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第92話 リブラ領メイド戦隊

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 メイド戦隊。元々領主さんを起こすのは、マリアさんの朝駆けが無い場合にかぎり、メイド長さんの役目だったのだそうだ。

 あののっそりな感じのメイド長さんが起こしに来るなんて、領主さんは更に眠気を誘われてしまうのではなかろうかとも思うのだが、起こし方が豪快すぎた。

「若旦那さま~、朝でございますぅ~」

 とか言いながら自分がベッドに入り込み、添い寝してしまうのだそうだ。

 これには流石の領主さんも毎朝度肝を抜かれて起き出してしまうのだそうだ。

 

 それを今は子供なメイド戦隊の女の子達がやっている。今朝はメイドピンクの『可愛いミレーヌ』の番だ。

 ミレーヌさんはボロボロのぬいぐるみが手放せない。多分戦争被害の後遺症だ。

「りょうしゅたま あさでございます」

 そう言って布団に潜り込むのはメイド長さんと同じムーブなのだが、このちびっこが潜り込んでも領主さんは驚きはしないが、すぐに寝息を立ててしまうミレーヌさんを起こさないようにそっと起き上がり、着替えるようにしているらしい。

 領主さんは随分お優しいことで……

 

 メイド戦隊は朝食後、領主さんのお母上さんに連れられて早速出掛ける。行く先は領内のスラム街だ。近頃は領都『スケール』は少しずつ大きくなっているため、新市街とスラム街は外壁の外に有る。

 そこに行って炊き出しをするのだ。

 

 そこは毎日新しい難民がやって来て、そして開拓民として去っていく。食べられるようになるまでの繋ぎの場所だが、お腹は毎日空くものだ。

 そんな人々に温かい食事を提供する。お母上さんは思いの外慈悲心溢れる方なのだ。ただし変な所でひっちゃかめっちゃかで絶叫系アトラクションが好きな人なのだが。

 

 メイド戦隊はこのようにお母上さんのお付きとしてあちこちをお供しているのだが、だいたいお昼を回るとダンジョンランドにやって来る。用件の相手は図書館の奴だ。 

「セレクトさん、いつも通り宜しくお願いしますね」

「ああ平気さ。お預かりするね」

 図書館の奴はやたらとにこやかに答える。やることは単なるお勉強なのだが、それは最初から多岐に渡っている。

 読み書き計算、歴史、地理、経済、そして……


 何故か軍略と謀略。つまるところ参謀学まで教えているのだ。

 それは完全にお母上さんからのリクエストなのだそうだ。

「あの家にはオットーの武勇を支える頭脳戦をやれる人物が居ないのよ。あの子達の中の誰かにそうなって貰いたいわ」

 お母上さんは私を誘い、季節の庭園・桜咲く丘でお茶を嗜みながら言う。

「執事のセバスチャンは武勇と陰謀、門番のゴンザは単なる猪武者なのよね。今後が心配なのよ」

「はあ」

 お茶会の席はお母上さんがとにかく捲し立てるので話は尽きない。そしてお茶会ならばお酒は出てこない所がまた有難い。いつかの件も有りお酒は少々苦手だ。

「あの子達の誰か一人でもオットーのお手付きになればしめたものよ」

 ここで一口お茶を啜り、お茶うけのお菓子を食べながら続ける。

「お妾さんにダンジョンさんが来てくれても良いのよ。お母さん歓迎しちゃうわ」

 ニッコリ笑顔で言われた。私にとってグッと来たのはお母上さんが言い出した『お母さん』という単語の方だった。

 私という魔属(バケモノ)は俗に言う『木の又から産まれた』よりも酷い産まれ方だ。両親も居らず兄弟も居ない。そんないきものなクセに『お母さん』という単語に恐ろしい程の郷愁を感じたのだ。

「お母さん……ですか」

 頬を赤らめて答えた事などお母上さんにはお見通し。

「あの子にも強くおすすめしとくわね」

「でも私は角が生えたバケモノですよ」

「あら。私の目には可愛い女の子だわ。ダンジョンさんが断るならセレクトさんなんかどうかしら。きっと賢徳な孫が出来そうだわ」

 これは半分本心で半分は煽り文句だ。断るならと、私の親友にして競争相手(ライバル)を使ったのだ。

「そんなぁ!」

「フフ、おすすめしとくわね」

 私は間違いなくしてやられた。例え沢山の知識を入力(インプット)されて送り出されている魔族ではあるものの、それを応用して翻弄する技は36年生きたお母上さんには敵わない。

 私は思わず下を向いて恥ずかしがる以外無かった。それにしても領主さんは女性関係どうなっているのだろう?女性の陰は沢山有るが、のんびりオバサンのメイド長さん、暴力司書マリアさん。耳歳増で東方かぶれのママーナさん。割と変人が多い。そしてお手を付けてる風でも無い。

 あ。変人なのはコンサルタントもどきの魔族。私も同じか。


「やあお母上くん。今日の研修は終わったよ。あの子達は吸収が早いよね」

「あら、セレクトさんお疲れ様でしたね」

「構わないさ。ん?どうしたんだいダンジョンくん」

 図書館の奴が顔を赤らめて俯いてる私をいぶかしがって声をかけてきた。

「ほっといてくれ!」

 そう言うしか無いだろ?

 読んでくれてありがとうございます

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 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


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