて来るのだ。
「なんだ?何があったんだ?」
領主さんが出来レースに齟齬が生じ始めた事に狼狽えている。
「そんな事言わないでくれ。俺はただ冒険者になった若い子たちに冒険がして貰いてえだけなんだ」
タイラーさんは涙ながらに真摯に語る。
「冒険者ギルドに所属する冒険者は58人。しかし魔物が居ない領内は穏やかそのもの。そこは結構だ。しかし冒険者ギルドに来る依頼内容は狩人の荷物運びと便所の汲み取りと孤児院の面倒補助。挙句ミルカちゃんが銅貨3枚握りしめて居なくなった猫のマーニャを探して欲しいだってよ。他にやらせられるか俺が依頼受けたよタダでな!うちは何か?便利屋か?雑用屋か?人工出しか?」
集まってる各種ギルド長や施設の長の反応は鈍い。
「え?冒険者ギルドってそんなもんじゃ無いの?」
「なんかもっと仕事回そうか。あ。薬草採取なんか」
「とりあえず職人募集かけてみようか」
「他に人夫送る宛無いしなぁ」
「酒場の会話が『汲み取り早くなったって職長に褒められた』だの『荷運び上等』だの『孤児の子供たちから愛され系冒険者よ』とか。それ冒険者の会話じゃないだろうが」 「なあ。ダンジョンさん。俺が聞いてて気の毒になって来たんだが」
さすがに領主さんが冒険者ギルドに同情し始めた。
「ふーん。分かりました。でも本当に冒険者だからって中で亡くなっては私の意地と誇りが許しません。どうにか必ず帰還出来るダンジョン用意しますからそれまでお待ちを!」
「いや。冒険者が冒険に出れば今までの仕事を難民の定職に出来る。むしろありがとう」
「そんな一面も有りますよね」
私はかなりぶんむくれている。その前で地に頭を擦り付け感謝しているギルドマスターのタイラーさん。猫とミルカちゃんの心配をしている会議参加者たち。
いや。マジでどうしてこうなったんだ?
で?私も心配していいのかしら?ミルカちゃんの猫は見つかったのかって。
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