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第9話 訪問者達

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 割とダンジョンに色んな方が来る。わずか一週間も経たない内にこれほどお客さんが頻繁に来るのは珍しいそうだ。図書館がそんなことを言っていた。


 ここに一番よく来るのがその図書館だ。図書館は私が魔族図書館を訪ねて以来、何度も来てくれていろんなアドバイスや書籍をくれる。

 

 余計なお世話な気もするが、ノリがライトで年齢よりも友達感溢れる図書館の言うことは聞いておいて損は無いのだろう。


 顧客満足についての書籍を、翌日の内にざっとその本を理解した私の所に夕方、お金が絡む事態が早速やって来た。

 私のダンジョンに行商人が来たのである。

 行商人は何の迷いも無くダンジョンの門である保育所の門を潜り抜けてきた。偽装用に外と明るさを同じくした作りのダンジョン内に、初めて自ら入った人間(ヒューム)となる。

 本気で嬉しかった。このダンジョンにして良かったと労苦も報われる思いだ。幌付きの馬車に乗ってやって来た行商人はにこやかに私に声をかけてきた。

「こんにちは学者先生、ご入り用な物や売りたい物が有ればご用命に応じますよ」

「やあ、開拓地から聞いてここに来てくれたのかな?ようこそ」

 一通りのご挨拶から商談を開始した。

 私はダンジョンで出した子供用の服を提供し、私は苗や種を手に入れた。更に衣類が欲しいというので、そこを金銭でやり取りした。

 ここで厄介なのはダンジョンポイントだけを考えるなら、ただでも惜しくは無いという私の意向だ。ここに顧客満足という概念が必要になるのだと得心した。

 ただで何でも手に入るなんて普通ならあり得ないのだ。それに衣類を作って商売してる人の邪魔になる。約10着ほど服を渡して大銀貨4枚だそうだ。これは相場がわからないので高いのか安いのか分からない。

 この行商人は臨時でここにたち寄ったものだから商談が終わった頃にはすっかり夜だった。泊める所として洋館を用意して初めての宿泊者になった。

 

 歓迎したくない客も居る。

 ダンジョンマスター族の魔王だ。保育所とアスレチックで遊ぶ子供たちを遠くから一瞥したダンジョンマスター族の魔王は私にこう言ってきた。

「君はダンジョンを何だと思っているのかね?」

「ダンジョンポイントを稼ぐフィールドではないですか?」

 私は済ました顔して言ってやった。

「ダンジョンの使い方を大いに間違えてるよね」

 そうとだけ残して帰って行った。図書館の奴もそうなのだが、魔族は来てもポイントにはならないのだ。図書館みたいに楽しく色々教えてくれる訳でも無いこの魔王を、私は一発で嫌いになった。


 もう一つ歓迎したくない客が来た。

 各世界を見守る異世界人のパトロール隊だ。

 名前はアリタとオサダというらしいが、こちらは歓迎したいとは思わないが別段嫌いではない。

「これらは是非ダンジョンの外では使わないでください」

 と、機関銃や戦車、毒ガスを指差して言って来た。

「ああ。使う気は無いが、そんなにこれらはダメなのか?」

「この世界の文明は火薬すらまだ有りません。外に出して良いのはその世界のテクノロジーに準拠したものでお願いします」

 どうやらまともな文明になるまでは見守る事になるようだ。

 見守りパトロール隊に言わせると、私達魔族は各世界を飛び越えて移動出来る為、私は半分はこの星の生命体で、半分は異世界人なのだという。

 パトロール隊はこの世界が他の惑星に移民する頃に正式な挨拶をしたいそうだ。気の長い話だ。私はというと、バレない程度のチートとしての利用が許可されているそうだ。

 

 コイツらは魔族ではないのでダンジョンポイントは手に入る。そこは有難いのだが、そのお節介をダンジョンコアルームでやってくれるのは少々気に入らない。敵対の意志が無い事は分かっていたから何も言わなかったが、図書館と違ってコイツらはある程度武装している。

 急に気が変わってコアを破壊したらと思うと気が気では無かった。全く歓迎出来ない客人たと、そこで痛烈に思わされた。

 

 まあ良いさ。

 ダンジョンもそれなりに賑わうようになってきた。次なるダンジョンポイント獲得への道を模索して遣ろうじゃないか。

 少しだけ野心も芽生えてきた。今までは生存戦略(サバイバル)の為にダンジョンポイントが欲しかっただけなのだが、ある程度ダンジョンポイントが貯まるとダンジョンマスター族の議会で発言権が得られる。

 この議会に私自身を売り込み、このダンジョンそのものの生存理由(レゾンデートル)を作り上げるのだ。少々大変だとは思うのだが、図書館が持ってきた歴史的偉人から学ぶビジネス書にはその人の遺言の詩が印象に残っている。

 『為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり』


 名文句ではないか。私はヒトではなく魔族だけどな。 

 読んでくれてありがとうございます

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 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


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図書館魔族が36~37人も居るなら1人くらい連れて帰ってもバレないか。冗談はさておき、ダンジョン成長に手っ取り早いのは、よくある「人間牧場」ですが、身も蓋もない言い方をすると「進んだ文明を持ち込み下等…
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